Rocking, Reading, Screaming Bunny
Rocking, Reading, Screaming Bunny
Far more shocking than anything I ever knew. How about you?


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*名前のイニシャル2文字=♂、1文字=♀。
*(vo)=ボーカル、(g)=ギター、(b)=ベース、(drs)=ドラム、(key)=キーボード。
*この日記は嘘は書きませんが、書けないことは山ほどあります。
*文中の英文和訳=全てScreaming Bunny訳。(日記タイトルは日記内容に合わせて訳しています)

*皆さま、ワタクシはScreaming Bunnyを廃業します。
 9年続いたサイトの母体は消しました。この日記はサーバーと永久契約しているので残しますが、読むに足らない内容はいくらか削除しました。


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2008年03月14日(金)  おまえはおまえの責任で食え。俺だって辛いんだと、全力でヘタレを言え。

奥田民生を好きかと訊かれれば、かなり微妙ではある。いや、実は一度この日記でけなしてすらいる。
日本でトップクラスのアーティストであることは間違いない。しかし同時に日本のロックのレベルが英米と比べて相当に低いという事実もある。――――いや、事実だってば。ここで自分の好きなバンドを思い浮かべて反論したってしょうがないだろう。自分がどれだけ心酔出来るかと、「レベル」は違う。そもそもロックは欧米で生まれ育ち、日本では歴史も土壌もないのだ。一方、日本人なら、日本語で日本人のことを歌うロックがぐっと来るのは当たり前だ。ところが日本人感覚に共感する奴に限って、「ロックに歌詞は関係ない」とか言って、洋楽も理解しきっているような顔をする。「言葉」は興味があろうがなかろうが脳が一番素早く理解する要素であって、それを無視するのは無理だ。だから英語が苦手なら――いや例え英語が堪能であっても、日本語の歌は日本人の心にしみやすい。

そして時々日本のミュージシャンは自分のかっこ悪さを前面に押し出したりする。欧米には殆ど見られないことだ。奥田民生もその一人で、私だったらあの格好で煙草を買いに出るのも真っ平だと思う服装でステージに上がる。

で、この、映像である*該当ライヴの映像が削除されてしまいましたが、要は[Live Beautiful Songs」のバージョンです。他のライヴだと感動しません。 これを見つけたのは去年で、矢野顕子の検索で引っかかったのだ。(「ラーメン食べたい」は矢野の曲)
―――――いやあ。泣いたわw
勿論これは、天才矢野のつくった曲の底力が大きい。よく出来た曲というのは、誰が歌っても絶対に真価を損なわない。負けないのだ。だからこそ、全てのカヴァーは、「本人に勝つ」という気概を持ってやらねばならない。甘っちょろい「リスペクト」(おおこの「日本語」大っ嫌い)なんかしちゃいかんのだ。俺のものにしてやるという気持ちこそが、曲に対する愛である。

今夜、3/10の日記のタイトルに「ラーメン食べたい」の歌詞を使い、曲をYouTubeで聴こうとして、久々にこの映像に出会う。またもじーーーんとくる。
・・・ああまったくこのダサいナリ。1980年頃の田舎の高校生じゃあるまいし。ストレートなギターはいいが、それとは裏腹に上っ面に搾り出すような発声が好きになれない。だけど。
女も辛いけど、男も辛いのよ」―――いやあ。ここ。ここ、いいなあ。何回聴いても涙ぐむなあ。
元の歌詞は「男も辛いけど、女も辛いのよ」で、ここがこの歌の最大の山場である。そこまでずっと、ただラーメン食うだけのことを微細に語ってきて、このサビになるや突然、「辛いんだ」と言うのだ。ただし矢野は、全て悟りきった母性的な女のやさしさでそれを言う。
そこを奥田民生は――このダメなヘタレは――「俺だって辛いんだってばよぉ」と全力で音(ね)を上げてみせるのだ。
女はそうこられると弱いんだよ。
汚い奴だな、と思う。そういえば昔ユニコーンの「大迷惑」を初めて聴いた時もそう思った。私はあの手のバンドを大概軽視していたんだけど。あの曲がコンビニでかかって、おちゃらけたAメロの後のサビで、急に切ないメロに乗せて「この悲しみをどうすりゃいいの」と来た時、「・・・きったねえ」と言ったのを覚えている。こんなことをやられたら、ぐっときちゃうに決まってるだろう、って。言葉の意味の問題ではなく(いずれもたいした言葉ではない)、それを曲としてどう差し出すかだ。
同じことを、ブルーハーツの「人にやさしく」の出だし「気が狂いそう」を聴いた時にも思った。説明しない、捨て身の凄さを感じた。

やっぱ、ニホンゴの歌はいいわ。
(3/16up)

おまえはおまえの責任で食え。俺だって辛いんだと、全力でヘタレを言え。 (この日3/14の夜に、この日記の冒頭部分に上の映像のリンクだけを張って、そこに私が書いた言葉)



2008年03月13日(木)  Come again get me excited

'By The Way'はおそろしくよく出来た曲だと思う。軽く間をおいてから、'Heavy glow'と歌う時のぞっとするような快感。アンソニーの声はこの曲が一番合っていると思う。そういう意味なら、この曲のギターとボーカルは同じ楽器のように聞こえる。いや、リズム隊の絶妙な抑え加減もあって、全てが一定に聞こえる。
全体で5回繰り返されるサビは、毎回わずかずつ顔を変え、そのたびに新たな意味を加える。おかげでクライマックスとなる4回目のそれはもう感動以外の何ものでもなくて、そこで初めて出てくる言葉"I KNOW YOU"で頂点に達する。「繰り返す」ということの意味がこんなにある曲も滅多にない。全く遊びがない。
・・・って言ってたら、乗っていた電車が荻窪を飛ばしていくのに気づいて驚愕。・・・やべえ、またiPodで'By The Way'(アルバム)聴いてて、電車乗り越しちゃったわ。何コレ特快? 一体どこまで行くの??
・・・ま、'By The Way'があるなら何だっていいか。

結局三鷹で停まったので、西荻まで戻る。BITCHのドアの前に立って、フルボリュームの'Can't Stop'を最後まで聴いてから、中に入る。

Come again get me excited (おかげでまた我を忘れちゃったわ)  *Don't Forget Me / Red Hot Chili Peppers (2002) の歌詞。  *アルバム'By The Way'より。



2008年03月11日(火)  You dont have to put on the red light. Those days are over

ABCのニュースによると、アムステルダムのレッドライト地区が、浄化されつつあるらしい。あの有名な飾り窓の多くが、ブティックのショーウィンドウになってしまったとか。昨年、大手売春宿のオーナーが事業全体を売却したのがきっかけではあるらしいが。

狭い通りにずらりと並んだ飾り窓。つまりガラス張りの部屋。中には一人、まれに二人の下着姿の女が、通行人に流し目を送っている。ガラスにその裸身を押しつけて、手招きするのもいる。客がついた部屋は、カーテンを下ろす。暗い夜に、赤いライト。
あれを実際に見られたのは良かった。観光客も女も一人も歩いていないブラック・ゾーン。そこを、コーヒーショップ(マリファナを吸わせる店)の店員に案内させて歩きまわったのは、かなりの得がたい体験だった。2002年にロンドンへ2週間旅行した際、ふと思いついてアムスに一泊旅行した時の話。

「あれ」は私には出来ない。からだを売ることは簡単かもしれないが、あの、ずらりと陳列された中の一人になるのは無理だ。
しかし「あれ」は、私に何とも鮮烈な印象を残した。

2005年に、私に溺れていく彼氏を見て、これを書いた

私は何というか単純に、あれが無くなってほしくない。レッドライト地区は、その実情と裏腹に、見ていて美しかった。「悪徳」という言葉――私が心から嫌悪する日本のお笑いじみた風俗産業には絶対に存在しない美しい言葉が、とても似合った。
あれがなくなるのは、私にとっては、何か綺麗な生き物が絶滅するようだ。

You dont have to put on the red light. Those days are over (もうレッドライトはつけなくていい。状況は変わったんだ)  *Roxanne / Police (1978) の歌詞。



2008年03月05日(水)  Whisper secrets for me

この頃、眠くなることが多くて。おおどうしたんだ私。で、4日前にまるちゃんに音源を送ってもらったスマッシング・パンプキンズの'Adore'(正規アルバムでこれだけ持っていなかった)を聴くたびに、PCの前でうとうとしてしまう。1曲目の'To Sheila'がいけないんだろうな。催眠剤のような弛緩作用がある。

これでは全然曲が聴けないじゃないか。ということで、今日はiPodに入れて街に持ち出す。するとこれが、見事なくらい外の風景を変える。というか、さえぎる。
以前この日記に、「スマッシング・パンプキンズが個人の耳元で囁き、キンクスが生まれた街の中だけを歩き、レッチリが共感できる限られた仲間達に呼びかける時、R.E.M.は哲学の美学の観念をもって世界を見渡す」という文章を書いたが。
あれからしばらくたった今も、やはりスマッシング・パンプキンズは、私一人、私一人だけに歌いかけているように感じる。だから私を、街の中でこうやって切り離す。
こういうバンドは、最初から決して「ビッグネーム」にはなれないのだ。売上枚数や動員数がどうであろうが。

私だけに直接呼びかけ、意識をぼやけさせたり、浮き上がらせたりする。

Whisper secrets for me (私だけに囁いて)  *Pug / Smashing Pumpkins (1998) の歌詞。



2008年03月02日(日)  Eureka!

見つけた。5年も探していた映像。有難うYouTube。
1990年、Pinkpop、ブラック・クロウズ
5年前に哲(b)が一度うちに持って来てくれたブートビデオ。あまりのかっこ良さに痺れ、彼と別れた後にも見たくなったが、何年のどこの映像だかわからず入手出来ずにいたのだ。それがようやくわかった。
カカシ並に痩せたクリス(vo)、王子様みたいなリッチ(g)、イジーを思わせる渋いジェフ(g)、くるくる可愛く動き回るジョニー(b)。(ドラマー太ってるんでコメントないっす)

さて、ようやくどの映像だかわかったが。
・・・現物が探せない。ネットであちらこちらのブート屋のリストを見るが扱っていない。西新宿エ○ーズにはさすがに置いていたが、画質がプロショットのBクラス(やや悪)。
誰か、プロショットのAクラス探してえ!!!

Eureka! (見つけた!)  *アルキメデスが金の純度を測る方法を発見した時の言葉。



2008年02月28日(木)  There ain't no wow now

TK(vo)からブラック・クロウズの新譜が出るというメールが来たので、YouTubeで1曲出してみる。作品としては印象が弱い気もするが、バンドのレベルはそのままで、相変わらずのブラック・クロウズだ。
デビュー時から、新人という言葉が全く似つかわしくない、芯のしっかりしたクオリティの高い音を、スタジオ盤でも、驚くことにライヴでも見せつけてきた彼らだが。
このままエアロスミス級の、息の長いバンドになりそうだな、と思う。

ローリング・ストーンズがプレイすると『ロックンロール』と呼ばれ、ブラック・クロウズが同じタイプの音楽を演奏すると『レトロ』と呼ばれる」という評論があって、これはブラック・クロウズというバンドを見事に言い表していると思う。実際はこれはネガティヴな表現なのかもしれないが、クロウズは何というか、レトロという言葉に似つかわしい品があるのだ。
ただ古いことをやるのが好きなだけの若者も多いが、ブラック・クロウズは明らかに一線を画していて、だからこそ堂々とオーティス・レディングのヒット曲を自分達のヒット曲にすることが出来た。線の細い女の子のような顔で骨太のロックを歌うクリスは、他の誰も持っていないタイプの美学をしっかりと内包していて、それがこの18年間、少しも変質する気配がない。
高円寺CROSS ROADに勤めている頃、'80年代以降の音楽を毛嫌いしているお客が来ると、いつも黙ってブラック・クロウズをかけたが。反応は100%「かっこいいね。誰これ?」だった。その時、「これは1990年デビューの、ブラック・クロウズっていうバンドです」と答え、お客が驚く顔を見る喜び。

ところで。一方YouTubeで出してみてものすごくがっかりしたのが、やはり3月に新譜を出すキルズ
ホテル(g)が有名女優とつきあったことで、今までマイナーだったキルズの名前が芸能情報として扱われ出したのが気に入らないこの頃だったが。その新譜の1、2曲目は、その流れにきっちりはまり込むような、適当にお洒落な―――どうでもいい曲。
前2作の、荒削りで、時々は曲として完成してすらいず、しかし岩のようにがっちりした無敵の格好つけと、その上にペンキをぶっかけたようにべったりと付着していた、二人の間のエロティシズム―――それが全部ない。
二人がもう恋人同士ではないという事実が、想像以上に影響しているのかもしれない。かつては自分たち二人だけしか見えていず、それが非常な魅力だったが。今はきちんと周りを見ている気がする。それが何ともつまらない。

There ain't no wow now (あの新鮮な魅力はもうない)  *No Wow / Kills (2005) の歌詞。



2008年02月26日(火)  I wanna be where the sun shines on you

自分の以前の日記にリンクしてあった'Last Waltz'の映像を見て、リック・ダンコにじーーーっと見入る。聴き惚れる。
魅力的な男はいっぱいいるけど(注:全部ミュージシャンという大前提)、リックは別格だな。特に'Last Waltz'におけるリックは、今すぐこっちからプロポーズしたくなるほど。その顔も声も演奏も全て、少年と大人の男の見事な融合だ。子供っぽいのに男臭い。
'Last Waltz'のインタビューを見ていても、演奏を見ていても、音楽のことしか考えていない音楽馬鹿なんだろうなと思わせる。
そして多分、自分一人で燦然と輝くということがない。そういう発想がないのだ。こういう元からの美男にはそのタイプが多い。(イジー・ストラドリンもそう)
だから'Last Waltz'の'Stage Fright'も、ボーカルを取るリックを含めザ・バンド全員が最高の演奏でありながら、結局最後にしっかり決めるのはロビー・ロバートソンだ。―――勿論ザ・バンドはロビーがいてこそザ・バンドであり、彼がいることで単なる「物凄く上手くて渋いバンド」が'One And Only'に変わる。
でもそのロビーを見て、満足そうに微笑んでいるリックが、心底可愛い。
私だけでなく、多くの女はこのタイプには弱いんだよ。

I wanna be where the sun shines on you (君が輝ける場所に共にいたい)  *Shake It / Rick Danko (1977) の歌詞。



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