光が炸裂したような午後 白い昼下がりの窓 ごくごくと水を飲む 白い窓に向かって ごくごくと水を飲んだ 気が遠くなりそうな感じを呼び起こすように 窓に向かって目を細めた 陽炎の向こうのバス停 おばあちゃんが立っている 巾着の手提げ袋 おばあちゃんはいつもあれだね あの袋ばかり その隣の女の子は きっと あたしだね ごぼうみたいに細くて 不機嫌に立ってる 気の遠くなりそうな暑さの昼下がり あのふたりはいったい いつから バスを待ってるんだろう…
カラスが好きだとか 草食系の小さなへびなら 結構愛せるだとか 小さな頃からピーマンもにんじんも好きだとか わりと好き嫌いはないほうだろうか…と考えてみると 女の集団が嫌いだなとか 大きな声は許せないとか 狭量な自分にも思い当たり けれど 歯医者は好きなのだ。 好きになるコツは マメに検診にいくこと。 痛くならないうちにね。 それから信頼できるドクターを見つけること。これ、一番かな。 今日、半年に一度の検診。 虫歯なし。 歯茎も健康。 おまけに 茉莉夏さん ぼくのとこ忘れずにいつも来てくれてありがとう。 と有り難き言葉。 先生、いつまでも元気でお仕事続けてくださいね。 もう 17年のお付き合い、こちらこそ ありがとうなのでした。
駅 ひとり、杖で歩くわたしに声をかけた人がいた。 こっから階段だ 19段上がったら しばらくはてえらだ それからっと…わからねえな… 何段かわからねえけど また階段だ そうだ…そっからまた段が始まってる-- その人は少し酒の匂いがしたけれど 最後にわたしの腕を握って 気をつけて行きなよ、お姉さん… と深い慈愛の声で言った。 深い慈愛の声で言った。 翳るときと 照るとき 同じくだれにもあるのなら あの人の限られた照るときに どうか あの人の心に雲がないように めいっぱい 照る時を享受できますように。 いつか遠い時代に 行き過ぎた人 今日、黄昏にまた縁を結んだ。
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