2002年11月27日(水) |
Everybody's trying to please me, baby |
8時朝食。当然イングリッシュと思いきやコンチネンタル。ちょっとがっかり。
ケン・ハイのインターネット・カフェに行くが、日記更新のパスワードがわからない。私っていつもこう!
向かいのカフェでイングリッシュ・ブレックファストを食べる。観光客向けなのか、この頃のロンドンはイングリッシュ・ブレックファストを一日中サーブする店も多い。トーストに卵、ハム、フライドトマト。以前はソーセージはつかなかったが、今は大抵ついている。
隣に座った金持ちそうな初老の紳士がしきりに話しかけてきて、これからシティに行くのだが一緒に行かないかと言う。これってナンパなのか? 店員もやや呆れ顔で笑っている。シティ(大きな銀行やオフィスの集まる地区)になんか行って何するって言うのか。シティに用がないので、と断ると、すごく悲しそうな顔をされるが、いや、だって困りますもの。
大好きなケン・ハイをぶらぶら歩く。あれ、何かおかしいな。あれ?
わ!!
ケンジントン・マーケットがない!!!!
跡には更地が残るのみ。嘘でしょう! あの俗悪な看板。地下にひしめくロック・ショップ、アクセサリー店、洋服屋。モヒカンが一人でハサミ一本でやってる床屋。おかしな連中がぎっしり詰まった下品の殿堂。
ショックを抱えてケンジントン・ガーデンへ。予定通りにラウンド池のほとりで凍ってみる。10年前と全く変わらない風景。同じ白鳥。
ロイヤル・アルバート・ホールへ歩いていくが、ジョージ・ハリスン追悼コンサートのチケットは既に完売。価格未定なんてのがそもそも誤報だったようで、情報が嘘なんてのはイギリスの得意技。例えばコンサート開始時間なんて、ウェブと新聞と情報誌、全部違ったりする。どうしろってんだか。実際行くと全部間違ってたりする。
チューブでカムデン・タウンへ。6駅中2駅を飛ばされる。これもロンドンの得意技。スト(ほぼこれ)だの爆弾騒ぎだの事故だので、しょっちゅう駅が閉鎖されるのだ。常にアナウンスに注意していないとひどい目にあう。バスがバス停を飛ばすことすらある。次のバス停まで走って追いかけて乗ったことも。
マーケットを見てまわる。昨日ホテルへの道をおしえてくれたジーンズ店の男性(Jo)がストール(出店)を出していた。覚えていて声をかけてくれる。
レザーショップの店員に土曜の夜に飲まないかと誘われる。じゃあ土曜に来るよと適当に返事。(私は今後この手のしつこい誘いは全部適当に承諾し、きれいにすっぽかすことになる)
Geeという名の黒人の男の子からマリーを買う。本物?と聞くと、汚い建物の裏に連れて行かれてブツを吟味させられた。1/4ポンドで8,000円。安いような気がするが、よくわからない。とりあえず6,000円に値切る。
Geeは私に携帯番号をくれて、これで君はもう俺の顧客だと言う。うーん。
靴屋の店員が可愛い日本人の女の子だった。体に18箇所ピアス(鼻の付け根に横からぶち込むわ、上の歯茎の根元に入れるわ・・・)したうえに、全身に刺青をしていた。日本に帰る気なんかない、と言うが、入国審査を通らないんじゃないか。
同じ靴屋の店員に今晩飲もうと誘われるが、これは珍しくちゃんと断る。
エレファント・ヘッドというパブでピターを飲む。名前がいい。ベット・ミドラーに似て、ジョプリンみたいな声で喋るママがいた。
Everybody's trying to please me, baby (皆が私をちやほやしてる) * It's So Easy / Guns 'N Roses (1987) の歌詞。
2002年11月26日(火) |
Ten Years Gone / Led Zeppelin |
哲(b)に見送ってもらって11:50のヴァージン・アトランティックで成田を発つ。ヴァージンは前から乗りたかったが、運賃が高いので避けていた。ところが今回オフ・シーズンのせいか往復で何と6万円台。
乗ってみてかなり満足。配られたグッズは全てショッキング・チェリー・ピンク。トイレのライトはサイケなビビッド・ブルーで、まるでカフェバー。
ヴァージンの売りは、エコノミーでも全席パーソナル・ビデオ付であること。CDジュークボックスもあり、早速"By The Way"を頭から通して3回聴く。幸せ。隣に誰も座らない席を希望した為、脚を伸ばしてくつろげた。快適。ジンをロックでもらう。
もともと飛行機では寝ないのだが(結構乗ってるのが好きなので)、今回も、搭乗前の時点で48時間寝てなかったにも関わらず一睡もしなかった。
しかし機内食3回は多い。食べ過ぎた。カトラリーもチェリー・ピンク。
ヒースローからチューブ(地下鉄)のピカデリー・ラインでアールズ・コートへ。B&Bに17時半チェック・イン。私の部屋は2階(日本でいう4階。M階もあるので) 小さいが快適な部屋。寒さだけを心配していたが、ヒーターが充分暖かい。トイレを流すのにコツがいるが、何とか会得した。
リフト(エレベーター)がぼろく、これも動かすのに苦労する。何と「リフトが止まっても慌てないで!」の張り紙あり。大丈夫かよ・・・
ベッドでちょっと一休み・・・のつもりが気絶してしまい、3時間寝てしまった。何しろここまで65時間以上寝てなかったからね。
既に地下鉄も終わる時間。どこも行けないかと思ったが、ふと思いついて午前2時にケンジントン・ハイ・ストリートに歩いていってみる。(ガイドブックに「女性は夜は決して一人で外出してはいけません」って書いてあったような記憶もあるけど。気のせい気のせいw) 何とホテルから徒歩3分。
ホーランド・パークの入り口前から懐かしいケン・ハイを歩く。店はほぼ全部閉まっているが、店のショーウィンドーを眺めながら歩く。変わらない店、初めて見る店。ヴァージン・メガ・ストアが出来てた。
ロイヤル・ガーデン・ホテルへ行くが、バーもちょうど閉まったばかり。
10年前にここにダンナ(当時はまだ彼氏)と泊った。
あれから10年だなんてね。既にロンドンに来るのは3回めで、そしてダンナは失踪中か。何て劇的な人生だろ。
ロイヤル・ガーデン・ホテル向かいの24時間営業のスーパーでTime Outを買う。ロンドン版ぴあというところ。
アールズ・コート・ロードに戻り、インディアンのカフェを見つけてサモサを食べる。ホテルに3時半に戻る。
2002年11月23日(土) |
In my Shangrila |
ロンドン行き、近し。
最近は新宿ロックバーRSに御執心なので、それより楽しい夜遊びが出来るのか?なんて思ったりもする。
大体何だってこんな寒い時期に行くんだ。日照時間だって異常に短い。22時頃まで明るい夏に比べ、冬は15時には暗くなってしまう。
3回めのロンドン。
最悪の天気、最悪の食べ物、最悪の水。
労働意欲のない商店の売り子たち、爆弾騒ぎでしょっちゅう封鎖される道路や駅。
すぐ壊れる電化製品、真冬に効かなくなるヒーター。修理を頼んだって、理屈ばかりこねて、かなりきつく言わないと直そうとしない。大人しくしてたら、直るのは1ヶ月先だ。
全然役に立たない電車内アナウンス、全く聞き取れないバスのアナウンス。
時間を守らないひとたち(私の比じゃない。1時間とか平気で連絡なしで遅れる)。
届かない郵便、使えない公衆電話。
停電、ガス爆発、工事中、スト。
ああ。
うっとりしてきた。
サーペンタインのほとりで、凍えそうになりながら恍惚としてる自分が見える。
Sit back in your old rocking chair
You need not worry, you need not care
You can't go anywhere
Shangrila
In my Shangrila (私の楽園で) *Shangri-La / Kinks (1969) の歌詞。("In your Shangrila"のもじり)
2002年11月19日(火) |
今回は64時間起きていましたとさ |
今日の日記は内容が二人にしか通じない。
Katzへ。
私あの時、このままでいれば死ぬんだって思ったら、もうおかしくておかしくて、げらげら笑い出しちゃったんだ。目の奥は5、6時間前からかなり圧迫されてたし。笑ってたらそのうち涙が出てきて、ぼろぼろ泣いた。
そして、「今死んでも後悔しないだろう?」って聞かれた時に、もう自分でも思いがけないほどに動揺した。文字通り固まった。理由が全然わからなかった。今でもわからない。「助けて」って思ったけど、何からかわからない。
ぶっちゃんへ。
ありがとう。助かったよ。
* 意味が知りたい方はこちらへ。
2002年11月18日(月) |
How does it feel to be on your own |
"A rolling stone gather no moss."
「転がる石は苔むさず」などと訳すから誤解を招くが、一ヶ所に留まらないでふらふらしていると財産が出来ないという意味である。
そして'Rolling stone'といえばやはりボブ・ディランの'Like A Rolling Stone'なわけで、この曲を知らずにロックファンもあるまい。ところが実は私はこの歌の詞の内容を全く知らなかった。あんな鼻声では聞き取りも出来ない。でもまあ'Rolling stone'なわけだから、放浪の自由を歌っているんだろうくらいに軽く捉えていた。切ないながらもどちらかと言えば明るい曲調だし。
で、何となくネットで歌詞を出してみた。
────かなり驚いた。
Now you don't talk so loud
Now you don't seem so proud
About having to be scrounging for your next meal
って。
これは、裕福でプライドの高かった人間が、道端で食べ物をあさるまでに落ちぶれる歌だ────しかも、女が。
ことわざのままの意味だったんだ。サビの歌詞には殆ど具体的な部分がないから、そこだけだとわからないけれど。
How does it feel ?
そう聞かれても、Well, not bad!くらいに答えられる状況だとばかり思っていたのに。
一気に落涙してしまった。別に自分の将来を重ねたわけじゃない。今までずっとこんな歌詞だなんて知らないで、喜んでサビの歌詞だけ歌ってたのに。実は悲惨な内容だった。何でディランはあんなに明るく歌えるのか。
悲惨? 違う、そうじゃない。違う違う。
ねえ皆これ知ってんの? 歌詞の内容わかってた?
新宿のRolling Stoneのラスト曲にこれがかかる時に、喜んで踊ってたみんな。
How does it feel ?
これってあんた達が一番、骨身にしみるはずの言葉だよ。別に明日は我が身だなんてこと言ってるんじゃなくて。
ねえ、一晩中楽しく飲んで踊って、4時に店がはねて、一人で家に帰る時に、理由もなく泣きたくなったことない? 例え家族や恋人が待ってる家に帰るんでも。自分の中が空っぽになったように感じたことない?
少し感情的になり過ぎだって? そうかもね。でも自覚があろうとなかろうと────
私たちは皆、一人で死ぬんだよ。知ってた? 本当に知ってた?
ほら、もう一回聞いてごらん?
How does it feel ?
How does it feel ?
To be on your own
With no direction home
Like a complete unknown
Like a rolling stone
How does it feel to be on your own (何一つ頼るものがないってどんな気分だい?) *Like A Rolling Stone / Bob Dylan (1965) の歌詞。
パーキンソンの法則というのがあるらしい。曰く 「仕事の量は、使える時間が増えるにつれて限度まで増える」 ・・・なるほど。道理で私が毎日忙しいわけだ。他人の台詞とは思えない。パーキンソンの法則なんて初耳。まあ土屋賢二が書いていたことなので、パーキンソンの存在自体嘘かも。
みうらじゅんは、ロックのある時代に生まれ多大な影響を受けた自分は、今後どんな人生が待ち受けていようと大丈夫だと言う。何故なら、「カッコイイものの基準がある生き方に迷いや悩みはない。そんなことをしている暇なくボクはカッコイイものに近づいていかなければならないのだ」
これを読んで深ーくうなずいた次の瞬間、げっとなった。自分の中にずっとあった、もやもやしたモノの正体が見えたのだ。
こ、これはまずい。
私は勿論ロック好き。人格形成において多大な影響を受けている。その私のかっこ良さの基準。──今現在の例で言えば、レオン・ラッセル、ロビー・ロバートソン、リック・ダンコ、スティーブン・タイラー、リアム・ギャラガー、カート・コバーン、ジム・モリソン、イジー・ストラドリン、日本人なら町田康。このラインナップを見て、何がまずいかわかりますか?
これ、全員、男なんである。
以前この日記に、女だと「堕ちる」のも大変と書いたけど、それ以前にそもそもの目標設定が間違っていたことが明らかになったわけだ。目から鱗が落ちた。落ちたものの、理想は変わらない。
────どうしよう?
朝10時近くまでスフォ(vo)とチャットし、42時間ぶりに寝た。で、軽い咳の発作で目が覚めた。時計を見ると3時半。
3時半? はあ? 暗いんだけど。午後3時半まで寝たとしたって5時間半だから、普段からすりゃかなりよく寝たほうである。
意味がわからず携帯の日付を見る。15日? 金曜日? ええええ!!!!! 木曜はどこへ行ったの?
17時間半!!! 17時間半寝ちゃった! この3ヶ月、2〜4時間睡眠が当たり前だったのに。私病気かしら? えええええ。
思い当たることが一つある。少し前に母が送ってきた粉末状の青汁。劇的にお肌がきれいになるというので、コーヒーと睡眠不足でぼろぼろの肌に良いかと思い、素直に飲んでいる。
で、これが。眠くなるんである。これを飲み始めたと同時に、ずっと起きているとものすごく眠くなるようになった。日記を振り返って見ると、7日の日記に9時間寝ちゃったと書いてある。・・・母が青汁を送って来たのはその前日。えええ、肌がキレイになるって、そういうこと? 何か知らんけど恐るべし青汁。
今だけかもしれないが、呼吸もラクになっているし。うん、かなり楽だ。実は夕べ寝る前に、体の不調が続くことにいい加減キレそうになったのだ。寝れば良かったのね。っていっても寝られなかったわけだけど。
面白いことには、17時間寝たら体重が1.5Kg減ってたよ。ははは。皆これダイエット方法にすれば。
この17時間半の間、PCにはメールが6件来ていたものの、家の電話も鳴らず、携帯には電話もメールも入らず、本やCD宅急便も来なかったわけで、こんなのは本当に珍しい。みんなして私を寝かしてたのね。
もうひとつ。今回は42時間起きていたのだが、午前4時頃に突然死にたくなった。驚くほど突然に強烈に死にたくなった。もう何もかもいやになった。痛いのも苦しいのもダメなので、そこで具体的に何をするという発想にならないが、少し前からきていた眠気のくらくらする感じも手伝い床にへたり込んでしまった。しばらく動けなくなる。
ルカ(兎)にご飯をねだられて、ようやくその状態を脱する。睡眠薬のようなお手軽な手段が手元になくて良かった。
17時間寝た今、何で死にたかったのか、さっぱりわからん。いや、わかるけどね。まあ、死なないよ。
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