
今、台風がこの周辺で暴れ始めている。
これから、風雨のピークを迎えるのだろうか。
台風の襲来で思い浮かべるのは、この日曜日に歩いてきたばかりの大台ケ原だ。
頂上の紅葉はちょうど見頃だったが、大台ケ原には、緑や紅葉の木々に混じって、
白く立ち枯れた木々、倒れて朽ちた木々があちこちに混在しており、独特の雰囲気だ。
それらは、まるで白骨化した木々の死体のようで、なんとも物悲しくもある。
滅び行く大台ケ原の森林、どうしてこんなことが起こるのだろう。
発端は昭和三十年代の伊勢湾台風という。
台風の襲撃により、正木峠付近のうっそうとした森林で木々が倒れ、
明るくなった場所に笹が生い茂るようになった。
笹が増えると、笹を主食とするシカが増えた。
増えすぎたシカは、笹が足りなくなって、トウヒの樹皮を食べるようになり、木々が枯れてしまう。
木々が枯れて倒れ、明るくなった場所に笹が繁殖、それにつれてシカもまた繁殖する。
笹の回復は遅く、シカは、ますます樹皮を食べて、木は枯れる。
なんという悪循環なんだろう。
昔は、オオカミが、増えすぎたシカを減らす役目をしていたそうだが、今はオオカミも絶滅してしまった。
パンフレットや現地の説明ボードによると、ざっと、こんな理由らしい。
このままでは、大台ケ原の森林は衰退し、そしてシカもまた死滅するかも知れないという。
食べられた笹は回復するのが遅く、正木ヶ原周辺は、小さな笹が芝生公園のように広がっている。
そして、当たりいちめん、白骨化して倒れた木々、まるで樹木のお墓のようだ。
「大台ケ原の自然を守るために、私達人間に何ができるのでしょう」という問いかけ。
う〜ん・・・難しくて私には、わからない。
人間が、オオカミになって、シカを増やさなければいいのでは?
なんて動物愛護協会から怒られそうな、単純な答えしか思い浮かばない。
毎週金曜日の夜は、公民館での太極拳の練習に通っている。
先週の金曜日のこと、接近中の台風22号の影響なのか、
雨がショボショボ降る暗い夜だった。
いつものように、町役場の駐車場に車を停めようとした。
夜だから、当然、だだっ広い駐車場はガラガラ。
なのに、私はいったい何を考えていたのだろう。
ガラすきの駐車場なのに、一番隅っこに停めようとした。
出口に近いその列だけは、一番奥しか空いてなかったのだが。
ボーっとしてたかも知れない。
なんせ、翌日は大事な初顔合わせ、
ちょうどその時間くらいに、台風が直撃という予想に、
いろいろ心配していたのも確かだ。
シャラシャラという音にハッと気付くと、金網のフェンスが暗闇の中に突然現れた。
シマッタ! 擦ったかな・・とあわててバックしようとハンドルを切った途端、
溝にすっぽり前のタイヤがはまり込んだ。
・・・ええっ? こんな場所に溝なんか、あった??
こういう場合、どうしたらいいのだろう・・・
哀れな車の周辺をウロウロするだけの私。
そうだ、近くに消防署があったっけ・・・
消防署の方に御出動をお願いしなければいけないのかなー
と、そこへ若い兄ちゃん風の男性が、突然現れた。
「どうしたんですか?」と尋ねてくださる。
夜なので、顔は、はっきりわからなかったけど、
私にとっては、天からの使者! とってもイイ男に見えたのは当然のこと。
あわれなマイカーの姿を見て、すぐに仲間を呼んで、
引き上げてくださった。
フェンス際で、作業も大変だったと思うが、さすが!!
助けてくださった4人の奇特なお兄様達は、
明日からのダンジリ祭りの練習に来ていた、野田青年団の人達。
力の強いのは当然!
なんでもない所で、フェンスに当たったまま、タイヤを溝に落として、
なんともカッコ悪くて恥ずかしかったが、
助けてくれた人達の善意がほんとうに嬉しかった。
特に、向こうから「どうしたんですか?」と、来て下さったことが、嬉しくて嬉しくて!
人が困っているのを見かけても、なかなか自分の方から声をかけることができない私だから、
なおさら感激してしまったわ。
(暗闇だから、若い女性とまちがえたんやろか・・)なんて、ヒガンダ考え方はしません。
私は、素直に喜んでます。