2008年02月25日(月) |
You can force it but it will not come |
新宿で授業後、ジンナイくんと西荻BITCHへ。今日は何故か、イエロー・ローズ12年では甘ったるい気がして、久しぶりにワイルド・ターキーをストレートでもらう。・・・懐かしい味だな。
マスターに、「'Sticky Fingers'のA面が聴きたい」と言う。途端に左隣に座っていた女の子に「それ何ですか?」と言われる。途端に更に左隣に座っていた常連の男性が「こいつローリング・ストーンズも知らないんだよ。馬鹿だろ?」と言う。
ストーンズを知らなくて馬鹿ということもないが。しかし'Sticky Fingers'という言葉が当然の常識としてまかり通る世界というのは、やはり私は居心地がいい。いつもなるべく、そういう世界で暮らしてきた。
「そういう世界」が私のホームタウンだと思う。もう、あんまり、そこ以外では生きていきたくない。
何だかいい感じの音楽がかかる。おおこれ知ってる。というか持ってる。一緒に歌える。これ何だっけ。
「レディオヘッドだよ」とマスター。あ。そうだこれ、アルバム名が・・・「'The Bends'だ」と思い出す。
おお。私に何枚もCDを下さったkazuさん、ようやくレディオヘッドをかまえることなく聴いて、良いと思えた気がするよ。無理にわかろうとせず、しばらく放っといたのが良かったのかも。
'High And Dry'は、サビは若干薄っぺらいものの、出だしはギターも歌も私のどツボじゃんか。後で知ったが、この歌はデビュー当事に作られながら、ロッド・スチュアートみたいだ」という理由でボツになっていたんだという。2年後に'dust off'(埃をはらう)してアルバムに入れたらしいが、よほど丹念にはらったと見え、全くロッドの面影もない。
よく聴けばこのアルバムのギターや歌メロは、ところどころスマッシング・パンプキンズの'Mellon Collie'を思わせる。
今日はわりと早く引き上げ。ジンナイくんとゴハンしてから、タクシーで送ってもらって2時過ぎ帰宅。
You can force it but it will not come (無理しても駄目) *Planet Telex / Radiohead (1995) の歌詞。 *アルバム'The Bend'より。
2008年02月24日(日) |
Is Romance Dead? |
お休み。色んなことがあった一週間が終わってのお休み。ゆったりとベイ・シティ・ローラーズを聴く。「聴く」といってもYouTubeだったりして。そろそろPCに音源戻さなくちゃな。もしくはCDプレイヤー買っちゃうか。
'Write A Letter'は、これを最初に聴いた11歳頃から、聴くたびにうっとりとしている曲だ。あの頃は、歌詞の意味もぼんやりとしかわからずとろけていたが。
Girl, what I mean is what I say (僕の言葉をそのまま信じてほしい)
All the cheating that I did was in your head (全てきみが思い込んでいただけなんだよ)
Girl, why did you believe those lies (あんな嘘を信じたって)
Can't you see we're wasting all this time (僕たち二人の時間を台無しにするだけだよ)
もう11歳ではない私は、こんな薄っぺらな言葉を言われても信じるわけはない。2行目なんて、そのまま訳したら「僕がした浮気は全部、君の妄想だよ」だ。「全部」って。一体どれだけ疑わしいことをしたんだ、と冷ややかな反応をする、筈、なんだけど。
今も、このサビを聴くと、目の眩むような説得力に圧倒される。レスリーが"All the cheating that I did was in your"の後に、軽く息継ぎをしてから、"...head"と歌う時、「・・・ええ、ごめんなさい。全部私の思い込みでした」という気分になる。勿論ボーカルだけでなく、全ての音全体で説得してくるのだ。「逆らえない」というやつだ。
要するに、これが「ロマンス」ってものだ。
バレンタインに、CNNのニュースで、「ロマンスは死んだか?」という特集をやっていたが。
意味がわからないな、と思った。私は思えば、物心ついてからずっとロマンスを食って生きてきたんだ。
ポール・マッカートニーのいう'Silly Love Songs'も、「絶望とは死に至る病である」というキルケゴールの言葉も、全部ロマンスじゃないか。人間は、どれだけ微量であってもそれを食っている筈だ。
なくなったら、私たちが死んじゃうじゃないか。
Is Romance Dead? (ロマンスは死んだか?)
2008年02月20日(水) |
break-in, but theft? |
12時に赤坂に授業に出かけ、少し買物して戻る。その間4時間。帰宅したら玄関の鍵が開いていた。ドアを開けたら、薄暗い中、キッチンの床一面に白く光るものが点々と散っている。ドア横の電気のスイッチをひねってみたら、全部ガラスの砕片。
振り返ると、窓が割られて、あいていた。
――――――壮絶に嫌な気分になり、玄関口から110番。
10分で警官が到着。事情聴取。「被害は?」と訊かれる。「まだ部屋に入ってないのでわかりませんが、現金21万円(昨日の日記参照)と、ダイヤが2個あります」と答える。普段なら現金はその1/4も置かないのに、何だってこんな時に限って。そしてダイヤは婚約指輪と、母からもらったネックレスで、両方で50万円弱だ。
鑑識が二人来て、靴痕や指紋を採り始める。ほどなく「被害を確認して下さい」と言われ、ああ見たくないと思いつつ、奥の部屋へ。
―――出かけた時のままの、いつもと変わらぬきちんと片づいた私の部屋。
・・・え? 片づいた??
―――お金がある。ダイヤもある。何もかもある。
思わず声を上げる。「何も盗られてません!!!」
盗られていないというよりも。何も探した形跡すらない。どこの引き出しも開けられていないし、全てのものが私が家を出た時のまま、整然としている。
たった三ヶ所を除いて。――――カーテンが少しあけられている。PCの電源プラグが抜けている。(差込があまいので、動かすとすぐ抜ける) PCモデムの手前においてあった、英語のプリントを入れているトレーがどかされている。
何だそれ? もしもPCの情報が欲しかったのなら、ノートPC自体を持ち去ればいいだろうに。
鑑識も、「こんなのは珍しいですね」と驚いている。言われるままに下着から何から確認するが、とにかく何も一切取られていない。現金もダイヤも、誰でも一番最初に探すような場所にあったが、見つけられなかったというより探してすらいないようにしか見えない。
警察も、こんなきれいな「盗難現場」は初めて見たに違いない。(普通の人の普通の状態の部屋のほうがよっぽど散らかっているだろうに)
―――盗聴器を仕掛けるという発想が浮かんだのは、警察が帰った後。一応コンセント周りなど確認したが、素人には判るはずもなく。
親や元ダンナに電話し、ほか数人にメールで知らせる。21時半にDV(b)にもメールしたら、これから行こうかと言ってくれたので来てもらうことに。こういう時に来てくれるのは、やはり単純に嬉しい。さすがの私も、窓の割れた部屋で一晩過ごすのは不安だ。0時に来てくれた。
*現金やダイヤがあったと書くのは危険だと思われるだろうが。今後は家に現金は一切置かないし、また今回のことで高額のものを持つことが嫌になったので、ダイヤは母に譲ることに決めた。
break-in, but theft? (家宅侵入だけど、泥棒?)
2008年02月19日(火) |
never be bored |
最近は殆ど外出しない。授業は9割自宅だし、おもては寒いしw
でも家にいる時が一番忙しい。英語の勉強にはキリがないし、生徒の為の資料作りや読書をしたり、英語のニュースを見たり、この日記を書いたり。家にいる限り、退屈なんて1分たりともしない。
「退屈とは、教養のない人間のすることだ」と言い放ったのはモームだったっけ?
というわけで家から出ないので、ふと見たら手元に現金が21万円あった。私はネットを含め殆どの買物がカード払いだから、普通の人(銀行に給料が振込まれ、引出して使う)と逆で、現金で月謝をもらって銀行から引落させる。なのでいつもはこまめに銀行に入金するのだが、今回に限ってちょっと間があいていた。それと、じきマンションの更新だったので、そのぶんに10万円を取ってあったのだ。
水曜は不動産屋が休みだから、明後日の木曜に更新を済ませ、残りは銀行に入れよう。
そう思った。
まさか、翌日の水曜に、あんなことが起こるなんて考えもせず。
never be bored (退屈なんてしない)
2008年02月17日(日) |
If anyone can make me feel like that, that's gonna be pretty good. |
ああ。あなたのことが好き。
明け方からPCの前で、身悶える。眠くてテーブルの上に突っ伏して。ノートパソコンのスピーカーから出るあなたの声とギターに耳を寄せて。
今も、毎日のようにうっとりしている、グレアム・コクソンの'You're So Great'
彼に関心を持ってから、ローファイという言葉を初めて知った。この低品質の音を好むひとがいるというのは、私には不思議でもなんでもない。レコードの針の雑音、ギターの弦のこすれる音、ハウリング、AMラジオ、モノラル録音―――全部好きなんだから。
そして今も私は。ノートPCなんていう最悪のデバイスから出てくる音に耽っている。かつてNaokyさん(g)に言われたように、ない筈の低音を無意識に補正して。
ノスタルジックな、'delusion'(妄想)だ。
BBCの番組'Syd Barrett: Crazy Diamond'の中で、シド・バレットについて語るグレアム。ピンク・フロイドの'Bike'を聴いてこう言う。
"That insane goose really kind of used to confuse me and make me feel like that I'm gonna faint."(あの気狂いじみたガチョウの声を聴くと、いつもわけがわからなくなって、気を失いそうな感じになった)
ここにもまた、'delusion'がある。
私は'Bike'そのものは普通に好きなだけだが。彼の語る言葉、そしてその時のそれこそ少し'insane'(異常)な目つきが、この曲を特別なものにする。
グレアムこそが、'delusion'なのだ。
I feel the light when you tell me it's OK (きみが大丈夫だと言ってくれればいいんだ)
You're so great and I love you (素晴らしいきみを、愛しているよ)
と歌う彼は、その'You'の存在を信じていない、或いは妄想で描いている。どちらにしても、胸が痛くなるほど切ない。
だから。
抱きしめて、大丈夫だと言ってあげたくなる。そういう私自身の弱さを、激しく揺さぶる。
If anyone can make me feel like that, that's gonna be pretty good. (誰かが僕をそんな気分にさせるなんてすごいよ) ('Bike'についてグレアムが続けて言った台詞)
2008年02月13日(水) |
Everybody knows |
赤坂で授業した帰りに、荻窪の美容院へ。しかし何この強風。寒いってば。
この冬はずっと、iPodに暖房を入れ忘れているのだ。私の「暖房」―――フー・ファイターズ。聴けば一発で血が騒いで暖かくなるのに。
青梅街道の向かい風の中をボートを漕ぐようにぐいぐいと歩きながら、iPodの中をチェックすると、入っているのは―――ガービッジ。ガービッジを聴くと、泣きたくなることはあっても血が騒ぐことはないよなあ・・・。
ああ、でも。4枚目が入っていた。じゃあ'Run Baby Run'がある。頑張ってシャーリー、ちょっと暖めて。
4枚目になっても救いのない歌詞は相変わらず出てくるが。けれど基本姿勢が変わった。シャーリーは幸せになったに違いない。私がかつて好きだった硬く突っ張った攻撃的な女の子はもうどこにもいないが、代わりにホールの愛に通じるような、目頭が熱くなるようなやさしさがある。
すいっといきなり寒さがおさまる。ちょっと笑う。ものの見事にいきなり平気になった。ありがと、シャーリー。
美容院に入ろうとしたら、担当の美容師が向うからドアを開けてくれた。「Bunnyさん目立つから遠くからすぐわかりましたよ」って。
ここの美容室には去年から通っているのだが、この美容師さん(30ちょいの男性)が何だか面白い。通い始めの頃からやたらと、「体験レッスンに来た生徒さんがBunnyさんを見たらびっくりするでしょう」とか「Bunnyさん、普通と違いますもんねえ」と言うのだ。最初は、おいコラそれってもしや失礼なこと言ってる?と思ったが。どうやら褒めてるらしい。で、一人で「いやー、Bunnyさんはいいですよ。うんうん」などと言っている。
実は私は美容師という人種が苦手で、特に男性美容師との会話が面倒だ。どうでもいいことを細かく訊くし、いくら私が「いえ私は寝ないんです。いえ私は食べないんで」と言っても飲み込んでくれない。
ところがこの美容師さんだけは、何だか落ち着く。美容師に好感を持ったり持たれたりするのは初めてだなあ。おまけに私の髪を毎回かなり褒めてくれて、今回も「切ろうかと一瞬思ったんだけど」と言ったら、「僕は反対です」と言われた。・・・美容師がカットに反対するとは。
しかし結局この美容師さんが他と違ったのは、要するにレッチリを知っているからかもしれない。最初の頃に、私の生徒が皆レッチリを知らないと話したら、「レッチリくらい常識ですよね」と言ったのだ。今回も「こないだジミー・ペイジに会った」と言ったら、即座に反応してくれたし。
・・・ああ、やっぱり全てはそこか。私がひとを判断する基準は。
「僕はドアーズを好きな人に悪い人はいないと思います」と言い放ったワカモノ(19歳)を、よってたかって皆(20歳)で「アホか!普通は逆だろう! 俺を見ろ。俺はこんなにドアーズを愛していてこんなにクズだ!!!」と説教したのは遠い昔。
ああ、すみません。私あれからなーんにも成長してないどころか逆行しているようで。
というより。単純にクズが好きなのかな。
Everybody knows (常識ですよ) *Everybody Knows This Is Nowhere / Neil Young (1969) の歌詞。
2008年02月06日(水) |
Go ahead it's a cinch |
昨日体験レッスンに来て、その後すぐに入会し、そのまま1時間半授業をしていった女性が、また本日も授業に来た。派遣会社に登録したらゴー○ドマン・サックスの受付の面接が木曜に入り、英語の面接もあるので、慌てて習いに来たというわけ。
しかし。しかしこの女性、線のはっきりした九州美人で、度胸もあるし愛想もいいが。肝心の英語力が。
何しろ、"How old are you?"と訊いたら、答えが"I'm thirteen three six years."って。・・・何歳なんだいったい。(実は32歳。えええええ)
「・・・こうなったら、どのように誤魔化すかというレベルの話になります」とはっきり言う。幸い頭のいい人らしく、うなずいている。
「いいですか、まずとにかくゆっくり喋ること。あなたがゆっっっくり喋れば、相手もゆっくりになります。そして、絶対に聞き取れたふりをしないこと。にっこりと笑顔で、"Pardon?"と品良く言って下さい。そして質問が聞き取れたら、ゆっくり"Well..."と笑顔で引き伸ばすこと。答えを吟味しているふりをして、その間に英文をつくるんです」
そして発音練習をする。幸い習得も早い。きれいな発音でゆっくり笑顔で喋り、省略形も一切使わない。これだけで「品良く」見える筈だ。(無知とお嬢様は紙一重だから) 職種も受付なら、何より品の良い印象が大事な筈だし。
昨日今日でやれることは全てやって送り出したが。これで合格したら、意外とちょろいなゴール○マン・サックスって。うん。
Go ahead it's a cinch (行ってらっしゃい。ちょろいわよ) *Foxhole / Television (1978) の歌詞。
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