* たいよう暦*
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実は、私。 内定をもらった会社と、4月1日に入社した会社が違います。
正式内定をもらった10月から入社するまでの半年の間に、なんと、会社がつぶれてしまったんですねー。 いやはやいやはや。 正確に言えば、「吸収合併」なんですが、吸収された側の採用だったので、ま、早い話が「つぶれた」。 これは、なかなか人の体験しないおもしろい出来事だった・・・と今だから言えるけれど、当時はそれこそ、ふってわいたような災難だと思っていました。
面接も試験もクリアして。 内定がもらえるので「逆指名」という手続きをとることになったとき。 当時なにかと話題の多かった会社なので、就職課の先生に相談しました。
「つぶれないかどうか、心配です」 「大丈夫。バックにあんな大きな銀行がついているんだから絶対つぶれない!」
きっぱり言い切った先生。 なるほどね。と、最後の不安がぬぐいさられ、素直に手続きをした私。 質問はしたけれど、まさか本当につぶれるとはその当時は思ってもいなかった。
数ヶ月後に発表された吸収合併の話。 動揺して、就職課の先生のところにかけこみました。
「つぶれちゃいましたよ!どうしましょう!」 「つぶれたわけじゃない。名前がかわっただけだ。 協和埼玉銀行が、あさひ銀行になったようなものだと思いなさい」 ・・・・先生。それは違うと思うんですけど・・・。 ・・・・先生。それはいいわけじゃないですか・・・。 いろいろわきあがる言葉はあったけれど、結局は先生に言えずに終わってしまいました。
「つぶれたわけじゃない。名前がかわっただけだ」だからか、採用が取り消されることもなく、無事4月1日入社式をむかえました。
4月1日合併初日に、入社した私たち。 合併後初の、新入社員。いわゆる、一期生です。 4月1日に、いきなり違う会社が同じ会社としてスタートすることになった会社。
今は、ひとつの会社として、整然と業務が執り行われていますが、あの当時はいろんなことで、てんやわんや。 それこそ、ひとつの事を決めたり、行事があったりするたびに、いろいろなことがおこっていました。 4月1日が来ると、そういう雑然としていた当時を、なんだかなつかしく思い出します。
3月31日は、8月31日の次にさびしい気分になる。
学生の時も、社会人になってからも。
牡蠣が好きです。とっても。 生牡蠣と牡蠣フライが、とくに好き。
なぜ好きか。
味が好き。 さくっ、ふわっ、とろっの三拍子が好き。 濃密なまったり感が好き。 ・・・・・・あげればキリがないけれど、 ほんとは理由なんて、どうでもいい! とにかく、好きなのです。
今はもうない「よく行った場所」で、おいしい牡蠣をたくさん 食べさせてもらいました。 一度などは、牡蠣好きの友人の結婚祝いと称して、 牡蠣づくしのコース料理を作ってもらったこともあります。 食べても食べても飽きがこず、くさみも残らず、甘くてまったりとして、 ほんとうにおいしかった。 でも、その場所がなくなってから、おいしい牡蠣に出会うことも なくなった。
「牡蠣フライ、おいしいよ」 そう言って友人に連れていってもらった洋食屋さん。 確か、一昨年の冬。
「・・・・・!」 びっくりした。 今まで食べた牡蠣フライの中で、飛び抜け一番おいしかった。 「おいし〜〜〜っ!」 顔をあげると、 「おいしいでしょう?」という満ち足りた顔で、 マスターが厨房の中からにこにここちらを見ていた。
「私、もう、ここ以外で牡蠣フライ食べません!」
きっぱり言い切ったあの時から、 本場広島に牡蠣を食べに行った時につまんだ 牡蠣フライふたつ以外は、よそのお店で食べていません。 はい、ほんとうに、食べていません。 あんなに好きだったし、よく食べていた牡蠣フライ。 食べたくなったら、迷わず「おいしい洋食屋さん」まで 足を運びます。
「ほんと、冬じゅう牡蠣フライだねえ」 笑われながら、このシーズンも、たくさんたくさんおいしい 牡蠣フライを食べました。 冬の味覚の王、牡蠣。 3月でおさらばです。 今日は、今シーズン最後の牡蠣フライの日だと聞いてたまらなくなり、 土曜日に「食べおさめ」をしていたはずなのに、 気づいたらカウンターで一人、注文していました。
やっぱりおいしいなあ。
しみじみと眺めながら、味わいながら食べた最後の牡蠣フライ。 最後の一口がなかなか食べられなかった。 ・・・・いやいや、いやしんぼなわけではないんです。 ただ、こんなおいしいものが、あと7ヶ月も食べられないのかと 思うと、なんだか、ねえ。なんとなく、ねえ。
10月に入って、秋の便りが届く頃。 また、牡蠣フライのシーズンがやってきます。 その時まで、おさらばです。 おいしい味を、ありがとう。 また、来シーズンにね。
「願はくは花のもとにて春死なん その如月の望月のころ」 西行法師
その背景がどんどん見えてきて、美しさの奥行きに圧倒された歌。
今は解散しましたが、その昔「夢の遊眠社(ゆうみんしゃ)」という劇団がありました。
東大を中退した野田英樹という演出家が主宰していた劇団。 言葉遊びと体をフルに使った表現力がおもしろくて、学生の分際で、高いお金を出しては何度も舞台を観に劇場に足を運びました。
その劇団の作品の中に 「贋作 桜の森の満開の下」というのがあります。 坂口安吾の同名小説を下敷きにしたもので、狂おしいほど美しい満開の桜の樹の下で、少しづつ何かが狂っていく物語でした。
その舞台を見て初めて、坂口安吾という人の作品を教科書の教材としてではなく、自分のものとして読みました。 「満開」の「桜」の「木の下で」ではなく、 「櫻の森」の「満開」の「下で」という言葉の表現がすごいと思った。 ぱーっと、何かが自分の中でひろがった。 物語の中身にもひかれたけれど、そのタイトルにまさに打たれたといっていい。 最初のジャブが効いたので、あとはするするするっと物語に引き込まれ、あっという間に不思議な美しい空間で、美しい言葉と表現にどっぷりとはまっていた。
「彼は始めて四方を見廻しました。頭上には花がありました。その下にひつそりと無限の虚空がみちていました。ひそひそと花が降ります。それだけのことです。」 「すると、彼の手の下には降りつもつた花びらばかりで、女の姿は掻き消えてただ幾つかの花びらになつていました。そして、その花びらを掻き分けようとし彼の手も彼の身●(骨編に豊)も延した時にはもはや消えていました。あとに花びらと、冷たい虚空がはりつめているばかりでした。」
桜の樹の下にたつと、いつもこの物語を思い出します。 桜の森の満開の下。 いつかその下で、美しい鬼が出てくるのを待ってみたい。その美しい鬼に、魅せられたい。 そう思わずにはいられない、小説です。
実は、大阪に生まれ育ちながら、18才まで大阪城を見たことがありませんでした。
は?
とびっくりされて、連れていってもらって見たのが初めてでした。 ところが、一緒に行った相手が悪い。 緊張しすぎて、初めての大阪城がどんなだったかは、はっきり覚えていません(笑)
今日は、別名白鷺城という、美しい世界遺産姫路城に桜狩に行きました。 まだ、桜は咲いていなかったけれど、ぱんっぱんにふくらんだ濃いさくら色が、咲いている時よりもむしろ美しく見えました。 そして、その濃いさくら色と、白壁の美しいお城のコントラストが見事だった。
今日は緊張せずに、初めてみる姫路城を、いろんな角度からじいっと観察しました。 さすが、世界遺産。 見ても見てもみあきない、計算されつくされた美しさでした。
2004年03月26日(金) |
ニュースステーション |
18年半続いたそうです。
今日、歴代タイトル曲が流れたら、なんと全部覚えていました。 私にとって、初めて出会ったニュース番組というものが、これ。 チャレンジャーの爆発も、天皇崩御も、ベルリンの壁の崩壊も、阪神大震災も、同時多発テロも。 重大事件や事故の解説は、全てこの番組からえていたように思います。
世論的には、しゃべりすぎるだの、勝手なコメントが多いだの叩かれる事もあった久米さんですが、我が家では、時には誰もが思っているのに口に出さないことを堂々と語るその態度に、肩入れしていたように思います。 だからこそ、わが家は夜10時には必ずニュースステーション。 18年半という長い間、毎夜毎夜その番組でその日の世の中の動きの情報をえていました。
18年半続いたわが家の習慣。 夜10時からの朝日放送。 その習慣が来週からなくなるのかぁ〜。
すこん、と何かが欠落したかんじ。 それは、きっと来週の月曜日に初めてわかる感情だろうな。 永遠に戻ることのない、わが家の夜10時からの習慣。 なんとなく寂しくて、なんとなく、最後の久米さんのビール一気のみまでじっと見守っている自分がいました。
来週から、わが家は何で世の中の動きを知るのでしょうね。 欠落した習慣は、何にとって変わられるのでしょうね。
久米さん、18年半、どうもお疲れさまでした。
2004年03月25日(木) |
パンの会〜リベンジ〜 |
その昔。 なによりもあこがれた食べ物は’アルプスの少女ハイジ’に出てくる 「とろっとろのチーズをのせたパン」
アルプスの少女ハイジが、一緒に暮らしている’おんじ’に、暖炉の前でパンを焼いてもらいます。 その上に、とろけたチーズをのせてもらって食べるそのハイジの顔ときたら・・・! 「なんておいしそうなんだろう〜!」 あの当時、一番おいしく見えた食べ物かもしれません。
ふわん。
ふたを開いた瞬間、いいにおいが部屋中にただよいました。 焼きたてパンの、なんだかやさしい、おいしい、そして香ばしいかおり。 きっと、暖炉の前でハイジがかいだに違いない、かおり。
さくっ、さくっ、さくっ。
パン切りナイフが入るたびに、いい音がしました。 そして、さらに’いいにおい’はどんどん濃くなって、’いい音’とともに五感を刺激します。
「はい、どうぞ」
渡されたのは、あったかいパン。 まっしろで、湯気がほこほこたっています。 そして、表面のきつね色は、つやつや輝いて、見ているだけでかりっかりなのがよくわかります。 ふわん、と’いいにおい’がさらに濃くなりました。
「いっただきま〜す」
ぱりっ、さくっ、さくっ、さくっ・・・・ うわぁ〜・・・・
焼きたてパンを口いっぱいにほおばりました。 暖炉の前のハイジとおんなじ気持ちになりながら。 とろっとろのチーズはなかったけれど、 あったかいシチューにサラダにハムに固いチーズにクリームチーズにブルーベリージャム。 大満足な、パンの会でした。
とっても’ハイジな気分’。 ごちそうさま、でした。
小さな目標を、日曜日にたてました。 かろうじて三日坊主にならずに続いています。
最近、ちいさな目標をたくさんたてていて、 よくばっているなあ、と自分でも思う。
昔は、目標をたてるのが苦手だったのに、なんだろう、この乱立は。 「春休みの目標」とか「夏休みの目標」とか「今後の目標」とかいわれても、すごく困って、いつもどう答えていたかも覚えていない。 なんでだったんだろう。 漠然としすぎていた「目標」という言葉が好きじゃなかったのか。 それとも、想像力が欠落していたのか。 それとも、こうなりたい、という向上心が足らなかったのか・・・。 振り替えってみると、目標をたてた思い出はないけれど、「絶対こうする」と自分でこっそり決めていたことが、今から思えば「目標」だったのかもしれないなあ・・。
考えてみれば、すごく負けず嫌いな私、目標をたててやぶれることがいやで、目標をたてなかったのかもしれない。
最近の小さな目標の乱立。 目標を達成しようと向上心にあふれているのかな。 それとも、なにかあせって、よくばっているのかな。 それとも、目標が達成できなくても負けず嫌いの虫がでないとふんでいるのかな。 でも、それはある意味堕落な気がするな。 それとも、身近な振り返りが上手になって身近な目標をたてられるようになったのかな。
自分のことなのに、大変ビミョウです。 でも、とりあえずは、ひとつひとつの目標を達成しようと努力中。 なんにしろ、努力して一歩踏み出すことはいいことだ。 頑張りすぎて空回りしないようにさえ、気をつけていれば、いいことだと思う。
友人の小さな門出の話をきいた。
その門出の仕方が、また、”彼女らしい”。 「運とタイミングと勢い」を大事にしたあなたに、新しい世界がやってきたね。
小さな門出にオメデトウ。
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