* たいよう暦*
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うわぁ〜・・・・。
思わず、立ちつくしてしまった。 紅紫色のうつむき加減に咲く’カタクリの花’が、まるでピンクのじゅうたんをしいたみたいに丘一面に満開で。 そして、そのむこうに見えるのは、雪を冠した羊蹄山。 紅紫と白色の対比がとてもあざやかで美しく、息をのんでみとれてしまいました。
一面に咲く’カタクリの花’の、ひと株ひと株はとても可憐で、守ってあげたくなるはかなげさなのに、群生になると力強い生命力とでもいうものを発散させていて、圧倒されます。 なんてお花なんだろう。本当に、凛々しく力強い。それでいて、可憐で美しい。 一度見てみたいと思っていたカタクリの花は、想像以上でした。
「妖精の丘」と呼ばれている場所だそうです。 確かに妖精が住んでいるような場所かもしれない・・・と思わされる、すごいお花畑・・・。
私の小さな小さな友人は、こういう所で時を過ごしているのかもしれないなあ・・・・。
思い出があるから悲しみも深いけれど、思い出があるから生きていけるんだろうか。 そんなことを考えながら、一日が過ぎていきました。
12月10日生まれの小さな小さな友人は、やさしい春の日射しがさしこむ部屋の、花柄の小さな棺の中で待っていてくれました。
近々郵送するはずだった彼女へのプレゼントの絵本を友人に渡すと、静かな声で、読んできかせてあげてくれました。 「ほんと、絵本みせるとじっとみよるんよね」 何度も何度も涙をぬぐいながら、小さな小さな友人の話をしつづけてくれた二人。 何度も棺をのぞきこんでいる私に、 「もうすごく冷たくなってるんやけどね。さわったって」 と言ってくれました。 眠っているかのような彼女をびっくりさせないように、そっと手をのばしました。 ほんとうは来月か再来月に頬ずりするはずだったほっぺたに・・・。 肌はつるつるで、ふっくらとしていて、ぷくぷくしていました。 びっくりするぐらい冷たかったけれど、その冷たささえなかったら眠っているとしか思えないぷくぷくしたほっぺただった。
出棺の喪主の挨拶の時、友人は右手のてのひらを、しっかりと小さな小さな友人の乗った車の扉にあてていました。 友人の手のひらから、その中の棺へ、その中の棺から、友人へ、間違いなく何かが流れているのが見えたような気がしました。
「生まれてから139日、精一杯生きてくれました。生きることをあきらめない子でした」 声をふりしぼり語る友人の言葉に、139日という数字の短さに、その時間に私たちに残してくれた思い出の数々に、涙があふれてとまりませんでした。
「大変な時に、たくさんの人が祈ってくれました。あの時助かったのは、医療の力ではなくて、たくさんの祈りの力だと思っています。どうもありがとう」
最後に何度も名前を呼びながら、頬ずりして抱きしめていた友人二人の姿が忘れられません。 こんなにも悲しみと嗚咽にみちているのに、びっくりするほど晴れ渡った春の一日でした。
あたたかい陽射しの中を、ゆっくりと小さな小さな友人を乗せた車は出発していきました。 どうかどうか。 どうかどうか。安らかに・・・。 車が見えなくなるまで、見送りました。
これから、私たちに、なにができるだろう。 これから、私たちは、どうすればいいんだろう。 できることは、少ないけれど、小さな小さな友人のために、そして、二人の友人のために、なにかできることはないだろうか。 春の陽射しの中で、じっと考えていました。 まだ、答えはみつかっていません・・・。
小さな小さな友人。 139日間、どうも、ありがとう。 たくさんのことを、あなたから教えてもらいました。 どうも、ありがとう。 どうか、どうか、安らかに・・・・。
胸の痛い一日でした。 ふとした隙間に、ため息が漏れてしまいます。 ため息をつくと、少しだけ胸の痛みがとれるような気がしましたが、それは気のせいなんだって、次のため息をつく前に気づきます。
なにかの拍子に、涙がどんどんあふれてきます。 でも、まだ、流しはしません。 涙を流すべき人がいるのだから、私なんかが 流しちゃだめだと、思っていました。
「いいんちゃうか、泣きたい時は泣けば。 悲しいんだから。悲しみに比較はないで」
向かい合って座っていた人が言いました。 そうか。流していいのか。 深夜のファミレスで、どんどん涙が流れました。
「でも、俺は’つらい’って言葉は使わないようにしようと思う。だって・・・」
向かい合って座っていた人も、目にいっぱい涙を浮かべていました。 私たちの’つらさ’と、二人の’つらさ’。 比較なんてできないけれど、でも、同じ’つらさ’や’悲しみ’を感じているのだと思います。
「二人によろしく伝えてな」 明日行きたくても行けないその人は、ファミレスの前で、すごい思いのつまった目で私を見ました。 その思い、間違いなく明日伝えなくては・・・。 二人にまっすぐ届けよう。
つらいつらいしらせが、突然届いた。 あまりに突然で、言葉を失った。
「あぶない、応援してくれ」 「がんばれ、って、祈って」 携帯に届いたメール。 祈ることしかできない私たちは、たったひとつのことを信じて、心から祈った。 心が痛くなるぐらい、祈り続けた。 小さな小さな友人は、精一杯がんばり続けた。 一生懸命、一生懸命・・・いのちの’あかり’をともし続けようとがんばった・・・。
「いきる」こと、「あきらめない」こと。 「とびきりの笑顔」と「とびきりのしあわせ」を私たちに教えてくれた小さな小さな友人。 どうも、ありがとう。
あさって、あなたに会いにいきます。
GW前は、一気に物量が増えて、一気に仕事が増えます。
ばたばたばたばたばた。
でも、こんなに忙しいのも、キライでは、ない。
今日は、初めての道を迷わず行って、迷わず帰ってこれた。
すんばらしい!
日射しがとっても強くて、日のあたるところを歩いていると汗ばむ陽気。 すっかり、初夏のよそおい。
お茶しようと入ったお店で、日陰のテラス席に案内された。 最初は涼しいなあと思っていたのだけれど、ちょうど夕方にさしかかる時間であったことも手伝って、日がかげりだすと急に温度が下がり、すっかり体が冷え切ってしまった。 まだまだ、春。 少し気をつけて感じてみれば、季節は正しく過ぎているようです。
教習所で「夜間教習」があった時は恐怖でがちがちだったけれど、今は、夜のドライブがすき。
夜は、どこまでもつながっているような気がして、どこまでも行けるような気になるからかも、しれない。
最終候補ふたつまで、しぼりきれました。
ふう。 長い道のり。 あと、もうひといき。
相棒探しは、むずかしい。
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