日々の泡

2008年07月18日(金) 偏屈虫

反応すること
はたらきかけに応えること
そこに宇宙が生まれる
それが宇宙のルールだとどっかで読んだ
どっっかというより
あっちこっちだったかもしれない
ひとつのインスピレーション
その時だけ、合点がいったような気がするだけ
今は偏屈虫
わたしにおかまいなく
どうか
そちらはそちらで
つまりは
こんな偏屈虫が悪の元凶
虚無
育てられない関係
感謝知らずな心…
わかってる
わかってる…
この虫を飼い慣らさなければならないこと
問いかけに反応すること
はたらきかけに応えること
ほほえみを返すこと
時々 出来なくなる
まるで防火シャッターをバシャンと目の前に下ろしたように
虚無の闇にひとり膝を抱える
そんな愚か者にも 朝は来るのです
ありがたいことに…
シモーヌ・ヴェイユの愛した詩をここに印しておきます。
訳者のお名前を失念してしまいました。
詩 「愛」
          ジョージ・ハーバーと
「ようこそ おいでくださった」
と、愛は喜んでわたしを向かい入れた。
しかし、わたしの魂はたじろぐのだった。
霧に還るべき罪の身であったから。
だがめざとい愛は
すでに入り口にてためらい臆しているわたしを見逃さず
わたしに近づき、そして尋ねた。
「約束でもおありか?」と。
わたしは応えた。
この家にふさわしい客がおりませんと。
愛はいうのだった。
「その客になるのです」と。
何ですって?情け知らず恩知らずのこのわたしがですって?
とんでもございません。
あなたのお顔を拝することもできないわたしなのです。
愛はわたしの手を取って微笑みながら問うのだった。
「目を作ったのはだれなのか、このわたしではなかったのか」と。
仰せの通りでございます。
でも、わたしはその目を傷つけてしまったのです。
この恥ずべきわたしなどおかまいなさらず放っておいてくださいませ。
それに見合うところへ落ちてゆけばよいのですから。
すると愛は言うのだった。
「あなたは知らないのか、あなたの代わりに責めを負ったその人を」
かたじけのうございます、尊き主よ。
わたしこそ僕となってお給仕いたします。
「まあいい、お座り…
そしてわたしのもてなしを受けなさい。」
そこで、わたしは座って食した。--





2008年07月16日(水) 心配性

楽しい時間
きれいな色のおはじき
奥まった路地にある小さな小さなお菓子屋のショートブレッド
お金がどんどん舞い込んでくるお財布
鉢植えのラベンダー
めっきり白髪の目立つようになった母親
空気のように大事な夫
それは小さなこどもの頃からのこと
いつもいつも不安のかたまりが胸のここにある。
大事なものがなくなった時のことを考えるともやもやと胃のあたりからげんこつのような不安がせり上がってくる。
だから、大切なものが増えるのが怖く
素敵な友だちが出来るのがせつなく
人にやさしくされることがしんどかったりする。
けれど
いざ失ってみると
失う心配から解放されて不思議と安らいだりする。
そんな不安な心持ちを「執着」というのだろう。
 ターシャが亡くなった。
それは、もうひと月も前のこと。
わたしは、亡くなってから大分経ってから知ったのだった。
92歳…
可憐で慎ましやかな花々 コーギーたちにかこまれていた彼女は
空の上の花園にひとり旅立って行った。
わたしの気持ちはと言うと
安らかなのだけれど
それは執着から解放されたものとは違って
自分を生き抜いた素敵な人が旅立っていったという充足感。



2008年07月15日(火) 青唐辛子

わたしは皮膚が薄い
血管が透けるほどの薄い皮膚
少しでもこすると裂けたりミミズ腫れになったり
日焼けさえ うまく焼けることが出来ずに
火膨れになってしまう
齢を重ねるほどに薄さは増して
何にでも敏感で
狭量で
脆弱だ
いつしか考えるようになった
形は内面を表していて
それは全くその通り
皮膚の薄さは
わたしの薄さ

青唐辛子を刻んだ
たくさんの青唐辛子
小口に薄く刻んで
醤油に漬け込んでゆく
青唐辛子の香りは夏の香り
唇の上の小さな汗の玉
プールの水のカルキの匂い
お昼寝のタオルケット…

気がつくと左手が腫れ上がっていた
ほのかに唐辛子の匂いがして
青唐辛子にやられたらしい
ぽっぽぽっぽと脈打っている
職場で りちこさんが言った
わたしの掌を眺めて言った
悲しいことをたくさん乗り越えた皺が出てる…
りちこさんは、最近手相にこってる
だれもみな悲しいことたくさんあるはず
わたしのその皺は
きっと 心が薄いからだ
青唐辛子にもすぐにかぶれる
そんな薄い心


 < 過去  INDEX  未来 >


茉莉夏 [MAIL]