入院してからすでに一カ月以上の月日が経った。早いものだ。 その間に僕の病状はかなりよくなった。 この分なら、八月中には退院できるだろう。たぶん、だけども。 近頃は退院後の生活のことをよく考える。 アパートでの一人暮らしを始めた途端、また病気がぶり返すのではないかと、不安でたまらない。 ちゃんと食事をとることができるだろうか?時間をうまくつぶせるだろうか?家事をやることができるだろうか?……やってみないとわからないことだらけだ。 本当はそこまで深く悩まなくてもいい問題なのかもしれない。 だが、自分に対して自信を完全に失った僕は、その問題から目をそらすことができないでいる。
僕が入院してから、もう一カ月以上の月日が流れた。 僕のうつはこの一カ月でかなりましになった。 入院したての頃は、僕はひたすら死ぬことばかり考えていた。僕に後少しだけ勇気があったら、僕は今ごろ生きてなかっただろう。そう、僕は死にそびれたのだ。 今はもう死のうとは思わなくなり、代わりにこれからどう生きようか考えるようになった。 病気は確実に回復に向かっている。 まだ退院の目途はたっていないが、おそらく後一カ月ちょっとで退院できるだろう。 退院できれば職場復帰も近いだろう。 問題は、僕の記憶力や判断力がどのくらい回復するかだ。 もしかしたら、今の職場で必要とされるだけの分まで回復しないかもしれない。 そのときは辞職するしかないのだろう。それは残念だが仕方のないことだ。
今日は作業療法を行った。 僕がやったのは、ビーズで絵を描く作業だった。 特に頭を使わないでもできる単純作業だが、その単純さが心地いい。 作業をやっている間は無心になれる。 作業は一回二時間。ちょうどよい長さだ。 午後になって僕は散歩に出かけた。 外は少し蒸し暑かったが、脂肪を燃焼させるにはちょうどいい暑さかもしれなかった。 外に出るのはやはり気持ちいい。 一日中病室に閉じこもるのは、やはり健康によくないとあらためて思った。 これからもできるかぎり、一日一回は外出するように心がけようと思った。
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