| 2007年03月02日(金) |
I have never known the like of this |
そして明け方、ビートルズを聴いていた。──いや、私が未明の感覚なだけで実際は午前8時過ぎ。
アルバムの'Help!'を聴いていた。これを初めて聴いたのは小学生の頃。以来ずっと愛し続けたアルバムだ。'I've Just Seen A Face'から'Yesterday'という流れが大好きで。
「顔を見たんだ」という出だしの歌詞のはっとするような驚き。ベース抜きでアコースティック・ギター3本、ドラムはブラシ・・・そんなことが小学生にわかるわけもないが、こんな曲は初めて聴いたと思った。そしてその後に続く'Yesterday'が、あんまりにもきれいなので唖然とした。子供から大人まで、いや、兎にすらわかりそうなほどのうつくしさだ。初めて聴いた時からずっと、これが世界で一番きれいな曲だと思っている。
小学生だった私は、'Yesterday'の歌詞を聞いて、冠詞ひとつ落とさずに丸暗記した。そして、一単語ずつ辞書でひき、文のつくりを調べて、一行ずつ理解した。おかげでそれと知らずにかなりの文法を覚えた。
まるであの曲を理解する為に、英語を学んだかのようだ。
昨日はずっとNobuとメールのやり取りで泥沼化していって。彼と文章で話し合っちゃ駄目だということはわかっているのに。しかも多分彼が言いたいことは「いやだ」だけなんだろうに。実際出てくる言葉が全然違う。で、私は言葉の定義に忠実だから、言われたことを額面通り受け取って反応してしまう。
今日は今日であるひとからメールが来て、これがまた単語を適当に使っているらしくて、どういう意味で言っているのか訊いても答えられない。
普通なら激怒してもおかしくない内容だけど。別に他人だから、ただ呆れるだけだ。
今日は携帯メールが約40通。かなり重くて憂鬱になるのが3人と、来週飲もう的な軽いのが4人、これに交互に返信をすることでぐったり。誰にも会っていないのにへとへとだ。まだ風邪で熱もあるのに。
夜は着信が7回。Nobuからかかった時に、彼がXeroXのbbsに書いた書込みのことでつい怒って電話を切ってしまう。すぐかけ直してくれたので、何とか気分を整えたが。
最初の電話では泣きながら怒鳴っていた。
―――――バンド関連のことでは、我慢が出来ないんだよ。
I have never known the like of this (こんなのは初めてだ) *I've Just Seen A Face / The Beatles (1965) の歌詞。
| 2007年02月25日(日) |
It's coming up like a flower |
17時半にどるたん(vo,g)からメール。3/4のライヴに自分のバンドが出られなくなったので、代わりに出てほしいという。一瞬「ムリだよ」と思ったが。
見れば「Kinkstones」の文字が。え?Kinkstones? XeroXじゃなくて、Kinkstonesご指定??
さらに見れば対バンが、ストーンズのコピーバンドと、G.F.R.のコピーバンド。・・・ああ、なるほど。
何と3/4はKinkstonesのリハが入っているのだ。ということは、やる気さえあれば全員あいているということ。18:11に私以外のメンバー3人にPCメール。18:24に帝王さま(b)が了解。18:37にQ太郎さん(drs)が了解。
結局はみー(g)から了解が来たのは夜中の2時半。しかしそれでも普通に考えたらスピーディーな展開だ。
KinkstonesはXeroXより先にライヴすることになるだろうとは思っていたけど。思わぬことから急遽初ライヴ決定。
まだリハ5回やっただけのバンドだ。今回は集客の義務も全くないし、ライヴの練習くらいのつもりで、軽くやらせていただくとしようか。
夜にビートルズの1st、'Please Please Me'を聴く。21日の日記のタイトルに使った'Do You Want To Know A Secret'を何度も繰り返し聴く。
これには小さい思い出がひとつある。といっても一昨年のことなんだけど。
CROSS ROADに勤務中、お客の途切れた時に、'Please Please Me'のアルバムをかけながら、グラスを洗ってた。'Do You Want To Know A Secret'の歌詞に何となく聞き入った。そういえばこれの歌詞ってきちんと聞いたことがないな、と思いつつ。簡単な言葉だから、聞いていればわかる。
Listen (ねえ)
Do you want to know a secret (秘密をおしえようか)
Do you promise not to tell (誰にも言っちゃだめだよ)
Closer (こっちにおいで)
Let me whisper in your ear (耳をかして)
Say the words you long to hear (聞きたいなら言うよ)
I'm in love with you (きみが好きなんだ)
"I'm in love with you"の一行だけは最初からわかっていた。だから、"Listen"から始まってだんだん聞いていくにつれ、ああこれってこういうことだったの?という驚きが湧き上がり、最後はまるで、推理小説のオチのような衝撃を受けた。
メロディもまさしく、そこだけふっと変わって、どんでん返しのようだ。
────「きみが好き」のどこがオチだって? うん、勿論なんの意外性もない。どこも秘密でもない。馬鹿馬鹿しい。小学生みたいだ。
だから涙が出た。この会話が本当に出来るとしたら、その男の子と女の子は、その時天にも昇るくらい幸福に違いない。彼は彼女を本当に好きで、彼女も自分を好きだと確信しているから、この言葉が言える。
可愛いなあ、と思った。泣きながら笑った。羨ましいなあ、と思った。こんなに安心して、好きだと言ってしまえるなんて。こんなに安心して、好きだと言ってもらえるなんて。
「好きだ」って言われるの、好きだなあ。
これを思い出しながら、日記のタイトルをつけて泣いた。ついでに言うと、この文章を書いているたった今も泣いている。
またYouTubeのポール・マッカートニーの'Coming Up'も繰り返し見ては聴く。これもついでにと思い、検索で出した歌詞を読みながら聴いてみた。そしたら出だしがこうだ。
"You want a love to last forever. One that will never fade away"(永遠の愛が欲しいんだね。けして色褪せない愛が)
それに対するポールの答えが。
Stick around, I say (そこで待ってて)
It's coming up (もうすぐあらわれる)
"It's coming up like a flower"という言葉の美しさ。まったく実用性も合理性もない、非生産的な、「ムダな」美しさ。
天真爛漫な、無責任であどけない、幸福のうつくしさ。
・・・あーあ。涙とまんないわ。
It's coming up like a flower (花のように姿をあらわします) *Coming Up / Paul McCartney (1980) の歌詞。
| 2007年02月22日(木) |
It's there, it's round, it's to be found by you, by me. It's all we ever wanted to be |
13時半起。Nobuが15時半に帰ったので、一緒に出て南口のカルディに行く。
今日はいつものお菓子三昧をやめ、キペペオ(ケニアのコーヒー)、ウィルキンソンのジンジャーエール、カッテージチーズ、ブロークンのマロングラッセ、クレイジーペッパー、レーズンクリーム、クリスプブレッド、デュラムセモリナのパスタ。それとコーヒーフィルター。
リトル・マーメイドでブレッドを買った時、先日元ダンナが送ってくれたパンがみんなここのだと気づく。
近所のスーパーでレーズンとトニックウォーターを買う。私は炭酸を飲まないから、ジンジャーエールもこれもNobu用。
夜に、いきなりポール・マッカートニーの'One Of These Days'が聴きたくてたまらなくなる。YouTubeその他で出てこないので、もうmp3音源買っちゃえ(いい時代だなあ)と思ったが、アカウントを持っているサイトに'McCartney ��'が売っていない。ううう。
あのアルバムは、レコードで買ったのよ。だからターンテーブルを処分した後、聴けなくなった。2003年にY-BELL(b)が、カセットテープに録ってくれた。その後べつのひとがVTRをくれたが、とにかく今は見るのも聴くのもPCしかないもの。
YouTubeで'Coming Up'のPVは見つけた。(まあこの曲なら音源はあるけど) 映像はちゃちいし(どうもポールってそういうの好きみたいだな)、リンダもおばさんくさい。けれどこの曲は、何て見事なんだろう。
この世にはいい音楽は山のようにある。かっこいいミュージシャン、ぐっとくるバンドマン、カリスマのアーティスト、可愛い曲、泣きの一曲、腰骨に来るブルースの爆発。
でも、天才はそうはいない。こんなに完璧な、'flawless'(無疵)という言葉がぴったりな、球体のような音楽をつくるひとは。
'All My Loving'をつくったひとだ。頭のコードがDmであることの意味を私が理屈でわかりようもないが、それが与える印象の違いははっきりとわかる。
そしてこの天才は、まだ普通に生きている。それが更に、凄いと思う。
It's there, it's round, it's to be found by you, by me. It's all we ever wanted to be (その球体は、僕やきみのためにそこにある。僕らの理想の全てだ) *One Of These Days / Paul McCartney (1980) の歌詞。
| 2007年02月14日(水) |
Trick Or Treat |
ううむ。確か昨年末の時点で、バレンタインまでに彼氏をつくると宣言したような気が。で、今日ってバレンタインなわけね。
水曜は今のところ一番授業が忙しい曜日。先週生徒の一人に、「来週は授業はお休みにした方がいいですか?」なんて気を使われたりして。いえもう、全然もう、何ひとつ予定なんかありゃしませんから。
雨だしね。(昨夜も雨女の生徒が遅刻したから、だから今日は朝から雨なのよ)
今年のバレンタインは、ふたつのバンドメンバー全員ぶんのチョコを買い、更に本を4冊オーダーした。
たまたま先日、お友だちであるミステリー作家の大倉崇裕さんの本が文庫化されたので、チョコレート代わりに元ダンナ、雅樹、BZ、ジンナイくんの4人に贈ったのだ。本は好みがあるからプレゼントには向かないと思うが、この4人は最初の3人はかなりの読書好きだし、ジンナイくんもチョコより本を希望した。(結局チョコもあげたけど)
何より大倉さんの書くものは、誰が読んでも不快な筈はなく、軽いのに読み応えがしっかりあって、私としても安心してひとにお薦め出来るのだ。
これは大雑把に分けると、ジェーン・オースティンの「エマ」(1815年)のような小説と同じだ。時代もテーマも背景も文体も全く違うが、両者とも読んでいる数日間の気分を浮き立たせ、一気に読むのが惜しくてちょっとずつ引き伸ばして楽しんだりしてしまう。
ジェーン・オースティンも大倉崇裕も、いい意味で非常にフィクション性の高い(荒唐無稽ということではない)小説を書いているが、どちらもベースに自分が実際生きている世界を踏まえたリアル感がある。徹底的なフィクション、徹底的なリアルという小説も悪くないが、リアルを背負った自信を持って「お話をつくる」んだとしたら、それが最高のエンターテインメントになるのは当然だろう。
今回贈った本は「無法地帯」という。私は2004年に新刊で買ったが、ヨシト(g)に貸したら大好評だったので差し上げた。
この本は怪獣フィギュアや食玩のマニアの世界を扱っているのだが、その世界に全く興味のない人間でも、ちゃんと解って、しっかり楽しめる作品だ。逆に門外漢ならではの驚きと笑いもあって、一ヶ所爆笑したくだりもあった。
そして勿論、その世界の人間なら、何ともいえぬ手応えがあるだろう。
ところで私のこのサイト、実は最初の半年は'Reading Mania'というベタなタイトルの読書サイトだった。
以下は、当時からbbsに書込みしてくれていた栄えある「会員No.1」の武田くんが、「無法地帯」読後に私にくれたメールの一部。
あれは良い本でした。
「己の生き様を貫き通す」といった、いわゆるハードボイルドのカテゴリになると思うのですが、他のそれはあんまりピンと来ないものばかりなんです。ところが本書は自分と非常に近い価値観の者ども揃いで、彼らが命がけで貫き通そうとするものの、胸への迫り具合が半端じゃなかったんです。
つまり、僕が読んだ中では一番の「ハードボイルド」の傑作です。
・・・感動的だなあ。
Trick Or Treat (ミステリー小説もしくはお菓子) *Nirvana のアルバム。(1991) *本来は勿論ハロウィーンの決まり文句。
| 2007年02月12日(月) |
You've got the first time, the last time |
BZにつきあってもらって、吉祥寺のTRICK+TRAPへ。ここは日本唯一のミステリ専門店(新刊)らしいのだが、今日で閉店なのだ。お友だちである大倉崇裕さんのブログでそれを知り、初めて来てみた。最初で最後の来店というわけ。
マンションの一室の狭いスペースを、しかし居心地よく仕上げた店だった。奥には腰を下ろせるソファもあり、来店したミステリ作家の北村薫、若竹七海(国内の現代ミステリには疎いので、ひとに言われてわかった)が座っていた。フレドリック・ブラウン、セバスチャン・ジャプリゾなどが普通に売っている。マイ・シューヴァル&ペール・ヴァールーのマルティン・ベック・シリーズ(紀伊国屋のサイトでは全作入手不可表示)も揃っている。ディクスン・カーもよそではお目にかかれないタイトルがずらり。とはいえ、私はそれらを殆ど持っているのだけど。
レジ脇で少しだけ売っていた古本を見つけ、クレイグ・ライスやE・S・ガードナーなどの原書を三冊購入。1943年出版で定価50セントといった品々。
荻窪へ戻り、青梅街道の居酒屋で飲む。YB(g)から一日中「会いたい」というメールや電話が入る。ワガママ言うひとだなあ。ワガママされるの好きだけどさ。
You've got the first time, the last time (これが最初で最後) *Oh Teacher / Bee Gees (1986) の歌詞。
| 2007年01月29日(月) |
You were the first one |
夕べ26日の日記をアップしたが。後半大部分及びタイトルがNobu(b)に対する非難で、これがもう正論なだけに容赦なく、正論なだけにつまらない。
何よりも、彼が思慮が浅いだけで悪気がなく、どちらかというと私に対する好意が嵩じてやったことなのは解っているし。*
なので書き直した。後半を全部、YouTubeで見た映像の話にした。そしたら思わぬいいものが書けた。
タイトルにジャパンの歌詞をつけたら、快いカタルシスに圧倒され、その曲──'Taking Islands In Africa'を何度も何度も聴いた。
思えば私がベースギターという楽器をきちんと認識して聴いたのは、ジャパンのミック・カーンが最初ではないか。だから今でも、縁の下の力持ち的なベースではなく、自己主張の強いベースが好きだったりするんだろう。ミック・カーンは最初フレットというものすら知らなかったので、フレットレス・ベースを買ってしまい、それであの奏法になったんだという。──私もミック・カーンの音を聴く側として、似たようなことをやったのかもしれない。
*Nobuが、私がbbsに書いた音楽関連の書込みを、まんま自分のmixiにアップしたのだ。
You were the first one (あなたが最初だった) *Video Killed The Radio Star / Buggles (1979) の歌詞。
| 2007年01月26日(金) |
Outside there's a world waiting |
Nobu(b)は15時過ぎにうちから出勤。今日は珍しく余裕を持って出た。
二時間くらいして、食事する。夕べリハ後に薄いピザ一切れ食べたのを除けば、まる二日ぶりの食事。チーズクロワッサン、ハムエッグ、林檎、コーヒー。こういう食事が一番好き。毎食こうでもいい。洋風の朝ご飯みたいな、素材だけの食事。
YouTubeで偶然見つけた映像に涙ぐむ。これは、三ヶ月前にやはりYouTubeで、ステージで怒り狂うシャーリー(ガービッジ)を見て以来の、胸に迫る映像だ。あの時も、観客に水鉄砲の水をかけられて、唾を吐きかけられたと勘違いして火がついたように怒っているシャーリーを見て涙が出たが。
今回もまた、本音をむき出しにしている20歳の女の子。自分でも音痴だとわかっているが、オーディション番組に出て、「私には、歌えなくても次代のアイドルになれる資質がある。歌うことは大好きだから、あなた方が歌い方を教えてくれれば覚える」と涙ながらに訴えるのだ。そして審査員たちに、「これは歌のオーディションだから」とにべもなく(当然だが)断られ、激昂する。
───救いようのないアホだし、こんな子とは関りたくもない。けれど、この臆しない態度は尊敬に値すると思う。
この子は、よくわからないことは、とにかくやってみようと思ったのだ。完璧に間違っているかもしれないが、誰がそれを決める? 少なくとも誰かが彼女にやらせるというのなら、やってみればいい。ダメ出しは他人に任せればいいことだ。自分で謙虚に自分を限定していては、いつまでたっても成長なんか出来ない。
私もそう思ったから、いきなりロックバーを辞めて、英語講師になるというムチャをしたのだ。自分で納得できる実力がつくまで待っていたら、一生かかっても無理だと思ったから、見切り発車した。やってみたら出来た。逆に実力は、教え始めたらどんどん身についた。この一年あまりで、リスニング力も語彙も格段に上がった。
そもそも。実際のロック・アーティスト達がみんな謙虚だったとしたら。音楽シーンはどんな寒々しい状況になっていたことか。ニール・ヤングのようなヘタクソが歌おうと思ったことの素晴らしさ。よくぞ歌おうと思ってくれた、と聴くたびに感謝する。
オアシスのリアムは───あの愛すべきどアホは、「世界一になろうと思った」と言って、なったのだ。
願わくばあの20歳の女の子が、この先もっともっと体当たりで多くの経験をして、学び、伸び、魅力的になるように。
きっと、夢のように豊かな人生が待っている。
Outside there's a world waiting (そこに、世界が待ち受けている) *Taking Islands in Africa / Japan (1980) の歌詞。
前の日記へ |次の日記へ