ぶらんこ
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雨降り。 しとしとしとしと。
だいぶん寒くなってきた。 寒いのは苦手だ。 でもこの時季になると、何かを待っているよな気分になる。 なんだかわからないが意味もなくこころもち嬉しいよな、そんな感じ。
だから、というわけでもないのだけれど、今日は思い立ってクリスマスの飾りを出し始めた。 この「和」の家に、どこまでどう飾れるのか??? これはもう冒険というよりも、かなり挑戦的な試みだと思う。笑
雨がまだ降っている。 我が家は、あちこちの窓をまだ開けたままでいる。
雨の音を聴きながら眠ろうと思う。
植物を見に、お気に入りのお店屋さんに寄った。 家からは遠いのでなかなか来られないけれど、空港の近くなので回数的にはよく来ているお店。 ここはいろんな種類の植物が置いてあるので嬉しい。 値段もいろいろだし。
見るだけーーーと思ったけれど、かわいい葉っぱたちがわたしを見上げるので、思わず選んでしまった。 うちに来ても元気で育ってくれそうな子たちを何種類か。。。
綺麗なオネエサンが葉っぱの名前と値段を言いながらレジを打ってくれた。 と、ハタ・・と手を止めた彼女。「あの、このお値段、覚えてらっしゃいますか?」 ちょっと赤みを帯びた、つやつやした色の葉っぱ。どの色にしようか悩みに悩んで選んだ子だけれど。 「ごめんなさい。ただ、安いってことしか覚えてません。。。」 正直に答えると、彼女は申し訳なさそうに頭を下げ、確認してきます、と出て行った。 場所がわかるのかな・・こっちが確認すればよかったかな・・・と、恐縮してしまう。
案の定、彼女はあちこち駆け回り(とても広い植物屋さんだ)、店長さんのところへ行ったらしい。 「店長、店長、お願いしまーす!」とどこかで声がしていたから。
店長さんのおかげで、値段はめでたく即座にわかった。 彼は彼女と一緒にレジまでやってきて、わたしの選んだ葉っぱたちを見て言った。 「ほぉ〜。。。寒さに強いのばかりですね! これもこれもこれも・・・あっ、これとこれ。このふたつだけは室内に。後は外で大丈夫です。」
彼のテキパキした態度と、それから植物を見るなんとも言えない目に感激してしまった。 優しいだけでないまなざし。 あったかい、というよりももっと強い熱。情熱かな?そんなまなざしだった。
「あぁ・・・これも選んだんですねぇ。」 彼はシルバーのクリスマスツリーのような葉っぱを指差して言った。 まだ小さいけれど、『形を見ながら剪定していくと良い・とても丈夫』と、書かれていた葉っぱだ。 「はい。すぅごくかわいい子だなぁ・・って思って。。。」 わたしがそう答えると 「ええ。とても綺麗な子です。」
子、って言ったように聞えた。聞き間違いかもしれない。 「これは非常に買いやすい値段になりました。以前に比べたら半値くらいです。 案外、出ているってことでしょうか。そんなに珍しくもなくなったんでしょうね。」 彼はちょっと残念そうに見えた。きっとそれほど有名でもない頃から、この葉っぱを買い付け、売ってきたのだろう。 この人は植物の名前も、育て方も、もちろん値段なんかもすべて把握している。 そう思った途端、なんだか恥ずかしくなってきた。 わたしの選んだ子たちはみんな、すぅごく安い子ばっかり。 ・・・そして今日、たったひとつだけ冒険したのが、このシルバーの葉っぱだったのだ。。。笑
家に帰り、近くのお店へ土と鉢を買いに行った。 そして、今日連れてきた子たちをそれぞれ植えてみた。 ふむ。なかなか、良い。 と、自己満足。
土をいじりながら、あの店長さんのことを思い出していた。 人より抜きん出てるものがある、というのはなんて素晴らしいことだろうなぁと、思う。 彼の自信は、どこから生まれてどうやって身に付いたんだろう?あんなにも自然に。。。
それにしてもわたしは花よりも葉っぱが好きなんだなぁ・・と、我が家の植物たちを見て、あらためて思う。 でも、春になったら、この前作った花壇にチューリップやらなにやらが咲き乱れるのだ。(あくまで予定)
これから寒くなるばかりだけれど、なんとなくほくほくしてしまった。。。
『包帯を巻いてあげられないのなら、むやみに人の傷に触れてはならない』 著;三浦綾子 「続・氷点」
こんな言葉が目に入った。 この本を読んだわけではない。 あるページに書かれていた、その本からの抜粋である。
この言葉は誰に対するものだろう・・・と考えていた。 たぶん、相手に向かって放たれた言葉ではないような気がする。 きっと、自分自身への言葉なのかな、と思う。。。 よくわからないけど。
この言葉に触れたとき、ふと、この逆もありだよなぁ・・・と思った。
『むやみやたらに人に傷を見せたからって、包帯を巻いてもらえると思ってはならない』
つまり。。。 相手に心を開いたのは「わたし」=自分自身。 心を開いて傷つくことをを選んだのも「わたし」=自分自身。
心を開くということは、そういうことでもあるんだなぁ・・・と、思う。 良いとか悪いとかではなく。 そういったことを知っておくべきなのだな、と思う。 怖れることなく、甘えることもなく。
そして、それでも、心を開くことを望むひとでありたいなぁ・・・と、思った。。。
今日はわたしの誕生日だった。 39歳。 さんきゅー!(と、これは友人からのお祝いの言葉より引用)
誕生日の少し前に辛いことがあった。 なんとも弱っちぃことに、食事が出来なくなるほどだった。 とはいえ、人というものはちゃんと「生きる」ように出来ている。 食欲はなくてもお腹は空くし、意識さえすれば食べられる。 ただ、そのような食事はやはり栄養にはならないようで、一昨日に体重を測ったら案の定、痩せていた。 がっかりだ。
でも、最近は、美味しいと感じながら食事をいただいているし、そのことを自分自身、喜んでもいる。 ちいさなことだけれど、大事なことだと思うし。。。 もう少し体重が増えるよう、美味しいお料理をたんまりつくり、味わいながらいただきたいなぁ、と思う。
今年は・・・・ 今年は、早く誕生日が過ぎてしまえばいいなぁ。。。と思っていた。 そうして、なんでもない日を迎えたかった。
友人に言われてあらためて思ったのだけれど、わたしにとって「誕生日」という日は特別らしい。 その歳になってそらないでしょう。と、言われるかもしれない。 自分自身にもそう言ってやりたいくらいだ。 「そらないでしょう!」
だけど、正直に告白してしまうと、本当に、情けないくらいに、「特別」なのだ。 どうしてなのかわからない。きっと心が成熟していないせいだろう。 自分でも呆れてしまう。
よく、「自分の誕生日を忘れてた。。。」と言う人がいる。 そんなときわたしは「えーーーー信じられない。。。」と驚きながら、内心は「かっこいいなぁ。。。」と憧れている。 本当に「特別でもなんでもない日」なのだろう、その人にとって。 それってすごいことだなぁ・・・と心から思う。 わたしもいつかそうなりたいなぁ、と思い、でもきっと無理だろうな、とも思う。
真夜中に目が醒め、喉がとても渇いていたので、起き出してお水を飲んだ。 時計を見ると既に2時近かった。 誕生日おめでとう。。。と、自分自身を祝福した。 それから、こうして素直な気持ちになれたことに、心から感謝した。 朝になると、雨が降っていた。 こころの英検2次試験に付き合い、鹿児島市内まで行った。 こころがしきりに、「マミィのバースデイなのに、ごめんね。。。」と言っていた。 1次試験は先月のある土曜日の午後からだったし2次は日曜日で休み返上なのだから、こころこそ気の毒というものだ。 帰り道、本屋さんに立ち寄った。 自分へのお祝いに本を2冊買った。 夕方からまた雨が降り出した。夜になって雷まで鳴り出した。 食事をし、お風呂に入り、映画を見た。 今日は特別に、こころも遅くまで起きて一緒に見た。
これが今日のおもな出来事。
明日からはUNBIRTHDAYSだ。 「なんでもない日」の『特別』を祝福するような、そんな心でいたいなぁと思う。
昨夜からずっと雨。 わたしの住んでいる地域には大雨洪水警報まで発令され、今朝になっても雨はやみそうになかった。
こころが出かけた後(こんな雨の中でもごくごく普通に学校へ向かおうとする彼女の姿に感銘を受ける)、 雨はいよいよ激しくなり、雷まで伴いはじめた。 ときおり部屋中がカカカ、ピカーッと光る。 カーテン越しなのに、一瞬、部屋全体が膨らむかのように、とてつもなく明るく。強く。なんとも異様に。
雷と稲光の間隔が近くなり、轟音が容赦なく響き渡った。 電気が切れては点き、点いては切れた。 珍しくぷーが落ち着かず、震えている。 こんな彼を見るのは初めてなので、もしかしてこの家に落ちるのかなぁ・・・とまで思ってしまった。
雨は、8時頃に一時的に静かになったが、その後もずっと降り続けた。 「これから、雨が降るたんびに、どんどん寒くなっていくんだよ。」 こころの言葉を思い出す。学校で聞いたのか、フェリーの中で見る天気予報で聞いたのか。
一日中、雨だった。 ときどき、雨の様子を窓から眺めていた。 雨は激しく降ったかと思うと、突然やみ、鳥の囀りが響く。 そしてまた優しく降り始める。ちいさな波が打ち寄せるみたいに。 降ったり、やんだり。 大きく、ちいさく。 激しく、優しく。 遠く、近く。 心地良い雨の音は繰り返された。
誰かが泣いてるみたいだなぁ。。。と、ぼんやり思う。 涙を落としてぽろぽろと。 何かを思い出すかのようにしくしくと。 そして、泣き止んだかと思うと、また激しく、揺れるほどに泣き始める。 あらゆる悲しみは、そうやって地中へとしみていくのだろう。
どこもかしこも濡れに濡れている。 わたしはいつまでも眺めていたいと思う。
雨の日は静かにしずかに世界が満ちていく。
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