夜、駅に佇んで時間をやり過ごしていると わたしの住む人口十万人の小さな待ちの駅は 刻々と夜が増していくのでした。 それは増していくのでした。 濃い青のインクがもったりと粘度を増していくように どんどん重くなっていって 少しずつ人影がまばらになって きっと あとほんの少ししたら すっかりどこもかしこもミッドナイトブルーの夜が浸透して 色も形もなくなりそうな そんな夜の感じです。 おしまいに遠くで汽笛が聞こえそうな そんな夜の感じでした。
午後、 リビングでヨーガのポーズをとっていると 突然の雨… コブラのポーズで腹ばいになりながら しばし呆然と雨の音に耳を澄ませた。 PCからジェフリー・ディヴァーのリンカーン・ライムシリーズの朗読を流しながら ヨーガするのって おかしいよな。 ヨーガは「無」の境地をめざすのに 耳からは連続殺人事件ですもんね。 けれど、激しい雨音に しばしコブラは鎌首をもたげたまま 激しい雨に 我を忘れていたのでした…
悪癖というか、楽しみでもあるんですけど ミステリー読むと読み終えるまで何もしたくありません。 長いと、そりゃあ大変なことになります。 夜明かしです。 おまけにシリーズもので長年読み続けていたりすると もう登場人物たちが親戚とか友だちとかライバルになってしまって 他人事ではなくなってしまって 本当に読み進めるのにひどく消耗するわたしはあほです。 気になるのはヒーローヒロインよか 彼らを支えている味のある脇役の人々 彼らの存在が次のシリーズではどうなっているのか… 心配で寝られません。 読んでいてもハラハラし通しです。 ああ… そんなに彼女を粗末にすると、 次回は敵に回りますよとか ああ… そのゲイの介護人とむは、本当はライムを愛してるんじゃないだろうかとか… ああ… あの白いラブラドールはいつまで元気で登場してくれるんだろうか…とか 著者の筆力というのでしょうか、 生きちゃってるんですから… それぞれのシリーズの、あの人々が。 そんなに入れ込んでるくせに 読み終えるとやって来る あのミステリー独特の空虚さって何なんでしょうかねえ… ハア…た・め・い・き…
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