Mako Hakkinenn's Voice
by Mako Hakkinenn



 日本プロ野球界の憂い
2005年09月27日(火)

 アメリカメジャーリーグではイチロー、松井らが活躍し、日本でも注目を浴びる中、日本のプロ野球界は視聴率が低迷していますね。関西では阪神タイガースが優勝まっしぐらで盛り上がっているようですが、特に巨人戦は過去最悪の視聴率低下で、ナイター中継の時間延長、あるいはナイター中継そのものを放送しないケースも出てきているようですな。
 昨年オリックスブルーウェーブと近鉄バッファローズが合併し、また今年から50年ぶりの新球団として楽天イーグルスが加わり、開幕前の話題は豊富だったと思うのですが、やはり巨人の低迷が影響しているのでしょうか。

 そんな中、最近のプロ野球関係のニュースを見ていると、何かと動きがあわただしいようですね。まず巨人の堀内監督が今シーズンの成績不振の責任を取って今季限りで監督降板、代わって来季は再び原監督が就任するとか。また今年から新たに加わった楽天イーグルスは歴史的最下位チームという不名誉な記録を作ってしまい、田尾監督が辞任。代わって現シダックスの野村監督が就任するそうですね。ヤクルトスワローズは古田を来年選手兼監督で起用するという話も出ているようです。

 選手の方では、巨人の元木が戦力外通告を受けて今シーズン限りで引退を表明、桑田や清原もその危機に瀕しています。巨人では現在メジャーリーグのニューヨークヤンキースのファームにいる野茂英雄投手を迎え入れるための交渉をおこなっているという話まで出ています。果たして野茂が今更日本のプロ野球界で、しかも巨人でプレイするだろうか?

 巨人の監督ははっきり言って替えた方がいいと思います。野球に全然疎い僕にとって堀内監督は「堀内って誰?」って感じでしたからね。原監督が果たして適任なのかは僕にはわかりませんが、まあ堀内監督よりは知名度もありますし、少しは華やかになるのではないでしょうか。
 古田が現役を続けながらヤクルトスワローズの監督に就任するというのも、なかなか良いアイディアだと思います。古田はその頭脳プレーでホームベースからチームを指揮してきましたし、選手からの人望も厚いでしょうから、きっと監督になっても良い監督になるでしょう。

 ただ、楽天イーグルスの田尾監督を降板させてしまったのは、どうなんでしょうかねえ。田尾監督は13年ぶりに新人監督としてグラウンド復帰したのですが、選手との距離の置き方に苦労し、「一線画した方がいいだろう」と、選手と食事をともにするのもためらっていたそうです。それがシーズン終盤、ベテラン選手と初めて2人で食事をし、「初めて打撃が分かったような気がする」の言葉を聞いて安心したそうです。遠慮することはない、互いに懐に飛び込めばいい。指導者の「コツ」をつかんだころ、解任が決まってしまいました。

 果たして1年で監督としての手腕を評価していいのでしょうか。楽天は寄せ集めのチームで、監督も未経験者。ゼロからプラスの方向へ向かっていくチームですし、新球団として1年目なのですから、成績不振で終わっても構わないと思うんですけどね。それに、田尾監督もなんとかして東北の色に染まろうとしていましたし、ナインも積極的にファンサービスをしました。成績も大切だと思いますが、今のプロ野球に一番大切なことを実践してくれたような気がします。

 球界に新風を吹き込んだ楽天は来シーズン、成長過程の指揮官とともに歩むより、野村監督という大ベテラン監督に育ててもらう道を選び直しました。球団首脳は「少しでも早く常勝軍団になりたい」と言います。敵地のファンにも支持された田尾監督との別れは、野望実現を急ぐ球団の、2年目以降の決意表明と言っても過言ではないでしょう。



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 佐藤琢磨はどこへ
2005年09月26日(月)

 9月21日付のVoiceでもお伝えしましたが、F1では来季ジェンソン・バトンがBAR・ホンダに残留することが決まり、すでにフェラーリからルーベンス・バリチェロがBAR・ホンダに移籍することが決まっているため、現BARドライバーの佐藤琢磨は、事実上来季のBARでのレギュラーシートを失うことになりました。
 琢磨はこれを受け、彼のマネージャーであるアンドリュー・ギルバート・スコットとともに、来季のレギュラーシート獲得に向けて動き出したようです。今回はそれらをまとめてみました。

■ニック・フライ(BAR・ホンダ/チーム代表)
「佐藤琢磨は、チームにとって非常に貴重な存在であり、そして皆に好かれているチームのメンバーなんだ。これまでの4年間、テストドライバーとして、3rdドライバーとして、そしてレギュラードライバーとしてBAR・ホンダには非常に貢献してくれた。佐藤琢磨との契約は今期末で終了してしまうが、BARは彼のマネージメントと将来の可能性について議論をしている最中なんだ。」

■佐藤琢磨
「明らかに失望をしているよ。ホンダと一緒に仕事が出来なくなるのだからね。だけども、いずれの日にかはきっと再び一緒に仕事が出来る時がくると思っている。現状には非常に満足しているし、チームの一員であることに誇りを持っている。ただ、テストドライバーは過去にもしただけに、するつもりはないよ。レース・ドライバーであることを望んでいるんだ。今はF1に残りたいと思っているし、シート獲得のチャンスがあれば、それを目指したいと思っている。他にも選択肢はたくさんあるけど、レースをしたいんだ。現状、F1ではそれほど多くのシートが残されている訳じゃないけど、まだ残っていることは確かなんだ。」

 ところが、その後ブラジルグランプリの会場に現れた琢磨は、今回のBARの処遇に対し不満を表明しました。それによればシート喪失を知ったのは自分のマネージャーからであり、チームから通知があったのは正式発表された後という屈辱的なものだったそうです。

「僕が今回のことを告げられたのは、チームの正式発表後だった。それまではラッキー・ストライクのプロモーションでアルゼンチンにいた。もちろん、マネージャーからは進行状況についての報告はあったが、僕のところにチームから話があったのは発表後なんだ。僕はBARに残留するつもりはない。ここにテストドライバー、3rdドライバーとして残留するつもりはない。どこか他に行くよ。」

■アンドリュー・ギルバート・スコット(佐藤琢磨のマネージャー)
「残留によるメリットがわからないんだ。二人の長期契約を保有するレーシングドライバーがいるチームに残留して、どのようなメリットがあるのだろうか?将来が開けている訳じゃないよ。何か前進できるものを見いだしたいと思っている。来季のレースシートを見つけることが最優先事項であり、そのことには楽観視している。アメリカや別カテゴリーへ行くことは考えていないよ。F1で何かを得られると楽観視している。」

 これらのコメントを見ると、BAR・ホンダとしては、ホンダエンジンを熟知している琢磨にテストドライバーとしてチームに残留して欲しいと希望しているようですが、琢磨本人と彼のマネージャーは、すでにテストドライバーは過去に経験しているので、あくまでレギュラードライバーとしての道を探るため、チームを出る意向のようです。つまり琢磨は、ホンダとの決別宣言をしたことになります。ホンダではチーム離脱後も佐藤をサポートする姿勢をみせていますが、本人にはその意志はもうないようです。

 一方、そんな琢磨に、ミッドランド(現ジョーダン)が興味を持っているようです。

■コリン・コレス(ジョーダン・トヨタ/チーム代表)
「アルバース側とは協議している。話し合い以上のものになっているが、契約はまだだよ。誰とも契約締結はしていないよ。そして我々は琢磨に興味を非常に持っている。この件について、トヨタ側とは話をしており、彼らもこの件について関心を示しているんだ。彼はF1に残りたがっているし、我々も彼にシートを用意することが出来る。したがって、解決策はあるよ。彼がどの程度の資金を持参出来るかといったことは問題にはならない。」

 コリン・コレスははっきりと「琢磨にシートを用意できる」としており、さらに「特に持参金がなくても問題はない」と、かなり好条件で琢磨を迎え入れる準備があるとしています。
 また、ジョーダンにエンジンを供給しているトヨタは、琢磨がこれまで同じ日本のライバルであるホンダと長く関係があったために、琢磨を起用する可能性は低いのではないかと言われていましたが、トヨタ側は次のように語っています。

■ジョン・ハウエット(トヨタ・スポーティングディレクター)
「ジョーダンのシートは、彼らにより決められる。純粋に、彼らの判断になるんだ。琢磨は彼らの選択肢の一つだろうが、トヨタがそれに影響を与えることは出来ないよ。」

■冨田務(トヨタ・モータースポーツTMG代表)
「ジョーダン・チームに対してはエンジンを供給するというだけのもので、われわれがチーム内部の問題について口を挟むことはない。日本人ドライバーがいるというのはF1にとっても大切なことだと考えている」

 ところが、ここへきて今日、琢磨の来季の去就に関する新たな情報が入りました。琢磨に今度はレッドブルに買収されたミナルディへの移籍の噂が出始めたのです。
 この噂のシナリオは、琢磨のBAR残留が出来なくなったことに対して、日本のメディアやファンがホンダ批判をしていることをホンダ側は心地よく思っていないこと、そしてホンダのライバルであるトヨタのエンジンを搭載するジョーダンと噂があがっていることについても、ホンダ側は心地よく思っていないこと、そのために、レッドブルのジュニアチームである現行のミナルディと、将来の技術提携を約束する代わりに琢磨にシートを用意させるようと動き始めたというもの。

 さらには、琢磨のマネージャーがウィリアムズへのアプローチを開始したとも報じられています。ウィリアムズはすでにバトンの獲得を断念していますが、同時に現ウィリアムズのニック・ハイドフェルドが来季はBMWに買収されたザウバーに移籍することが決まっているため、現状ではレギュラーシートが1つ空いていることになります。
 しかし、ウィリアムズには現在怪我で欠場中のハイドフェルドに代わってレースを走る3rdドライバー、アントニオ・ピッツォニアと、現在下位カテゴリーで活躍中の新鋭ニコ・ロズベルク(元F1王者ケケ・ロズベルクの息子)など有能な候補が控えており、さらにコンビを組むことになるエースドライバー、マーク・ウェバーと琢磨はレース中にしばしばいざこざがあり、関係はあまりよくないと言われているため、琢磨がウィリアムズに移籍する可能性は低いでしょう。

 いずれにせよ、今回琢磨がBARのレギュラーシートを失ったというニュースは、特に日本国内において相当物議を醸しだしているようです。次の日本グランプリでは、ジェンソン・バトンを批判するメッセージが書かれた横断幕がファンによって用意されるだろうと報じられ、またBAR・ホンダに対しても、好意的な歓迎だけではないだろうと各国のメディアで報じられています。
 また、これらの報道と同時に、日本グランプリスポンサーであるフジテレビ側も、現行契約の更新手続きの際に、佐藤琢磨の存在が不可欠であるといったことをバーニー・エクレストン側に訴えており、琢磨の去就次第で契約金額が変わってくるような報道もなされているようです。

 というわけで、佐藤琢磨の来季F1残留への選択肢は、可能性が低いものも含めればジョーダン(ミッドランド)、ミナルディ(レッドブル・ジュニア)、ウィリアムズと増えてきました。琢磨自身が語る「近いうちに良いニュースをみんなにお知らせしたい」という言葉を待つことにしましょう。

 ただ、現時点でもっとも可能性が高いのは、ミッドランドでしょうね。



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 F1、史上最年少チャンピオン誕生
2005年09月25日(日)

 F1第17戦ブラジルグランプリ決勝、フェルナンド・アロンソ(ルノー)とキミ・ライコネン(マクラーレン・メルセデス)によるタイトル決定戦となったブラジルグランプリはいよいよ決勝日を迎えました。決戦の舞台となるアウトドローモ・ホセ・カルロス・パーチェには、昨夜から激しい雨が降り注いぎましたが、その雨も朝方には上がりました。しかし上空は厚い雨雲に覆われ、いつ雨が降り出してもおかしくない不安定な天候の中、現地時間午後2時、フォーメーションラップがスタートしました。

 史上最多の19戦が組まれた今年のF1カレンダーで、実に17戦までし烈なタイトル争いを繰り広げてきたのはフェルナンド・アロンソとキミ・ライコネン。2人は世代交代を迎えたといわれるF1でしのぎを削り、互いに初タイトルを目指して戦いを続けてきました。そのバトルに、ついに終止符が打たれました。

 決勝がスタートすると、ポールポジションのアロンソ(ルノー)が好スタートを切り、2番グリッドのファン・パブロ・モントーヤ(マクラーレン・メルセデス)を抑え、トップで1コーナーへ抜けていきます。ところが、スタート直後の後方でのアクシデントによりセーフティーカーが導入され、それが解除された3周目、モントーヤがアロンソを交わしてトップに立つと、そのまま引き離しにかかります。
 一方、タイトルを争うライコネンは、燃料を多く積んでいたために序盤はペースが上がらず、先頭集団に着いていくことができませんでした。しかし、レースが進むにつれタンクが軽くなったライコネンは徐々にペースを上げ、終盤にはモントーヤに続く2位に浮上しマクラーレンのワンツー体制を築き上げます。

 結局マクラーレンの2台はこのままのオーダーでワンツーフィニッシュを今シーズンようやく達成しましたが、アロンソが3位でフィニッシュしたため、アロンソがスペイン人としては初の、24歳58日でのタイトル獲得という、史上最年少チャンピオンに輝きました。史上最年少チャンピオンの記録更新は、1972年に25歳と8ヶ月22日で王座を獲得したエマーソン・フィッティパルディ以来、実に33年ぶりの快挙です。

 フェルナンド・アロンソは2001年にミナルディからデビューを飾り,非凡な才能を発揮して当初から注目を浴びていました。ルノーへ移籍後はフラビオ・ブリアトーレ監督の下で教育を受け、1年間のテストドライバーを努めて着実に経験を積んできました。そして2003年にハンガリーGPで初優勝を遂げ、翌年も4回の表彰台に上がり一気に評価を高めました。今シーズンは開幕から好調を続け、同じマシンに乗るチームメイトのジャン・カルロ・フィジケラをも圧倒し、マクラーレン勢の自滅とフェラーリの不調を尻目にチャンピオン街道を一気に突き進みタイトルを獲得しました。

 マシンの速さは、間違いなくマクラーレン・メルセデスが群を抜いていたでしょう。しかし、メルセデスエンジンの信頼性不足などに泣き、ライコネンはトップ走行中にリタイヤを余儀なくされたことも何度かあり、苦汁をなめてきました。一方アロンソは、ルノーの高い信頼性を武器にライコネンの自滅によって難なく優勝を重ね、マクラーレンが復調しライコネンがようやく追い上げを開始した頃には、すでに逆転不可能なまでのマージンを築いていました。もしマクラーレンが序盤から好調だったとしたら、今シーズンのタイトル争いは、また違った展開になっていたに違いありません。もしかしたら最終戦までもつれ込んでいたかもしれませんね。

 いずれにせよ、F1は長きに渡って王座に君臨してきたミハエル・シューマッハが陥落し、若い世代による新時代の到来を告げました。来シーズンもアロンソとライコネン、あるいはジェンソン・バトンやその他の若きドライバー達による、フレッシュなタイトル争いが展開されることになるでしょう。そして、F1史上最強のドライバー、ミハエル・シューマッハがF1から引退する「Xデー」は、刻一刻と近づいています。



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 F1ブラジルグランプリ予選
2005年09月24日(土)

 2005年F1シーズンも残すは今週のブラジルグランプリを含めあと3戦。チャンピオンシップ争いはルノーのフェルナンド・アロンソとマクラーレン・メルセデスのキミ・ライコネンの一騎打ちとなっていますが、アロンソがポイントで大きくリードしているためライコネンは背水の陣。明日の決勝でライコネンが優勝しても、アロンソが3位でフィニッシュすれば、2戦を残してアロンソのスペイン人初、史上最年少ワールドチャンピオンが決定します。

 さて、今日はそのタイトル争いの天王山であるブラジルグランプリの予選が行われましたが、アロンソが見事にポールポジションを獲得し、タイトル獲得に向けて優位に立ちました。一方、マシンは文句なしで速いマクラーレンのライコネンは、アタックラップの1コーナーでミスをしてしまいタイムをロス。結果チームメイトのモントーヤ、ルノーのフィジケラの後ろ4番手に沈んでしまいました。しかしマシンは速いので、明日の決勝での巻き返しに期待がかかります。

 その他、すでに王座陥落は決定しているディフェンディングチャンピオン、ミハエル・シューマッハは今回もピリッとせず7番手、同じマシンに乗るルーベンス・バリチェロも10番手に沈んでしまいました。やはりフェラーリは今年、相当マシンとタイヤのマッチングが悪いんでしょうねえ。昨年までライバルをまったく寄せ付けないほどの最強を誇ったフェラーリが、今シーズンここまで低迷してしまうとは、おそらく開幕前までは誰も予想だにしていなかったでしょうね。まあ、F1の勢力図というものは1年単位でコロコロと変わっていくものですが、あまりにも長すぎたフェラーリの黄金時代が、ようやく終焉を迎えたと言う感じですね。

 さて、BAR・ホンダ勢ですが、今週BAR残留を決めたジェンソン・バトンは4番手という好位置につけています。さすがはウィリアムズとBARというトップチームが取り合うだけあって、バトンはキッチリと結果を残します。
 一方佐藤琢磨は、前戦ベルギーでミハエル・シューマッハに追突してしまったことによるペナルティで10グリッド降格が決定しているため、予選アタックは行わず、明日の決勝は最後尾からスタートします。

 日本国内のみならず、海外でも様々な物議を呼んでいるようですが、まったくもって今回の琢磨の10グリッド降格というペナルティは理解できないですね。完全に琢磨に否があったとはいえ、故意にぶつけたわけではないですしその必要性もないわけですから、あの一件は単純なレースアクシデントとして処分なしにするのが当然なんですけどね。過去にもそして今シーズンにも同じような例は腐るほどありましたが、いずれも処分なしだったわけですからねえ。シューマッハだって今年2回もぶつけてるんですけど審議すらされなかったですからねえ。
 「琢磨10グリッド降格」というニュースを聞いた時、「はあ?何だ?その強引なルールは……。いつ誰がそんなルール決めたんだよ。勝手にルール作ってんじゃねーよコノヤローッ!」と思わず摩邪コングになってしまいましたよコノヤロー。まあそれだけFIAは日本人が嫌いということなのでしょう。

 琢磨は確かに、特に今年はミスも多く運にも見放され思うような結果が残せませんでしたが、こうしたFIAの不当な妨害行為が実際にあるわけで、いくら日本人ドライバーがF1で頑張っても出る杭を打たれて成功できないのであれば、我々日本人がF1を楽しむ意義が、一体どこにあるというのでしょうか。

 琢磨には次の鈴鹿に向けて、今回はなるべく上位で完走することを期待します。



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 ドラマ「電車男」最終回
2005年09月23日(金)

 昨日はドラマ「電車男」の最終回でしたね。ご覧になっていた方はどれくらいいらっしゃったでしょうか。いや〜それにしてもこのドラマ、とても面白かったです。今年のドラマは草なぎ君のIT企業を舞台にしたドラマ「恋に落ちたら」もかなり面白かったですが、僕的にはそれをも上回る面白さでした。

 このドラマはインターネット掲示板「2ちゃんねる」から生まれた実話を元にした物語で、すでに小説や映画、舞台にもなっているほどのブームになっています。
 で、僕は本家の「2ちゃん」での話も、小説も映画も舞台も観ていないのですが、ドラマは第1話から面白くてどんどん引き込まれていきました。主演のオタク青年・電車男役を伊藤淳史、そして電車男が憧れるヒロイン・エルメス役を伊東美咲が演じる異色の純愛物語ですが、主人公が2ちゃんねらーでガンダムや美少女アニメのフィギュアを集めたり、コミケのイベントに参加しては同人誌を売ったりするオタクだけあって、コミカルな演出がとにかく良かったです。

 元々この手の「ダメな人間が色々な経験を経て成長していく」というパターンのドラマは最後にスカッとしますし、達成感もあって好きなのですが、このドラマはそのパターンに沿いつつ、僕らのようにインターネットの世界を知る者にとってはよく見かける表現、そして実際はお互い顔も名前も知らないし会ったこともないけど、ネット上の掲示板を通じて電車男に恋のアドバイスをしていくという設定は、実際掲示板を運営している僕としても非常に身近で入り込みやすい題材でしたね。

 あとは何と言っても、伊藤淳史君のオタクっぷりや時々出てくるマニアックなガンダムネタがツボにはまりました。伊藤淳史君は昔とんねるずの番組でチビノリダーを演じていましたが、数年前にカロリーメイトのCMに起用されてから、ちらちらとドラマなどに出演するようになりました。今回の「電車男」では初めて主役を演じたわけですが、オタク青年を見事に演じ、素晴らしい才能を見せてくれたと思います。チビノリダー、いい役者になったものだなあ。

 とにかくドラマ「電車男」は、ストーリー良し、ギャグ良し、テンポ良し、演出良し、キャスティング良しとすべてにおいて素晴らしく、ついでにオープニング曲にエレクトリック・ライト・オーケストラの「トワイライト」、エンディング曲にサンボマスターの「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」を採用するなど、音楽のチョイスも抜群だと思いました。

 もちろん純愛物語なので笑い以外にも涙も感動もあるわけですが、この電車男の場合、その笑いと涙と感動が、これまでの純愛ものとは一風変わったものであったりするところが非常に新鮮だと思いました。ドラマですから途中は色々な障害や問題、トラブルなどが巻き起こるのですが、もちろん最後はめでたく2人が結ばれてハッピーエンド、とても感動しましたよ。

 「電車男」は原作もミリオンセラー、映画も大ヒットした話題作ですが、ドラマも7月7日のスタート以来、平均視聴率20%前後をキープし、今夏放送された連続ドラマのトップを独走。昨日の最終回の瞬間最高視聴率は、2人がキスするシーンと恋が成就して電車男がネットを卒業するシーンの2回で、28.4%を獲得したそうです。

 ドラマ「電車男」、現在M−NESTアウォードのグランプリ最有力候補です。



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 プレステ2「FORMULA ONE 2005」
2005年09月22日(木)

 今日はプレイステーション2のゲームソフト「FORMULA ONE 2005」の発売日。本当は先月引っ越しで出費がかさんだので、今回は新品を買うのを諦めて、しばらく経ってから中古で買おうと思っていたのですが、やっぱり買ってしまいました。

 このゲームはレースゲームの金字塔である「グランツーリスモ」シリーズを出しているソニーコンピューターエンターテイメント(SCEI)が製作しているソフトですが、「グランツーリスモ」シリーズとは開発スタッフが違うため、ゲームの挙動性などは全然別物です。しかし、この会社が初めて発売したF1ゲームの2002年版はあまりにもお粗末でしたが、2004年版では大きく進化し、今回の2005年版はかなり出来がよかったです。

 FOM(フォーミュラワン・マネージメント)公認で2005年度版データを搭載し、全10チーム20台のマシン20名のドライバー、今年から開催のトルコを含めた全19サーキットを収録しています。レギュレーションに関しては、2005年度開幕時のものを使用しています。
 昨年度版からの進化として、 マシン、サーキットのモデリングがさらに高精度になり、ドルビープロロジック2を採用しているため、マシン毎に異なるエンジン音やギアボックスのメカニカルノイズも忠実に再現されています。またマシンの高速走行時に画面が微振動、画面の周囲がぼやける、などといった視覚的演出が加わることでさらなるスピード感を体験することができます。
 さらに、CPUが操るドライバーAIには、それぞれのドライバー毎に「攻撃性」「判断スピード」「自信」「集中力」「レース経験」「反応速度」「一貫性(同じ動作を正確に繰り返せるか)」「ミスからのリカバリー速度」といったパラメーターが設定され、より「人間らしい」挙動をするようになっています。

 レースモードは、とりあえず走りたいという人のための「クイックレースモード」、1台のみでタイムを測定する「タイムアタックモード」、好きなグランプリをひとつ選んで金曜日のフリーセッション、土曜日の予選、日曜日の決勝とウィークエンドを楽しめる「シングルウィークエンド」、2005年F1シーズンを第1戦オーストラリアグランプリから、最終第19戦中国グランプリまで、全19戦を体験する「ワールドチャンピオンシップ」の他に、昨年版から加わった「キャリアモード」も引き続き収録されています。

 「キャリアモード」とは、プレイヤーがフリーのレーサーとなり、テストレースで勝つことで実在するチームからオファーを得る事でF1パイロットになることができるというモード。下位チームのテストドライバーからキャリアをスタートし、テストで実力を示せば正ドライバーへとステップアップ、さらにレースでリザルトを出せば、上位チームからのオファーがやってきます。
 とは言え、上位チームのテストドライバーになるか、中堅チームのファーストドライバーとなるか、キャリアモードの正解は1つではありません。自分の実力で中堅チームをコンストラクターズチャンピオンにするのも可能です。5シーズンという決められた期間で、モータースポーツの頂点、F1ワールドチャンピオンを目指していきます。

 このゲームにはレースモードの他にTVモードと呼ばれるものがあり、見たいサーキットと天候、レースの長さとグリッド順位を決めてスタートすれば、あとはAIがコントロールする20台のマシンが繰り広げるレースを、一切の操作無しにまるでTV中継やビデオを見るように観戦することができます。
 カメラはオートで切り替わりますが、好きなマシンだけに注目することもできます。さらには1台のマシンにも複数のカメラが設定されているので、リヤサスペンションの隙間から追いかけてくる後続車を眺める、などという迫力カメラアングルも楽しむことができます。

 とりあえず僕は難易度ミディアムで「ワールドチャンピオンシップ」にライコネンで参戦してみることにしました。細かい設定は、レースディスタンスが現実の75%、タイヤの減りや燃料の減り、マシンダメージ、不測のマシントラブル、その他FIAルールに基づくペナルティなどはすべてオン、天候もランダムに設定しました。
 まずは開幕戦オーストラリアグランプリ。金曜のフリーセッションでマシンのセッティングを調整しコースイン。初めのうちはゲーム特有の挙動や操作性の違いに慣れませんでしたが、「このゲームではこうやって走れば速く走れるのか」というのが理解できれば、あとはそつなく走ることができました。ピットに戻ってタイムテーブルを見たら、2番手に1秒近い差を付けて簡単にトップタイムをマークできたので、そのまま予選セッションまで進めることにします。

 予選セッションは、先に述べたように2005年開幕当時のレギュレーションを採用しているため、金曜日の予選1回目、土曜日の予選2回目の合算タイムが最終的な予選タイムになるため、昨年版のように予選1回目をスキップし、予選2回目で好タイムを出してポールを狙うということができなくなり、予選を2回ともキッチリ走らなくてはならなくなりました。しかし、使用マシンがマクラーレン、使用ドライバーがライコネンだからか、予選は2回ともトップタイムをマークし簡単にポールポジションを獲得することができました。
 ちなみに2番手はルノーのフィジケラ、3番手にマクラーレンのモントーヤ、4番手にルノーのアロンソがつけ、フェラーリはシューマッハが9番手、バリチェロが8番手と、今年のF1シーズンを象徴しているかのような結果となりました。BAR・ホンダはバトンが5番手、琢磨が10番手とこちらも何だかリアルです。

 決勝は、2ストップ作戦を敢行しましたが、一度もトップを明け渡すことなく、2位に30秒近い差を付けて優勝することができました。結果は実際のオーストラリアグランプリで優勝したフィジケラが2位、3位にはアロンソのルノーデュオ、モントーヤは中盤にエンジントラブルでリタイヤし、9番手スタートから追い上げを見せたシューマッハが4位、バトン5位、バリチェロ6位でした。琢磨は9番手と惜しくもポイント獲得を逃し、ゲームでもバトンに水を開けられていました。

 このゲームは、先程述べたようにAIがかなり進化しているので、例えば前をゆく車に追いついてテール・トゥ・ノーズになるとラインを変えてブロックしてこようとします。しかしコーナーでインを突いてオーバーテイクしようとすると、無理に幅寄せしてきてぶつかろうとはせず、諦めてイン側を開けて安全にパスさせてくれます。また周回遅れのマシンは、こちらが後ろにつくと素早くラインを譲ってくれるようになりました。うーん、リアルに再現されています。
 これまでのゲームでは完全にこちらがコーナーのインに入っているにもかかわらずCOMが強引にインに切り込んできて接触したり、周回遅れも全然ラインを譲ってくれないのでパスするために大きくタイムロスをしてしまうというようなことが多々ありましたが、それが解消されたのは大きな進化だと思います。

 自分が架空のドライバーとなってチームと契約しシーズンを戦う「キャリアモード」にはまだ手をつけていませんが、まずは「ワールドチャンピオンシップ」でゲームに慣れてからチャレンジしてみたいと思います。



フェルナンド・アロンソ



ミハエル・シューマッハ



モナコのヌーベルシケイン



ライコネンの目線



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 F1、バトンBAR残留決定!
2005年09月21日(水)

 F1では、現BAR・ホンダのジェンソン・バトンが、来季はウィリアムズとの契約を交わしているものの、バトン自身が来季もBARに残留したいと強く希望し、BARもバトンの残留を望んでいるため、3者による交渉が続いていました。その交渉がようやくまとまり、今日正式にバトンのBAR・ホンダ残留が発表されました。
 本来であればバトンは来季、ウィリアムズとの契約に基づいてウィリアムズへと移籍するはずでしたが、BARに残留したいバトンとバトンを引き留めたいBARが、バトンとウィリアムズとの間に交わされた契約自体を買い取ったようです。

 そもそもバトンは、昨年の開幕前からトップチームであるウィリアムズへの移籍を希望しており、BAR側は自分たちの契約の方が有効であると主張し、裁判沙汰にまで発展しました。しかしその結果、バトンの契約はBAR側が有効であるとの結論に達し、バトンは2005年までBARに残留し、ウィリアムズとは2006年に移籍する契約を交わして決着が着きました。

 ところが、昨シーズンはBAR・ホンダが思いの外活躍してコンストラクターズランキング2位、逆にウィリアムズは低迷してしまいました。ウィリアムズの低迷は今シーズンも続き、さらにエンジンを供給しているBMWが今季限りでウィリアムズと決別し、ウィリアムズは来季コスワースエンジンに格下げとなってしまうため、ウィリアウズの魅力が薄れてしまい、バトンはウィリアムズへの移籍からBARの残留へと心変わりしてしまったのでした。

 BAR・ホンダとしても、実力は折り紙付きのバトンが残留してくれれば願ったり叶ったりなわけですから、それならバトンが残留できるよう何とかしようと、ウィリアムズとの金銭的な交渉が開始されたのでした。
 最初のうちはウィリアムズ側も、いくらお金を積まれてもバトンを手放すつもりはないと一点張りでしたが、結局BAR側が20億円とも30億円とも言われているお金でバトンとウィリアムズとの契約を買い取るという形で決着し、バトンは晴れてウィリアムズの拘束から解放されたというわけです。

 この結果、すでに現フェラーリのルーベンス・バリチェロがBARに移籍することが決まっているため、来シーズンのBARのドライバーラインナップはバトン&バリチェロのコンビとなり、現在BARに乗っている佐藤琢磨は、事実上来季のBARでのレギュラーシートを失ったことになります。

 ジェンソン・バトンは、昨年のウィリアムズ移籍騒動と言い今回のBAR残留問題と言い、非常にわがままな振る舞いが目立ち、チームと交わされた「契約」というものをあまりにも軽く考えているとしか思えず、特に佐藤琢磨ファンの間ではかなり批判を浴びているようです。
 しかし、僕個人的には、例えバトンが「ああしたい、やっぱこうしたい」とわがままを言ったとしても、その対象であるウィリアムズとBARが最終的にそれを承諾し、一応円満な合意に至ったわけですから、そのこと自体は別に問題はないのではないかと思っています。まあレーシングドライバーとしては、より強いチームで走りたいと思うのは当然のことですし、契約していたウィリアムズが予想外に低迷し、さらにBMWエンジンも失ってしまうなんてことは、バトンがウィリアムズと契約を交わしてた時点では知るよしもありませんからね。それでも、本来は「契約は契約」なんですが……。

 なぜジェンソン・バトンのわがままがここまでまかり通ってしまうのか?このことに関して、ある琢磨ファンの方が「地獄の沙汰も金次第」という言葉に例えていらっしゃいましたが、僕はそれは全然違うと思うんですよね。バトンは実力があるから、BARもウィリアムズも、バトンの才能が欲しいからここまで取り合うわけで、一言で言うなら、「実力がすべて」なんですよ。F1とはそれだけドライな世界なんです。
 そう言う意味では、最終的にバトンがBARに残留し、そのバトンに大きく実力で離され、結果を残せなかった佐藤琢磨がBARを放出されてしまうのは、当然の結果だったと言えるでしょう。チームとしても、より実力のあるドライバーを乗せていい結果を残したいわけですからね。

 ただ、僕は今回バトンを残留させるために、BARが20億円とも30億円とも言われる大金をウィリアムズに支払ったというのは、賢明な判断ではなかったと思います。いくらバトンに実力と才能があるからと言って、1人のドライバーのためにそれほどの大金を積むのは、チームとして馬鹿げているとしか言いようがありませんね。それだったらバトンは諦めて琢磨を乗せ、バトン残留のために使う予定だった大金をマシン開発に当て、よりマシンを進化させる方が、チームとしてはいいはずなんですけどねえ。
 思い出してみてください。そもそもBARは99年からの初参戦から2003年までの4年もの間浮上できずにいましたが、高い契約金が足かせとなっていた元チャンピオンのジャック・ビルヌーヴを放出した途端、飛躍的にチームが進化したわけですからね。

 僕としては、バトンにはウィリアムズに行ってもらい、琢磨に残って欲しかったです。昨年のバトン移籍騒動で当時のBARチーム代表のデビッド・リチャーズが更迭され、代わりにニック・フライがチーム代表に就任しましたが、ニック・フライのチーム運営はどうもドライバーの実力に頼りすぎている感じがしますな。きっとデビッド・リチャーズだったら、僕の希望通りというか常識的な考え方として、バトンはさっさとウィリアムズに移籍させ、大金はマシン開発に有効利用していたでしょう。

 いずれにせよ、BARは来季資金不足でそれほど速いマシンを用意できないのではないでしょうかね。シーズン中のマシンの開発も途中からストップしてしまうのではないでしょうか。そしてウィリアムズが来季復活してタイトル争いに名乗りを挙げようものなら、バトンはBARに残留したことをとても後悔するでしょうねえ。

 でももしそうなっても、もう君のわがままは通用しないよバトン君。



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 新企画M-NEST AWARD設立へ
2005年09月19日(月)

 特にこれと言って理由はないのですが、「PRIVATE」で展開するコンテンツが少ないこともあり、ふとアイディアが浮かんだので、「PRIVATE」に当サイト独自の賞を設立してみようと考えています。

 名付けて「M−NESTアウォード」。

 「AWARD」を「アワード」と読むと、英語の発音に厳しいスカリーさんにダメ出しを喰らうのでご注意ください。この賞は僕が1年間に「見た・読んだ・聞いた・体験した」様々なジャンルから、特に感動したもの、衝撃を受けたもの、印象的だったものなどを独断でノミネートし、その中から大賞となる「M−NESTアウォード」を1つ選び出すというものです。
 ノミネートは毎年1月から12月までのものを対象とし、12月中もしくは年が明けた1月に「PRIVATE」のページで発表する予定です。「M−NESTアウォード」はBarM−NESTやVoiceとも連動させていき、年間を通してノミネートを意識した記事も織り交ぜていく予定です。
 発表の形式は現在構想中ですが、できればフラッシュムービーなどを使って、趣向を凝らした形で展開していきたいと考えています。フラッシュムービーを閲覧できない方には、テキスト形式で対応していきたいと思っています。

 「M−NESTアウォード」を受賞したものに関して特に何か賞品や記念品を贈与するわけではありませんが、その項目は今後長きに渡ってM−NESTの歴史に刻まれることになります。まあただ単に僕に選ばれただけの賞ですから特に栄誉などないと思いますが、僕の趣味をより深く知っていただくとともに、Barでの話のネタにでもなればと考えております。
 「M−NESTアウォード」の対象ジャンルには、Barに書き込んでいただいた皆様のカキコも含まれています。僕が読んで感動したエピソード、大笑いしたネタなどもノミネートさせていただくことがあります。皆さんもぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか?


■M-NEST AWARDの概要(骨子)

 ○分野…………ドラマ、映画、ニュース、書籍、音楽、レジャー、話題等
        及び掲示板「Bar M-NEST」での書き込み内容
 ○対象…………1年間で僕が「見た・読んだ・聞いた・体験した」上記の分野
        ※発売された時期に限らず、各年に僕が認知したものを対象とする。
 ○選考…………1年を通じていつでも
 ○発表…………12月に「PRIVATE」及び掲示板「Bar M-NEST」にて発表


 ではここで、現時点での「ノミネート候補」作品をご紹介しましょう。以下にご紹介するのはあくまでも「ノミネート候補」作品ですので、12月の正式発表の時点でノミネートから外れる可能性もあります。


■M-NEST AWARD 2005 ノミネート候補

 ○電車男(ドラマ/2005・フジテレビ)
 ○恋に落ちたら(ドラマ/2005・フジテレビ)
 ○男達が後ろから撃たれるスレ(インターネット/2005・中の人)
 ○ゴノレゴシリーズ(インターネット/2005・ポエ山)
 ○機動戦士ガンダムThe ORIGIN(コミック/2005・安彦良和)
 ○ミスティック・リバー(映画/2004・米)
 ○ラブ・アクチュアリー(映画/2003・英米)
 ○焼き鳥屋「鳥匠」(グルメ/2005・静岡)
 ○フェルナンド・アロンソ(スポーツ/2005)
 ○サッカー日本代表(スポーツ/2005)
 ○グランツーリスモ4(ゲーム/2005・SCEI)
 ○新居(話題/2005)
 ○ローライズ(カキコ/2005・ONIちゃん)
 ○方向音痴の君(カキコ/2005・ゆうきち)
 ○舞妓姿(カキコ/2005・ONIちゃん)

 現時点では、上記の項目が「ノミネート候補」に挙がっています。年末までには、今後出てくるであろう新たな項目とあわせてさらに厳選し、ノミネート作品を選考していきます。お楽しみに。



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 監督クリント・イーストウッドの結末(後編)
2005年09月18日(日)

(昨日の続きです)

 
 「ルーキー」(1990)はとりあえず置いておき、不条理ではないにしても、クリント・イーストウッドの監督・製作作品は、昨日お話しした「ミスティック・リバー」のように、必ずしもハッピーエンドではないというのがひとつのスタイルになっていると思います。

 その他の作品では、ケヴィン・コスナーと共演し話題になった「パーフェクト・ワールド」(1993)が、やはり不条理な結末を迎えます。この映画は63年テキサスを舞台に、犯罪者と幼い少年の心の絆を描いたヒューマン・ドラマで、刑務所を脱走したケヴィン・コスナー演じるブッチとその相棒は、フィリップという8歳の少年を人質にとって逃避行をつづけます。しかしブッチが少年をレイプしようとした相棒を射殺してから、少年フィリップは、死んだ父の姿をブッチに重ねて見るようになり、次第に心を通わせていきます。
 一方、クリント・イーストウッド演じるレッド・ガーネット警部はこのブッチと人質フィリップを追っていくのですが、最後のシーンで警察に追いつめられたブッチは、フィリップ少年を解放し自首しようとします。しかし、ブッチが走り去るフィリップを撃とうとしていると勘違いした別の刑事がブッチを射殺してしまい、フィリップはブッチの死に泣き叫ぶという、何ともやりきれない結末に終わります。

 世界中で大ベストセラーとなった同名小説を映画化した恋愛映画の傑作「マディソン郡の橋」(1995)は、農場主の妻フランチェスカと、近くの屋根のある橋ローズマン・ブリッジを撮影に来たが道に迷ったという旅のカメラマン、ロバート・キンケイドの永遠に心に残る4日間を描いた作品ですが、この映画は不条理ではないものの、やはりハッピーエンドではありません。しかしこの映画の場合、長い人生を振り返ってみれば、ハッピーエンドであると言えるのかもしれません。

 この映画では、生活の大部分を旅の中で過ごし、世界中のどんな場所や人にも内面の孤独が満たされなかったキンケイドが、同じ種類の孤独を抱えているフランチェスカに出会い、お互いを知れば知るほど相手が自分達にとってどんなに希有な存在かを深く理解した上で、その4日間を胸に秘めたまま、一生を終えてゆくという、ありきたりの恋愛映画とは一線を画し、女性側にのみならず、男性も共感出来る上質の大人の恋愛映画であるといえるでしょう。

 しかし、結末はフランチェスカとキンケイドは結ばれることはなく、フランチェスカは一緒に旅に出ようと言うキンケイドの思いを断ち切り、結局農場主と子供たちとの平凡な人生を選ぶというものでした。そして、2人が死んだ後になって初めて、成人した子供達が彼らの恋を知ってゆくという話の設定、よく練られた脚本、そして何と言っても、映画というものを熟知したイーストウッドの巧みな演出には、思わず唸ってしまうのと同時に、彼の監督としての手腕を再確認させられます。

 クリント・イーストウッドといえば「ダーティー・ハリー」シリーズが有名ですが、そのシリーズ中、唯一イーストウッドが監督・製作を手掛けた作品が「ダーティー・ハリー4」です。この映画では、それまでの勧善懲悪的なストーリーから一転し、イーストウッド独自の結末が用意されていました。
 シスコの連続殺人犯を追ってサン・パウロを訪れたハリーの前に画家のジェニファーという女性が現れるのですが、ハリーは捜査を進めていくうちに、数年前にジェニファーと彼女の妹がレイプされるという事件があり、連続殺人の犠牲者はその犯人たちだという事実に行き当たります。

 実は連続殺人の犯人はこのジェニファーで、自分自身と妹をレイプした犯人に次々に復讐していたのです。そして残ったレイプ犯たちは真相を闇に葬るべく、復讐鬼と化したジェニファーと、事件を捜査するハリーの命をつけ狙うのですが、クライマックスではジェニファーが最後の1人を殺害し、ハリーもそれを目撃していました。しかしハリーは、法を重んじる刑事であるという立場でありながら、ジェニファーの復讐劇を黙認し、すべての犯行は真相を闇に葬り去ろうとした最後のレイプ犯によるものだとし、ジェニファーを逮捕しませんでした。

 これは、例えジェニファーが連続殺人犯であったとしても、その犠牲者が冷酷非道なレイプ犯であったこと、そして自分自身がレイプされ、さらには妹もレイプされてそれを苦に自殺してしまったというジェニファーの深い悲しみと憎しみを察し、刑事としての立場より1人の人間としての立場を尊重した、「毒には毒をもって制す」的な考え方が印象的だった結末です。それまでの「ダーティー・ハリー」シリーズとは一線を画した作品だったと思います。

 僕が観たクリント・イーストウッド監督・製作作品の中では珍しくコメディタッチで、結末もハッピーエンドと言えなくもない作品は「スペースカウボーイ」(2000)ですね。この作品はクリント・イーストウッドとトミー・リー・ジョーンズ、ドナルド・サザーランド、ジェームズ・ガーナーという往年の大物俳優が夢の共演を果たした話題作で、老パイロットたちが、人工衛星の修復という任務を受け40年ぶりに集結し、自らの夢だった宇宙飛行へと挑むという内容です。

 ストーリーを解説しますと、かつてアメリカ空軍には宇宙探索飛行を目的としたパイロット・チームが存在したが、土壇場になって宇宙プロジェクトが空軍からNASAに移行、宇宙へ行ったのは訓練に励んでいた4人の男たちではなく一頭のチンパンジーだった。それから40年、チームの一員だったイーストウッド演じるコービンのもとにNASAから衛星修復の依頼が来た……というお話。
 この映画は興行的には大して振るわなかったのですが、僕個人的には、適性検査すべてがEランク、しかも飛行訓練ですぐに根をあげてしまう年寄りばかりが宇宙に行くという何とも奇妙な設定、そして何と言っても、御大クリント・イーストウッドが遂に宇宙へ行くという事実に個人的に歓喜した作品です。

 この作品では、トミー・リー・ジョーンズ演じるホークがNASAの職員と恋に落ちるのですが、適性検査の過程で末期ガンであることが発覚し、それでも宇宙へ行くというエピソードが盛り込まれています。そして、修復しようとしていた人工衛星が実は核弾頭ミサイルであることがわかり、それを月に廃棄しようとするのですが、手動でコントロールするには誰かがミサイルに張り付いていなくてはならないため、末期ガンであるホークが名乗りを挙げます。

 エンディングは、ホークを除く3人は無事地球に帰還しますが、ホークはミサイルとともに月へ行き、最後は月面から地球を眺めるような格好で死に絶えているというものでした。しかし、ホークはかねてから、一度でいいから月面から地球を眺めてみたかったと言っており、人生の最後にその念願が叶ったという意味では、彼にとってもハッピーエンドだったのではないかと思います。
 実はこのシーン、月面に衝突したミサイルの残骸から足跡が続き、その足跡の先にはホーク岩に寄りかかりながら腰を下ろしていて、ミラー状になっている宇宙服の頭の部分に青々とした地球が映し出されているという表現だったのですが、よくよく考えてみると、ミサイルが月面に激突した時点でホークが生きていて、そこから歩いて岩に腰を下ろすというのはちょっと考えにくいですね。もしかしたらあのシーンは、他の3人のうちの誰かの想像だったのかもしれませんね。

 ホークが命を懸けて核ミサイルを月へ誘導し地球を守ったわけですが、彼はガンでなくても、おそらく同じ事をしたのではないでしょうか。しかし、観てる方はガンであった方がまだ諦めが付く。ホークが末期ガンであったという設定は、もしかしたら悲しみの緩和策だったのかもしれません。

 クリント・イーストウッドが監督・製作した映画はまだまだたくさんありますが、他のハリウッド映画とはひと味違うエンディングが待ち受けているので、他の作品もぜひ観てみたいですね。今や映画界を代表する巨匠の1人で、作品も作るたびにクオリティを増していますが、彼の初期の作品も、時間があれば少しずつ堪能してみたいと思います。まずは「許されざる者」と「ミリオンダラーベイビー」のアカデミー賞受賞作品2作を観てみようと思います。皆さんも秋の夜長に、ぜひご覧になってみては?。



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 監督クリント・イーストウッドの結末(前編)
2005年09月17日(土)

 さて、昨日はクリント・イーストウッド監督・製作の映画「ミスティック・リバー」について書きましたが、今日はそのストーリーとともに、監督としてのクリント・イーストウッドの魅力について書いてみたいと思います。

 クリント・イーストウッドは1930年生まれで、今年何と75歳。64年にイタリアに招かれて撮った「荒野の用心棒」が世界的ヒットを飛ばしたのをきっかけにマカロニ・ウェスタン・ブームに乗り人気が上昇しました。その後71年の「ダーティハリー」のハリー・キャラハン役でマネー・メイキング・スターのトップに躍り出ます。以降、自らのプロダクション、マルパソ・カンパニーを率いて「恐怖のメロディ」で早くも初監督をこなし、役者のみならず監督としても高い評価を受け、92年、自分の映画の師であるセルジオ・レオーネとドン・シーゲルに捧げた“最後の西部劇”「許されざる者」で念願のアカデミー作品・監督賞を受賞しました。

 監督に専念した、昨日ご紹介した「ミスティック・リバー」では、人生の不条理と人間の心の闇を描き出した傑作と高い評価を受けましたが、一昨年のアカデミー賞では演技部門で2つのオスカーを獲得するも、自身の監督賞と作品賞は、11部門制覇の快挙を成し遂げた「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」の前に涙を呑むこととなってしまいました。
 しかし昨年、女性ボクサーと老トレーナーをめぐる悲愴な人生を描いた監督・主演作「ミリオンダラー・ベイビー」を発表、再びアカデミー賞にノミネートされると、今度は「アビエイター」のマーティン・スコセッシ監督との事実上の一騎打ちを制し、みごと2度目のアカデミー監督賞(74歳での監督賞受賞は最高齢記録)に輝き、前年の雪辱を果たしました。「ミリオンダラー・ベイビー」は作品賞をはじめ主要部門で計4つのオスカーを獲得し、もはや名実ともにハリウッドを代表する映画人として誰もが認める巨匠です。

 クリント・イーストウッドが監督を手がけた映画で僕が観たのは、「ダーティハリー4」(1984)、「ルーキー」(1990)、「パーフェクト・ワールド」(1993)、「マディソン郡の橋」(1995)、「スペースカウボーイ」(2000)、そして「ミスティック・リバー」(2003)の6本。この6作品の中では、やはり「ミスティック・リバー」が群を抜いているなあと僕は思います。

 さて、これから書く内容はネタバレの危険があるので、まだ「ミスティック・リバー」を観ていない方で、これから観てみようと思っている方は、以下に設定した「ネタバレゾーン」を飛ばしてくださいますようお願いします。


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 クリント・イーストウッドが描く映画は、どの映画もいわゆる“ハリウッド的なハッピーエンド”がないというのが魅力のひとつであると言えるでしょう。昨日ご紹介した「ミスティック・リバー」も、もちろん原作はあるものの、イーストウッド自身がこの原作小説を映画化しようとチョイスした時点で、彼がこういった“ハリウッド的なハッピーエンド”ではない、むしろ不条理な結末を好むというのがわかると思います。

 「ミスティック・リバー」では、25年ぶりに再会した3人の幼なじみ、ジミー、ショーン、デイブとの間に、少しずつ亀裂が生じていき、最後は取り返しのつかない結末を迎えてしまいます。
 ジミーの17歳になる娘が殺害され、それによって町を出て殺人課の刑事になっていたショーンが捜査にやってきて再会を果たします。一方デイブは、妻がジミーの妻と姉妹であるため元々親戚関係で、事件をきっかけに再び交流を通わせていくことになります。ジミーは娘を失った哀しみをデイブに話すことで抑え、デイブもそんなジミーの気持ちを察し、黙って彼の話を聞いてあげるのです。

 しかしその後、刑事ショーンが担当するジミーの娘殺害の捜査線上に、デイブの名が浮上し、デイブがジミーの娘殺害の容疑者になってしまいます。ジミーは幼なじみのデイブが犯人であるということを知り衝撃を受けますが、その後仲間とともにデイブを脅迫し、娘を殺したのかと迫ります。
 デイブは初めは身の潔白を必死に訴えていましたが、ジミーに「娘を殺したと認めれば命だけは助けてやる」と言われ、自分が殺したとジミーに告白します。しかしジミーは、それを聞いてデイブへの憎しみを募らせ、そのまま彼を殺害し、死体を川へと流してしまいます。これでジミーは娘の復讐をし、事件は終わったかのように見えました。

 ところが、その後ジミーは、ショーンから犯人を捕まえたという報告を受け、デイブが無実であることを知ったのでした。そして罪もないデイブを自らの手で殺してしまったという事実に、途方に暮れてしまいます。
 ショーンは刑事でしたが、幼なじみで、しかも愛する娘を失ったジミーの思いを汲み、おそらくデイブを殺してしまったのであろうジミーを逮捕しませんでした。そして残されたデイブの妻だけが、デイブはおそらくジミーに殺されてしまったのだろうと言うことを悟り、哀しみに暮れるという結末です。

 おそらく“ハリウッド的なハッピーエンド”だったら、ジミーがデイブを殺害する直前にデイブの無実がわかり、ジミーがデイブを殺すことはなかったでしょう。しかしこの映画では、少年時代の友情が大人になるにつれて薄れていき、時には破滅すら起こりうるという現実を、まざまざと見せつけています。とても不条理な結末ではありますが、時に人間はこのような不条理な経験に遭遇する、いやむしろ、不条理な現実の方がはるかに多いものであると言うことをリアルに描いていると思います。


(続く)


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