彼の日記
 同じ意味でも、言い方によっては、受け取り手の
 気持ちに違いが出るよ。
 そこから生まれる反応も違ってくる。
 語彙を増やすのも大事。

 そうだね、実は内緒で日記をつけてる。
 いろいろな表現方法を知りたいんだ。

読んでみたいと思う。

 もし見つけて読んでも、知らんふりしておくね。

 読んだら態度が冷たくなるよ。

 私の態度?

 そう。

身近な人に読まれる息苦しさを知っているから
私は捜しかけてやめてしまった。
彼からのメールが長くなったのは、彼が自分を
出せるようになり、その表現方法と場所を得た
からだと知った。

彼からのもう一つの告白は、私を少々落ち込ませたけれど
それも過去のこと。
私が返事を出さないことで、しどろもどろになりながら
電話をくれたのも嬉しかった。

この1ヶ月で感じたのは、他人から誰かを奪おうとするとき
オトコは最大限の努力をするものだということ。
君の最初、彼の今。
君のように最初だけ肝心と言わんばかりな行動だとしたら
私は相変わらず見る目がないってことになる。

2005年02月08日(火)

迷走
今年の初めにスケジュール帳を買った。
カバーは数年前に買ったお気に入りで
ルーズリーフを買い換えるタイプ。
2000年からのカレンダーをつけたままにしている。

彼と知り合った年から、ずっと逢えた日に
丸をつけていた。
私が逢いに行った日は赤い丸。
彼が逢いに来た日は黒い丸。

昨夜、ふと今年のカレンダーを開いた。
そして、2004年のカレンダーがないことに気づいた。
私は去年、ルーズリーフを買わないままだった。
そして、2003年のカレンダーについていた
2004年の1月から3月までのカレンダーを見る。

彼と離れていた2004年。
丸印をつけるカレンダーはなく
書き込むスケジュールもなかった。
見開きの左に、2003年。
右には2005年。
2004年は、存在しなかったような錯覚をする。

彼と一緒に秋葉原に行った。
彼はいつ来ても、独特の雰囲気に馴染まないと言う。
彼がそう言ったのは、昔、パソコンオタクだと
嫌味を言われたせいかもしれない。
私は何も気にならない。
表通りを歩くより、裏通りっぽいごちゃごちゃした
ところを歩くのが好き。
何かおもちゃ箱のようで楽しい。

CPUを変えて、メモリを増やした。
彼が来る数日前から、すぐに固まるようになっていた。
まるで彼が来るまで、なんとか持ちこたえよう
としているみたいだった。

君は私にMACを買わせたがっていた。
彼はMACには興味がない。
自分の理解しているPCを、私が使うことで
私自身を独占しようとしているみたいだった。
私は、両方使ってみて、純粋にMACが好きになっている。
だけど、君の意図が露骨で、欲しくても
買おうという気になれなかった。
やまはMACしか使ったことがなくて
MACの話をしていて楽しいのは、やま。
MINIの話で盛り上がったっけ。

私は、彼が作ってくれたPCを手放せない。
私にとっては彼そのものだけど
彼はそう言われたくないみたい。
彼はそれより、おそろいのストラップを
大切に思っている。
そして今、彼はお揃いのガラス製のオブジェを
捜してくれている。

風邪が治らないまま、1週間が経った。
熱はないのに、口実にして休んでしまった。
目覚める直前の夢のせい。
彼と笑い合っていた。
場面が変って、君の媚びた顔を見て
私は嫌悪感でいっぱいになり罵っていた。
昔、登場人物は違ったけれど、同じ夢を見たことがある。
罵った相手は、元の夫。
媚びた卑屈な笑いで、私に近づこうとしていた。
あのときは、自分の叫び声で、目が覚めた。
嫌悪感が最大になったとき、私の体重は40kgを
切っていた。

君は元夫ではない。
君に対する申し訳なさと救ってくれた感謝と
それでも、どうしても許せない、ある生理的な
嫌悪が私の気持ちを加速度的に離れさせていく。



2005年02月07日(月)

心から
お正月に再会するまでのメールは、わずか数行の
チャットのようなものだった。
去年の夏、唐突に脈略なく寄越すこともあった。

それが私の書いたことに対して、きちんと
返事が来るようになり、彼自身から出てくる
話も増えた。

人の気持ちはわからない、思考や意見ならわかる。
経験したことがないのに理解できない。
何かあるたびに言っていたのに、彼から「気持ち」と
言うようになり、メールのあちこちに書かれるよう
になった。

感情を表現できなかった彼から
ようのことを考えると、涙が出てくる。不思議だ。と
胸が詰まる言葉をもらった。

頭ではいけないことだとわかっているのに
心を抑えられないと、以前の私が何度も口にした
ことを、今の彼は口にする。

遠回りしてよかったと思い、この1年は無駄では
なかったと思い、今の私を受け入れてほしいと
言わなければならない状況が悲しい。

君の存在を感じさせないように、目に付く物を
全て片付けて、彼を迎え入れた部屋。
だけど、彼は足を踏み入れた瞬間に
君の影を感じ取った。
小手先のごまかししかできなかった。
それが現実で、今の私。

君はまったく電話してこなくなった。
私は彼がいない部屋で目覚めたのが、不思議だった。
彼が敏感に感じた君の存在感。
私には希薄なものになってしまった。
ただ、明日から仕事に行きたくない。
今すぐにでも、別れを切り出してしまいたい。
愛しさと恋しさで、目が見えなくなりそう。

2005年02月06日(日)

信じたいから
どうしても不安でしょうがない。

部屋に入った直後、借りてきた猫のように
落ち着かない、戸惑った表情を浮かべていた。

同じ話を蒸し返す。
 あの人の話になると、ようは必ずかばう。
 
 かばってるつもりはない。
 一緒になって否定すればいいの?
 でも、それは私のプライドが許さない。
 私が選んだ、これまでの道のりを否定することになる。
 肯定すれば、あなたといる理由がわからなくなる。
 昔、よいところも悪いところもあると言って
 私を悲しませたのと同じ。
 
 同じ目にあえばいいとは思わないけど
 悲しませたのは、ごめんなさい。
 私はどうすればいい?
 どうしたら信じてくれる?
 今すぐに仕事を辞めて、
 またどこかに引っ越せばいいの?

 以前のままのあなたなら、私は戻らなかった。
 変わったから、戻ろうと思った。
 
話しているうちに、抑えられなくなり
声が大きくなった。
自分に落ち着けと言い聞かせ、声を落とす。

 せっかく二人でいるのに
 ほかの人の話で、気分悪くなりたくない。
 やめよう。

何度も話をした。

 ようが一人で選んだ部屋ならよかった。
 玄関を入ったとたん、帰ろうと思った。

 あのとき、大阪にいてもらえばよかった。
 呼ぶんじゃなかった。

 私が大阪にいても、あなたは変わらなかったはず。
 本当に苦しかった。
 疲れているのに、横になると心臓が踊ったから
 座ったり立ってたりして、動悸を鎮めた。

 本当に、信じていいの?

 同じことを私も聞きたい。

 一緒にいる時間はいい。
 でも、離れると、ようがまたあの人に
 戻ってしまうかもしれない。

繰り返し愛を囁き合っても
一緒にいられるようになるまで
不安は波のように繰り返し打ち寄せる。
信じたいからこそ。

2005年02月04日(金)

懐かしい人たち
調子に乗りすぎて、また風邪引き。
今度は喉と鼻にきた。

彼に言われて薬を飲んだけど、まるで効かない。
効かないのはいつものことだし、1週間から2週間は
服用の如何にかかわらず治らない。
5時間くらいの睡眠で、3日間遊びまわったせいだけど。

昨夜から、懐かしい人たちからメールが来る。
昨夜のMちゃんは、年に2回ほど元気ですかあと
のんびりしたメールをくれる。
今夜のHさんは、2年ぶりくらいかな。
どうして二人とも、私がケータイを変えてないと
確信してるのだろう。
エラーで戻っても、ダメ元で送ってみるのかしらん。

Hさんは知っているけど、Mちゃんには未だに
年齢詐称で偽名のままだった。
 げんきだよぉ、実はこの名前、うそ!
 歳も10歳サバ読んでた、許してね!
と、いつか、告白しようと思いながら、
唐突過ぎるのと、純朴青年に衝撃を与えたくない
のとで、言い出せないでいる。

Hさんは、以前、昔付き合った相手に
様子を見計らってメールしてみるのは
オトコの常套手段と言った人。
だから警戒は怠らない。
返事すると、すぐにまたメールが来る。
電話で声が聞きたいと言い出した。
きっぱり拒否した。
Mちゃんとなら、久しぶりに話したいけどな。


2005年02月03日(木)

甘さと現実
彼と私の不安の理由は同じ。
また以前のようになるかもしれない。

彼は、私が消えるのではないか。
私は、彼が増長するのではないか。

お互いに本心を話した。
どれだけ憎んだか。

だけど、憎しみより愛情が優った。

生きる希望を得た私は、現実を見つめる。
今度は彼の番だ。
私のところに来てほしい。
前は私が動いたから。

 東京でも大阪でも、望むところに行く。

 貴方とならどこにでも行けると言いたいけれど無理。
 田舎には住めないってよくわかった。

強気と弱気が交互に現われる。
 
 私の前から消えないで。

甘い恋心だけの浮かれ気分は、過ぎ去った。
でも以前にもまして愛しさが募る。

 なんでも話せるようになってよかった。
 前もそうだったらよかったのに。 

 前みたいにならない?
 嘘をついて消えたりしない?

 嘘を吐きつづけたのはそっちだよ。
 
 自分のせいだと思おうとしたけどできなかった。
 どうしても別れたくなかった。

 今回ははっきりさせて。
 私の前提条件は変わらない。

 迎えに行くまでにきちんとする。

どうして?
どこがいいの?
何故?
わからない。 

2005年02月02日(水)

楽しかった
これだけ集中的に歩いて、電車で移動して
しゃべって、食べて、買い物したのは
初めてかもしれない。
充実した3日間だった。
食べ過ぎて、また体重は増加。
でも楽しかった。

この店に行こうと、電車を乗り継ぐ。
あの店で食べようと地図とにらめっこ。
ひとつの街で見て回ることはあっても
あの街の、あの店にはあれがある。
だから移動するなんて
今までの私にはなかったこと。
まるでおのぼりさん気分。

喫煙場所がなかなかないので
吸う本数が減って、目覚めた時の喉が
快適だったのは副産物。

浮かれ気分で過ごした。
普段は、手を出さないものまで
つい買ってしまう。

今は、ひたすら眠い。



2005年01月30日(日)

なんとかしないと
出社すると缶チュウハイが3本。
寝ているのを起こさないようにして、洗い物、片付け。
ようやく起きてきたのが、1時半過ぎ。
起き抜けに申し訳ないんですがと、怒ってしまう。
顔をまともに見られなくなった。
寝ぼけて抱きつきそうになるのを振り払った。

私は、意識して笑顔を作る。
何かを尋ねると必要以上に近づいてくる。
それを無意識によけてしまう。
ダメだと思い直し、元に戻す。

長距離通話の明細を見せられた。
ほとんどが、12月に私宛てにかけたもの。
また、いやな気分になる。
冗談っぽく、こんなに誰かさんにかけてると言われ
無意味に明るく、これからはかけないでねと言う。

今回の移動で、私はこまごました出費を
いちいち言わない。
言ったところで、どうにもなるものではない。

次々に書籍を購入する。
なのに、私が買ったスタンドミラーは高そうだと言う。
仕事に関するもの以外で出費があると
余裕があるんだねと言われたみたい。

帰りに就職情報誌を手に取ってしまう。
営業スマイルは、他人にならできる。
私生活で作り笑いは続かない。






2005年01月28日(金)

思い出に浸る夜
週に一度、出社拒否するのはよくない。
週末になると、目覚ましを止めてしまうのも
よくない。

彼は私の日記を捨ててしまった。
私が消えてから、あの頃の思い出にしがみついていた。
だけど、もう必要なくなった。
これからまた二人で作っていけばいい。

私が前の日記をリアルタイムで消していく様子を
見ていたそうだ。
掲示板のリンクがはずれた後、少しづつ消えていく様子を
眺めていたそうだ。
最後まで残したのは、彼の誕生日について書いたもの。
彼はよく覚えていた。

彼が掲示板に書き込めたのは、掲示板そのものを
ブックマークしていたから。
私以外、誰にも読まれないだろうからと
最後に書き込んでくれた。
すっかり消えてしまったあと、彼がしがみついたのは
自分のPCに保存した日記だった。
彼が読み返しているのを、私は貼り付けた解析ツールで
確認していた。

彼が捨てないでいるのは、私と撮った二人の写真。
私が送った私の写真。

1年前の1月27日。
私は彼に別れを告げた日だと、今気づいた。

今夜は二人とも、あの頃のこと、あの時の気持ちを
素直に話し合えた。


2005年01月27日(木)

秒読み
部屋に入れないでほしい。
 外で食事するのは仕方ないけど。

 外食?
 ここに来て最初の夜にファミレスに行っただけ。
 一緒にどこにも行ってないよ。

 ムカつくヤツだ。
 ようを女房扱いしている。
 恋人じゃなくて。

ツタヤに行った。
ショッピングセンターに行った。
神社に行った。
恋人がする「デート」じゃないでしょう。
生活感溢れる日常のひとコマでしょう。 
以前の場所は、行く所がなかったからと諦めていた。
場所のせいじゃなかった。
根本的な原因は、君そのものだと知った。

以前、誰かに同じことを言われた。
最初はそれでいいと思った。
一緒に食事ができる相手が欲しかった。
どんどん楽しくなくなった。
最近は、給料に家政婦代が入っていると思っている。
どこにも行かないオトコ。
映画館で観るのが嫌いなのは、字幕だから。
喫煙できないから。

英語コンプレックスと言いたいくらいなのに
やたらと横文字を使いたがる。
今日も意地の悪いことを言ってしまった。
 今言ったこと、全部日本語で言ってよ。
 意味の通じない英単語を使わないで。

 そのサイトいいね。

媚を売るように私に言う。
ずいぶん前に見せ、役に立つと言ったのに
覚えていない。
言った時は、こっちのほうが役に立つと拒否した。

たった1ヶ月持ちこたえられないって
どういうこと?
ここが正念場なんでしょう。
オトコならなんとかしなさいよ。

私の話し方が日を追ってきつくなる。
心の中で呟く本音が、声のきつさになっていく。
離婚前、元夫に対して沸いた軽蔑と嫌悪が
再現している。
彼に言われなくても、もう会社以外で会いたくない

2005年01月26日(水)

初日 最新

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