2008年01月01日(火) |
sex, drugs, Rock 'n Roll, and cigarettes |
予定通り、つつがなく、家で一人で、ポッドキャストのニュースを聴きつつ年越し。米のニュースなので、あちらはまだ大晦日。
おお。まるっきり寂しくないなあ。(やべーな、これ)
顔を洗って、えみちゃんにもらった唇の美容液を塗る。リップバームと全く違い、べたつかずに染込んで気持ちいい。これでいつでもキスしていい唇にしておくわ。ええ、準備だけは。ええ、最後に唇にキスしたのは女だけど。
忘れていた12/30の日記をアップし、映像も貼ろうかとYouTubeを検索してみたら、実際の映像の他に、ミス・ティーン・サウス・カロライナを揶揄した映像がずらずら出てきたので唖然。彼女の発言に節をつけて歌ったものや、コメディアンがいちいち解説をつけたTV番組映像、そっくりさんの演じるコント映像など、その嘲りぶりたるや、あいた口がふさがらないとはこのこと。芸能人ですらここまで馬鹿にされていい筈がない。まして、ただの一般の女の子なのに。
ちなみにこの映像によると、11%のアメリカ人が世界地図で自国がどこにあるかわからず、69%がイギリスがどれだか言えないという。(「日本は?」なんて怖くて訊けないね) 51%が創世記を完全な事実と信じ(ここにブッシュも入ってるんだろうなあ)、20%が太陽が地球の周りを回っていると思っているとか。アメリカは化学に秀でていると思われているが、実は化学技術者の51%、そしてコンピューター科学者の41%が移民らしい。
なんかアメリカという国に対してウンザリしていたら。次にBBCのニュースを聴いていてのけぞった。英のニュースを聴きだしたのは最近なので、うかつにも全く知らなかったが、イギリスが2007年7月から禁煙法を施行しており、「屋根のある公共の場所」では全面禁煙になっているという。・・・げえええ。
私はお酒を飲んで、音楽を聴いている時だけ煙草を吸う。つまり、パブとライヴハウスでは必ず吸いたいということだ。それなのに。
例えば2002年12月を思い出す。私は、たまたまやっていたプライマル・スクリームのライヴを観る為にBrixton Academyにいた。コンクリートの床の、がらんとしたハコで、みんなお酒を飲んだり煙草を吸いながらそこらに立っていた。私はすいーっと一番前に行って、やはりジンと煙草を手に持って前座を見た。ステージ上にはギターとシンガーの二人きり。棒のように痩せて、長い髪で顔を隠し、煙草をぶかぶかと吸いながら歌うシンガーにうっとり見とれていたら、女だった。攻撃的な硬い音が、おそろしく快感だった。―――――これが、デビュー前のザ・キルズだ。
―――――あの忘れ得ぬ場面から、煙草を取り上げてみろ。私と、VVと、両方から。
例えば1992年2月のロンドン。私と一緒に歩いていた元ダンナ(当時は彼氏)が、可愛い巻き毛の女の子にいきなり"Have you got a light?"と話しかけられて固まった。私が笑って、「ライター貸してって言ってるんだよ」とおしえた。(イギリス英語では'do you have'が'have you got'になる) 慌ててライターを差し出した彼に火をつけてもらい、"Thank You!"とにっこり笑って去った彼女。
イギリスでは煙草は高い(約1,000円)から。パブで一人で飲んで煙草を吸っていたら、大学生ふうの男の子が「よかったら一本もらえる?」と話しかけてきた。「冗談でしょ。これ、いくらすると思ってんの?」と答えたら、なれているのかにこにこ顔で「だよねー。ごめんね!」と爽やかに言う。なので、こっちもにっと笑って、「わかったよ。一本だけね」と差し出したら、大喜びしていた。
いつもいつも。ジンのフラスクと煙草を持ってロンドンを歩き回っていた。今年は行けなかったから、来年行こうかと思っていたのに。
あああ。
だっせー国だな。ったくよお。
sex, drugs, Rock 'n Roll, and cigarettes (セックス、ドラッグ、ロックンロール、と、煙草)
2007年12月30日(日) |
you're the number one |
ABCのニュースで'Top Quotes 2007'というのをやっていた。「2007年名言集」ということだが、その実「迷言集」である。その1位に選ばれたのが、ミス・ティーン・サウス・カロライナの、コンテスト審査員からの質問への回答だった。
私はこのニュースを8月末に見たが、全く意味がわからなかった。彼女の発言が、全然理解出来なかったのだ。なので今回ネット上でスクリプトを検索してみて初めて、その発言がおそろしく意味不明であり、それ故に話題になったのだとわかった。
要約するとこうだ。彼女は「アメリカ人の5人に1人が世界地図上でアメリカがどこにあるかわからないのは何故だと思うか」という質問に対して、「そこらの人は地図を持っていないからだと思う」に始まる支離滅裂極まる回答をしたのだ。文法も単語もおかしく、脈絡も結論もなく、しかし態度だけは笑顔で堂々。
ABCは「この時の回答が、何とも素晴らしかった」と述べてこれを1位に選んでいる。聞けばこの時の映像はYouTubeで大ヒットしたらしく、世界中で夥しい人数がこれを見て、夥しい数の罵倒コメントを書き込んだとか。
「ブロンド美人=馬鹿」という典型に大喜びした気配であるが。
あのね。こういうことしちゃいかんのだよ。
ミス・ティーン・サウス・カロライナは18歳なんである。あのなあ、18歳ってのはみんな「馬鹿」なんだよ。知識があろうがなかろうが、殆どが恥ずかしいくらい馬鹿だ。実際の18歳は自覚がないので恥ずかしいと思ってないけど、判断力のついた大人が自分が18歳の頃を振り返ると、顔が赤らむような言動ばかりの筈だ。大人になることの最大の良さは、その恥から抜け出せることなんだから。
子供の失態をよってたかって笑いものにするやつらのどこが大人だ。おまえらは18歳の頃の記憶がないのか。
まして、米三大ネットワークとまでいわれたABCが、CNNみたいな真似をするなといいたい。
そもそもミス・コンテストが白痴的イベントなんだから。そこで選んだ美人に対して、ああいう質問をすること自体がおかしい。「さあ何か馬鹿なことを言え」といわんばかりだ。
ちなみにジャニス・ジョプリンは大学時代に「キャンパスで一番醜い人」に選ばれたことがある。こういうことを平気でするアメリカという国の神経がわからない。
you're the number one (あなたが1位です)
2007年12月29日(土) |
It's not what I used to know. |
18時半にえみちゃんと西荻のスペイン料理店EL CLUBで待合せ。の、筈が。
倒れるほど腹が減ってしまって、10分前に到着。予約した席には「Bunny様」のカードが立ってました。(毎回その名前で予約してるもん)
ほどなくえみちゃん到着。体調を崩して長崎に帰っていたのだが、二ヶ月足らずで元気になって戻ってきたのだ。二人ともシェリーをもらう。ドメックのフィノ。初めて飲んだけど、すっきりして美味。
示し合わせたわけではないが、二人ともお互いへのクリスマス・プレゼントを出す。(クリスマス前に会う筈が、予定が合わず今日になったのだ) 私からは、近所の専門店で試食して買った蜂蜜。その名も「クリスマス・ツリー」で、ギリシャのクリスマス・ツリー(樅の木ではない)の樹液を吸った昆虫から蜂が集めた蜜らしい。えみちゃんはお砂糖をとると体調が悪くなるから、天然の甘さをと思ったのだ。
えみちゃんからはハウス・オブ・ローゼのリップ用美容液と石鹸。最初は一瞬バスグッズも考えたというえみちゃん。でも、私が閉所恐怖症でバスタブに入れないことを思い出してやめたという。・・・ああ、私たち、お互いのことを思いやってるわあ。
食う。今日はコースを頼んでおいた。パン、スペインオムレツや生ハムなど前菜の盛合せ、帆立と小海老のシェリーマリネ、蛸と茸のオリーブ油炒め煮、葉野菜のサラダ、スペアリブのトマト煮込み、パエリヤ。
全部美味いけど、このパエリヤが最高。・・・懐かしいな、結婚している頃、何故かクリスマスに毎年パエリヤをつくっていた。専用鍋などなかったけど、それなりにちゃんと美味しく出来た。元ダンナも私もメガトン級の大食いだったから、パエリヤをメインにして、他にも2、3品つくり、さらにオードブルやローストチキンやケーキやフルーツなど大量に用意したっけ。(勿論ダンナ用にはお酒もどっさり)
デザートを2種類もらい、コーヒーで締め。この店はお料理だけでなくコーヒーもちゃんと美味しいのが嬉しい。
雨の中、ハラいっぱいでBITCHへ。偶然CCRの'Have You Ever Seen The Rain'がかかっている。次いで'Susie Q'がかかった時にえみちゃんが「これいいね。誰?」と聴くので、「クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル」とおしえたら、その次の曲も聴いてから「へえー、CCRっていいんだねえ」と言う。・・・えみちゃん、もうレコードがかわっていて、これはビートルズなんだけど。
そう言ったら、「やだー!」と恥ずかしがり、その次の曲も聴いてから、「ビートルズっていいねえ」と言う。・・・えみちゃん、これはクイーンの'Bohemian Rhapsody'だよ。
そのあたりでマスターに、「おまえは喋るな」と言われたえみちゃんだが。
次にかかったビートルズの名盤'Abbey Road'を聴いて、「初めて聴いた」とBITCH内における爆弾発言をかまし、続けてこそっと「なかなかいいね」と言い、とどめに「・・・これ、あたしの知ってるビートルズと違う」って。
これを全部マスターにその場でちくったところ、あまりの衝撃に「・・・こいつ、面白いな」とウケてしまった。うーんw
えみちゃんに頼まれて焼いてきたハニードッグスをかけてもらう。えみちゃんは私が高円寺CROSS ROADに勤めている頃にかけた夥しい曲の中で、ホールとR.E.M.とハニードッグスが一番気に入ったんだという。・・・男だったらつきあいたいなあ。
私の愛するハニードッグスは、好きとかいう前に、日本で5人くらいしか知らないからなあ。私も、2002年に検索で間違えて引っかけたのが出会いだもの。でも、ついでに試聴してみたらあんまりにも好みなので、その場でCD2枚(当時日本で入手出来たのがそれだけ)をオーダーしたのだ。その後、オフィシャルサイトで他のCDも入手した。届いたCDはケースがきれいに割れていたけど、全然気にならなかった。メジャーでたった一枚出して後はまたインディーズ落ち。入手できるだけでも嬉しい。
いつか。ミネソタまで観に行くよ。
えみちゃんと電車で帰る。「独身だったら年末年始Bunnyちゃんちに入り浸るのに・・・」と言うえみちゃんに、愛情込めて「結婚しててよかった」と返答w
0時過ぎ帰宅。
It's not what I used to know. (あたしの知ってるのと違う)
2007年12月28日(金) |
great loss to the civilzation |
昨夜は寝ないまま今日の午後に授業をし、4時間ほど寝て起きてCBSのニュースを見たら、ブットが殺されていた。
―――――死んじゃったのか。
先週のニューズウィーク誌のインタビューで、ひたすら1/8の総選挙における不正操作を懸念していた彼女だが。敵はそんな文化的な相手ではなかったのだ。
彼女は自ら語っているように、10月の帰国に際して、暗殺警告は単なる脅しだと思っていた。実際に暗殺目的の爆弾テロが起きた後ですら、まだ警戒心が薄かったようで、それが今回の暗殺の成功につながった。
結局は、自己の「良識」があだとなった。敵は、「戦争」をしていたのだ。
1999年、シャリフ首相が飛行機で帰国中のムシャラフ陸軍参謀長を解任し、彼の乗った飛行機に着陸許可を与えずに上空を長時間旋回させ、その間にムシャラフが地上と無線連絡を取ってクーデターを起こして空港を占拠し、燃料の切れるわずか7分前に着陸するという「事件」があった。傍観者としてみればこれほどドラマチックな話はないわけで、当時新聞でこの件を読んだ私は相当に興奮したのを覚えている。以来私の中でパキスタンという国は、常に生きるか死ぬかの粗野な緊張を強いられる印象が強かった。そういう状況下では、ブットは知的で上品過ぎたのだろうか。
今回のことでシャリフはムシャラフを責め、ムシャラフはテロリストを責める。なんにせよ、「知性」が「野性」に殺されたのだと思う。
くしくも米のニュースの本日の二大ヘッドラインは、ブット暗殺と、シベリアン・タイガーが動物園から脱走して数人を死傷させた事件である。このふたつは同じだ。虎のほうが、利益目的でないだけマシだ。
――――――美人だったのになあ。
great loss to the civilzation (文明化への大いなる損失)
2007年12月21日(金) |
frog, tuna, whale, that's it |
生徒に、「いつも有難うございます」とクリスマス・プレゼントでコーヒーの詰合せを頂く。「先生」っていい商売だなあ。うん。
次の生徒には、初めてiPodを買うがどれかいいかと相談される。この生徒は音楽に全く興味がなく、音を聴くモノを一切持っていないのだが、私に勧められて今回、英語の番組やニュースのリスニング用に購入することにしたのだ。「シャッフルでいいと思うけど」と最安のものを薦めて言う。「とにかく何を買うにしても店員にひとつだけ確認して下さい。『これ、ぽっどきゃすとをだうんろーどできますよね?』って」・・・意味もわからずとにかくメモしているのが可愛い。
そのPodcastでABCのニュースを見ていたら、'Japan'という言葉が飛び込んできたので、「珍しく日本のニュース? 何??」と思ったら。日本が南極での調査捕鯨を断念したとの話題。・・・カエル、マグロ、そしてクジラか。
しかしそれよりも。CNNのニュースで2007年の総まとめをしていたのだが。まずアメリカの一年を、次に世界のことを振り返る。イギリスの首相がブレア(任期10年)からゴードン・ブラウンに、フランス大統領はシラクからニコラ・サルコジに代わりましたね。パキスタンではムシャラフ大統領が軍離脱を表明し、etc, etc・・・。って。終わっちゃった。あれ?日本は?マジでここまで無視??
しかし考えてみたら。福田が就任とかいう前に、それまで誰だったかも知らないんだろうなあ。
frog, tuna, whale, that's it (カエル、マグロ、クジラ、おしまい)
2007年12月18日(火) |
frog, tuna, samurai spirit |
私はTVもラジオも持っていないので、ニュースは毎日iTunesのPodcastで、ABCとCBSとCNNを見て、BBCを聴いている。週イチで'National Geographic News'と'Newsweek On Air'も。どうして英米のニュースだけかというと、英語の勉強もあるが、日本のニュースは面白くないのだ。同じ事柄を扱っても、少しも盛り上げようとせず淡々と事実を羅列する。理解力と忍耐力を試されているようだ。日本のニュースを見たり、まして新聞を読みとおすのはかなり大変だ。
おかげで日本のことは何も知らない。9月の首相交代もあやうく知らずにすごすところだったが、電車で隣に座った男性が大きく広げた新聞の見出しのおかげで一応その事実はわかった。
じゃあ英米のニュースでも言うだろうと思っていたら、各局この件にちらとも触れない。日本のことは無視か?と思った矢先、「広島大学が透明な蛙を開発」というニュースが流れた。・・・福田、カエル以下?
で、今日久々に米のニュースで日本が取り上げられたと思ったら、「日本人が鮪を食いすぎるので絶滅の危機」だって。・・・カエルの次はマグロ。
実は先月あたりもう一回だけ日本がちらっと取り上げられたことがあった。'double dutch'という縄跳び競技のニュースに、一瞬だけ日本チームが出たのだ。しかしその時インタビューされた日本人の若者の一言―――「ダブルダッチはサムライ魂ですね」って。
そのまま訳されてた・・・ああ、勘弁してくれ。オマエも適当なこと言うんじゃねえよ、若者!
英米人なんてのは、呆れるほど日本のことなど知らないんだから。これ以上、英米人の好きそうな誤解を蔓延させるのはやめてくれ。
frog, tuna, samurai spirit (カエル、マグロ、サムライ魂)
2007年12月17日(月) |
If for some reason you are not willing to lead, leave it to the rest of us; please get out of the way. |
この週末のニュースに深々と感動しているのであるが、珍しく日本の新聞のサイトを見てもどこもこれをちゃんと取り上げている気配がない。いや、記事自体はあるが、全く無味乾燥というか。
「国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP13)は15日、難航していた2013年以降の地球温暖化対策の枠組みをつくる交渉の行程表『バリ・ロードマップ』について合意に達した」
―――これでは意味すらわからん。
ところがこれをアメリカのニュース番組で見ると、もう見るたびに涙ぐむほどドラマチックで。何回も見ちゃったよ。
要するにUSA代表は一度「あたしたち、行程表には合意できませーん」と言ったのだ。(上のビデオで40秒のあたり)
それを受けて、パプア・ニューギニアの代表がこう言った。
"There's an old saying: If you are not willing to lead, then get out of the way. And I would ask the United States: We ask for your leadership; we seek your leadership. But if for some reason you are not willing to lead, leave it to the rest of us; please get out of the way."
そしたらUSAが、態度を180度変えて、合意したのだ。
"Get out of the way."とは、普通に言ったら「そこ、どきやがれ」くらいの意味である。「邪魔すんな」ということだ。だから上の台詞は、格言になぞらえた礼儀正しい示唆のようでいて、実ははっきりとした怒りの表明だ。
パプア・ニューギニアのような小国が、USA相手に毅然と怒りを示し、その意見を完全に変えた。声も表情も荒げずに、最大限の効果を引き出した。
このパプア・ニューギニア代表の顔―――こういう顔を私は美しいと思う。
If for some reason you are not willing to lead, leave it to the rest of us; please get out of the way. (もしも何らかの理由で先導したくないと仰るのでしたら、後は我々に任せてお引取り下さい)
前の日記へ |次の日記へ