2006年11月10日(金) |
My heart is under arrest again |
突然の爆音で恋に落ちてから一年二ヶ月、これが二度目の惚れ直し。ええもう認めるわ、あなたにめろめろ。
今日、フー・ファイターズの新譜'Skin And Bones'を聴いた。
新譜が出るというので何の予備知識もなくAmazonにオーダーし、届いてみたらライヴ盤だった。私ったら、レッチリの新譜が出る時の大騒ぎ及び心の動揺に比べ、何て適当な態度だろう。フーファイに関してはとてもおおらかな気持ちで対応出来るなあw
そのライヴ盤を今日iPodに入れて、BLACKに向かいながら爆音で聴いてみたら、何とアコースティック。次々曲を聴いてみるが、どれも悪くはないがどうということもない。バイオリンやマリンバが入っていて、特にいらない気もする。愛する'Times Like These'も、アコースティック・バージョンはすでにいくつか聴いていたがたいして気に入らず、このライヴの演奏も特に変わりはない。
・・・つまんないなあ。CDも持ってきてるし、BLACKに着いたらジンナイくんに売っぱらっちゃおうかな?とまで考えながら歩いていたら。その時、ぼそぼそとMCをしていたデイヴがいきなり。突然。たった一人で。
"...I've got another confession to make. I'm your fool"
'Best Of You'───去年出た'In You Honor'の1枚目の3曲目。今までは普通に好きだった。ほんのちょっと、その激しさがしつこい印象もあった。それが、アコギ一本の弾き語りだというのに、フルバンドの何倍も力強く太くなって、それでいてムダがすっきりと取れて。────思わず道端で「かっこいい!」と叫ぶ。
何て声だ。
ごつごつして、野太くて、喉にかかったがらがら声。発声法も何もあったもんじゃない。低いところは恥じらいもなく甘く鼻にかけ、高いところは何も考えずに力いっぱい喉から搾り出してしまう。デリカシーのかけらもなくて。粗野で。
────────死ぬほど最高。
あまりの感動に息が苦しくなる。サビで"best"と叫ぶ音の快感にうっとりとなる。それ、それちょうだい。もう一度言って。
途中のサビは、その箇所でなかなかその単語が出てこない。
"Has someone taken your faith? Its real, the pain you feel. The life, the love. You die to heal. The hope that starts the broken hearts. You trust, you must confess"────この単語が全部'best'が入るのと同じ位置なのだ。なのに'best'のひと言をくれない。違うの、それじゃなくて、欲しいのはそれじゃなくて。
"Is someone getting the best, the best, the best, the best of you?"
────そう、それ。ああ、腰が砕ける。
今夜はBLACKにきのぴーが来てくれた。おお、嬉しい。大貫妙子のCDをプレゼントしてくれた。
会うのは7ヶ月ぶりだが、「もしかして太った?」と訊いたら、満面の笑顔で「あれから二度妊婦と間違われた」と言う。・・・あああ。
やはりあれから彼氏は出来ていないらしい。・・・ふっ、じゃあ今年はきのぴーと勝負してやろうか。「・・・クリスマスまでに彼氏つくれるか賭けない?」と言ったら、「えー、Bunnyとあたしじゃハンデもらなわきゃ!」と言う。「どんなハンデ?」と訊いたら、「Bunnyはクリスマスまでで、あたしは3年後」って。・・・・・そこまで卑屈にならんでもw
去年はmちゃんと同じ賭けをした。二人ともダメそうなので二人でイヴに食事する約束をした矢先、私がデートに誘われてmちゃんをドタキャンするというヒンシュクな事態であったが。そのくせ私は、食事後に彼の家まで行っておきながら、0時前にはさっさと電車に乗って帰り、帰宅途中でメールした皆に「随分お早いお帰りで」と驚かれた。
あの日私は髪をくるくるに巻いていた。多分それが悪かったんだろうね。──だってほら、寝たらカールがぐちゃぐちゃになっちゃうからね?
My heart is under arrest again (私の心はまたあなたの虜) *Best Of You / Foo Fighters (2005) の歌詞。
2006年11月07日(火) |
Can't you hear me knockin', ahh, are you safe asleep? |
23時半にyer-bluesさんから酔っ払い電話。今日は時間が早いな。
このひとからの電話をいちいち全部書いているわけではない。何しろかなりしょっちゅうかかるのだ。用がないのはわかっているので、忙しければ取らないことも多い。取れば100%酔っ払っていて、かけたのを後で忘れていることも多い。
話しかけるから返事をしたら、「うるせえ、黙ってろ」と言ったりする。サイアクである。すぐに「Fuck!」と連発するし。何でこんな酔っ払いの相手が出来るかと考えたら、やっぱり結局は話の内容が100%近くロックの話だからか?
あと、これはあまり書きたくないが、実はyer-bluesさん、いい人なんだよなあ。
本日の電話は(よくあることだが)バックに轟音のロックを響かせていた。(ロックバーにいるかのように演出していたが、実は自宅で誰かにCDをかけさせていたらしい) 最初は音がでか過ぎて何だかわからなかったが、よくよく聴いたらローリング・ストーンズの'Can't You Hear Me Knocking'のラスト部分だった。・・・と、思ったら続いて'You Gotta Move'が。大声で一緒に歌いだすyer-bluesさん。
・・・・・てっめえ。
'Sticky Fingers'聴いてるんだったら、なんで1曲目からかけてこないっ。
よりによって4曲目からって。私はストーンズでは'Sticky Fingers'の最初の3曲が一番好きなのに。
・・・私はねえ、かつて「ブラウン・シュガー・バディ」(どんなバディかは不明w)と呼ばれたくらいに'Blown Sugar'がめっちゃくちゃ好きで。'Sway'はBLACK AND BLUEに初来店した時の初リクエストで、去年はずっとギター・ユニットでカヴァーして。'Wild Horses'は2003年にもう死のうかと思った時に救ってもらった恩人みたいな曲で。その3曲をわざわざ飛ばしやがってぇ。
と思っていたら、yer-bluesさんがでかい声で「おい! 10番かけろよ!! 10番をよぉ!!」と叫んだと思ったら、音が一度ぴたっと止まって、その後'Moonlight Mile'が。・・・あー、10曲目ってことね。ラスト曲か。・・・'Bitch'も好きなんだけどなあ。
yer-bluesさんはその後、切っちゃあすぐかけ切っちゃあすぐかけ、1時までの1時間半、ただただ電話越しに私にロックを聴かせ続けた。たまに喋り、たまに一緒に歌う。私は殆どの間、携帯をハンズフリーにしてPCをいじっていたが。
4、5回目の電話の時、いい加減もう断ろうと思い、取るなり「あのね」と言いかけたら。何と。この世で一番好きなベース音がして。何と。
────'Can't Stop'がかかった。割れるような爆音で。
・・・・・・・・・・・・・・じーん。
初めて電話越しに'Cant't Stop'聴いたけど。やっぱりいいなあ。音が割れてるけど、それでも感動的。
それでうっかりその後もずっと相手しちゃったんだってば。
Can't you hear me knockin', ahh, are you safe asleep? (これ聞けよ? 寝てた??) *Can't you hear me knocking / Rolling Stones (1971) の歌詞。
2006年11月04日(土) |
All the time I find I'm living in that evening with that feeling of sticky love inside |
夜、一人きりでいるのが4日ぶりなので、何だかすごく静かだ。今夜は珍しく音楽も聴いていない。
午前3時にNobuから電話があって、切ったのをきっかけに、何となくケイト・ブッシュを少し聴く。私にとってケイト・ブッシュとは最初の4枚───3年間の沈黙に入る前の、何かに憑かれたようなあの4枚のみだ。あれこれぱらぱらと聴いて、結局は1stの"The Kick Inside"にしみじみと感じ入る。
これを出した時、ケイト・ブッシュは19歳だった。これに出会った時の私も19歳。そしてその臆面もない耽美主義、肉体的に未熟なのに、皮膚と心が内側から赤く発光するほどに燃え上がっている「お嬢さん」の"L'Amour"に圧倒された。自分の哲学と自分の性の折り合いがつかずじたばたしていた当時の私に、"L'Amour Looks Something Like You"の"I'm dying for you just to touch me"というフレーズは、軽い恐怖すら抱かせた。だがそのメロディの、何と美しいこと。
この音楽は、何もない夜に、架空の恋心を生み出す。おかげで私は、恋愛体質にすっかり拍車がかかってしまって。
その半年後の夏の夜、私は自分のバンドのベーシストの部屋にいた。ベランダに通じるガラス戸をあけて、低く"Moving"───"The Kick Inside"の1曲目を歌った。自分の声が夜に拡散した。彼が横で黙って聴いていた。
──────まあ、多分、そういうことがいけなかったんだろう。
彼と一緒に暮らし、結婚して、離婚して。その代わりが探せず。
今は私の哲学と性とは混じりあっているけれど。今は、愛したい気持ちと歌いたい気持ちの区別がつかなくなっている。
この世には、真実なんかより美しいものがあって、それが私を眠らせてくれない。それが私を平穏な巣から追い立てる。
All the time I find I'm living in that evening with that feeling of sticky love inside (いつも自分があの夜に戻っていくのを感じる。あの時感じた粘りつくような恋心に) *L'Amour Looks Something Like You / Kate Bush (1978) の歌詞。
2006年11月01日(水) |
Now I’m stepping out this old brown shoe, baby, I’m in love with you |
夕べの時点では今日は仕事を休むつもりでいたが。何とか新宿へ出向いて、授業をこなした。
終了後、珍しく買物へ。元々買物は面倒なので、ここ数年は何を買うのも全部ネットだ。本、CD、服、家具、最近ではドラッグストアにあるような日用品までネットで買う。だが、今回靴だけがどうしてもネット上で選べず、久々に「現場」に出向いてみたのだ。
今メインではいているショートブーツは、2002年には既に母に忌み嫌われていたドタ靴だが。靴の好みが(見た目と実用性両方にわたって)かなりうるさい私にとって、5年10年に一度の逸品だった。それが愛用し過ぎて、厚底のラバーが磨り減り金具の頭が見える事態になってきたのだ。
───しかしこの靴、カタログ通販で6,000円で買ったのにおそろしく丈夫で、同時に他の靴を何足もはきつぶす間を耐え抜いてきた。軽くて足に一切負担がない。レッチリ、ハノイ、キルズとブルース・エクスプロージョン、テレヴィジョン、ロック・オデッセイのレニー・クラヴィッツ、全て最前列付近の激戦区をこの靴で乗り切った。かたちのうえで「絶対に人に踏まれない」靴なのだ。
前回のロンドンもこれで歩き回った。雨が降っても全く濡れないし水溜りに踏み込んでも平気だから。
そして最大のポイントは、この靴だと脚が細く見える。ブーツカットにシェイプがぴったり。くすんだグレーとブラウンの中間色で、どんな服とも色が合う。
そんな馴染んだ一品の代わりを探して、数時間うろつく。最後はあるショップでショートブーツを3足試して、そのうちの1足に決めた。私は靴を試す時はかならずバックステップを踏んでみる。踊れるか、ステージで動けるかを見るのだ。この靴だと軽く足が動く。
ぱっと見は他の2足の方が気に入ったが。結局ブーツカットで隠すことを考えるとフット部分以外のデザインはあまり関係ない。実際にはいた時の印象と、その履き心地で決定した。いい買物が出来たと思う。この靴なら、今のよりも好きになれるかもしれない。
男を選ぶ時もそういう風に「相性」と「本質」で選べばいいのに・・・と自分で突っ込む。履き心地を吟味どころか、サイズが合うかどうかすら見てないもんなあ。
夜中にNobu(b)が来る。今回はオレンジ、レモン、グレープフルーツを買っておいて、ジン・ロックに絞り入れてみた。果汁で割ると薄くなるが、これだと香りと風味だけを楽しめる。Nobuにもかなり好評で、そのせいか元々お酒の強い彼が、更に相当なピッチで飲んだ。
誰かにジンのカクテルをつくってあげること、またはコーヒーを入れてあげることは大好き。Nobuは両方好きだから、こちらも楽しい。
そういえば前回彼が来た時にオンリー・ワンズを聴かせたのだが、見事はまったらしく、購入してこの数日聴きまくっているという。・・・やっぱり、好きだと思ったわ。
オンリー・ワンズはかっこいいのに。何で誰も知らないんだろうなあ。
Now I'm stepping out this old brown shoe, baby, I'm in love with you (この古い茶の靴を脱いで、新しい靴を愛用する) *Old Brown Shoe / The Beatles (1969) の歌詞。
2006年10月29日(日) |
Please, I just got to talk to you |
夜、yer-bluesさんから恒例の酔っ払い電話。これは出来ることなら一度録音してここにリンクを貼りたいくらいだ。愛情3割、'Fuck!!'3割、弱気1割、ロック5割、・・・えっとたして何割だ?
放っておくと今いるロックバーの音楽をえんえんと聴かせたり、バンドとスタジオに入ってギターをえんえんと弾いたり、家に帰ってピアノをえんえんと弾いたりする。携帯をつながったまま放置するとか、途中でぶちっと切るくらいのことは出来ないと、とてもこの数年つきあってはいられない。
そのくせかけてくるなり、「怒ってないか?」と訊いたりする。いつも「ううん、まだ」と答えているけどw
今夜はドミンゴにブルースハープを吹かせるから聞いてくれという。・・・電話の向こうでドミンゴの「きゃんきゃん」という困った鳴声が聞こえている。
ドミンゴよ・・・きみに会ったことはないけど、yer-bluesさんの飼い犬をやっている大変さはお察しするわ。
yer-bluesさんが言うには、ドミンゴは私との電話に出させようとすると、息が荒くなるんだとかw
いつも通り「朝までこのまま話していいか?」と言われたので、いつも通り「いや」と答える。
Please, I just got to talk to you (ただ話がしたかったんだ) *Sick As A Dog / Aerosmith (1976) の歌詞。
2006年10月28日(土) |
To understand the scheme of things. Just in time the scene has changed |
私のベスト1ミュージシャンはレオン・ラッセルだ。これはある時からそう決めた。
私は子供の頃からずっと、周りは音楽を聴く人間ばかりだった。特に16歳でバンドを始めて以来、要するに好きになる男も友だちになる女も全部ロックつながりなわけで、そういう環境を自分でつくってきた。だから、好きで普通の会社に入っておいて、「ロックの話が出来ない」なんて不満を言う人間もどうかと思う。
で、そういう人生で、いやになるほど繰り返されてきた質問がこれ。「誰が一番好きなの?」
ベストワンのアーティストまたはバンドなんて、自分だってまず答えられないだろうに、人は何故かこの質問を繰り返す。そして訊かれた方が答えに手間取るのは、本当に迷っている以外に、どう答えるのが自分を最大限にアピール出来るかと考えてしまうからだ。
で、面倒になったので答えを決めた。「レオン・ラッセル」と。以後20年間、この選択を後悔したことはない。
実はこの答えは非常に便利でもある。何故なら相当のロック好きしか、レオン・ラッセルをちゃんと知らないからだ。ビートルズと答えても、レッチリと答えても、「ああ、そういうの好きなんだ」と物凄く粗雑な納得をされる恐れがある。(ビートルズが「どういうの」だか言ってみろ!!) だが、レオン・ラッセルなら大丈夫だ。
高円寺のCROSS ROADに一年間勤めた間、女がロックバーのカウンターに立っていると値踏みされるのか、たまに「君、何が一番好きなの?」と試すような口調で言われることがあった。そういう時、「レオン・ラッセルです」と即答すると、たいてい相手がふっと黙ってくれる。語るだけの知識がないか、または知っていればこの名前に気圧されるのだ。
今夜、まちょ(g)に渡すXeroXのコピー用音源を焼いていて、一緒にレオン・ラッセルの2ndも焼いてあげようと思ったら、つい録るのも忘れて自分が聴き惚れてしまった。久々にイヤホンで大音量で聴いたので、血管に注射しているかのように音楽が入ってきて、あまりの衝撃にへたへたとなる。
私は1stがレオン・ラッセルの真髄だと思っているが、2ndを聴いている時はその判断が揺らぐ。1曲目の'Stranger In A Strange Land'の出だし、ピアノの一音一音、'Wow-oh'というひと声、そして歌に隙間なく圧倒される。"He shares a simple secret with the wise man."の"w---ise"という部分に揺さぶられた時には既に泣いている。この間わずか50秒。以後2曲め以降もびっしりと感動が続く。
B面のトップは'The Ballad of Mad Dogs and Englishmen'で、私は昔この曲を聴いて詩を書いている。B面ラストの'Beware Of Darkness'にはっきりとロックの危険性を告げる警告を聞き取り、しかし既にその「車」から降りる気がない自分、降りないで連れ去られることの快さに慄き、悲痛な覚悟を書いた私が、そのすぐ後に'The Ballad of Mad Dogs and Englishmen'を聴いて、全く趣の異なる、いわばあたたかい詩を書いている。私はこの曲に、自分を駄目にすること、生きる能力がないこと、何も持たないことへの優しさを感じ、慰められたのだ。
───歌詞の内容ではなく、曲そのものの話だ。歌詞自体は殆ど意味のつながらない言葉が並べられていて、ひたすらその音が美しい。"Union members. Leo Fender's pride and joy. Electric toy."といった具合だ。R.E.M.のマイケル・スタイプは、「イエローページを読んでも人を感動させられる」と言われているが、レオン・ラッセルは「全ての単語を感動的な発音で歌える」のではないか。
と、すっかりひたりきっていたら、ちょうどまちょからメールが来たので、2ndを焼こうとしていることを言ったら、既に買ったとの返事。
────────エクセレント。
To understand the scheme of things. Just in time the scene has changed (ちょうど私が我にかえった時、あなたが理解の手をさしのべる) *The Ballad of Mad Dogs and Englishmen / Leon Russell (1971) の歌詞。
2006年10月21日(土) |
Beautiful garbage |
"Shirley, who's probably the best rock star I can name right now. Just the DNA on her. Sure she's just born rock star. I have to actually try. She's just it."
YouTubeでたまたま見つけた、たった8秒のコメント映像。
コートニー・ラヴが、ガービッジのシャーリー・マンソンを絶賛している。
私は音楽雑誌どころかCDのライナーノーツすら読まないので(そもそも輸入盤好き)、アーティストの基本的背景も全く知らない。だから、コートニーがシャーリーと知り合いかどうかさえ知らない。おそらくこの感じだと、友だちなのかもしれないが。
何か感動的だな。何だか嬉しい。
私がコピーする三人の女性シンガー。ホールのコートニー・ラヴ、ガービッジのシャーリー・マンソン、キルズのVV(ヴィヴィ)。
私は彼女たちとばらばらに偶然に出会い、それぞれの人となりも全く知らぬままに、勝手な共感を抱いている。
コートニーは、何しろ話題性が高いので、三人の中では一番情報量が多いが。私の知る限り、この世で最も可愛い女だと思う。彼女が何かのライヴのMCで、「エリック(g)は私のことを彼女にしてくれないのよ・・・私があんまりにもブスだから」と言っていたが。私は彼女がこういう発言をするのを見ると、涙が出そうになる。多分本気で言っているんだろうなあ、と思う。哀しそうにきれいな顔で微笑んでいる。───いいから誰か、行ってあの女を抱きしめてやれ、と言いたくなる。
彼女の書く詞は、いつも何かに魅せられている。彼女はベタニヤのマリアだ。ぽかんと口をあいて、キリストの端正な顔をうっとりと見ている。
VVは人間だと思えない。歌うお人形だ。彼女自身がそう思われたがっている。ステージでひと言も喋らず、化粧どころか髪をとかすことすらしない。前髪を全部前に垂らして顔を隠し、歌いながら煙草を吸って、口に含んだ水を床に吐きだす。
ライヴの最前列にいた私を、「殺すぞ」といわんばかりの眼でにらみつけていった時は、腰が抜けそうなほどぞくぞくした。
最高のフェイクのお嬢ちゃん。どうせあんたが本当は純粋で一途だってことは見ていればわかる。ホテル(g)しか眼に入ってないんだよね?
かっこいいお嬢ちゃん、あんたには負けないよ。
シャーリーは、見ていて冷静ではいられない。不幸な歌詞、挑戦的な歌詞、諦めた歌詞、自分を食い荒らす歌詞。助けを求める歌詞。
彼女が子供の頃から外見をからかわれてすさんでいたと知って、自分のことのように感じたのは何故なんだろう。私はそんな体験はないのに。
シャーリーがライヴで幸せそうに笑ったり、少しでも救いのある歌詞を書くと、私は心底ほっとする。
だからそんな彼女をコートニーが手放しで誉めるのを見て、何だかとても嬉しかったんだ。
Beautiful garbage (美しいガービッジ) *Celebrity Skin / Hole (1998) の歌詞。
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