日々の泡

2010年10月01日(金) 傾聴ボランティア そして渋皮煮…

毎年、この時期になるとAの隣家の栗の木の愚痴を聞くのが恒例になっておる。
花が臭いに始まり葉が落ちるを経、たくさん実が屋根に落ちてうるさい…に至る。
しかし、A家のもみじもまた隣家に対し同じように迷惑をかけているので何も言えないと言う。
栗の実は拾って食べてくださいと隣家の許しがあるらしく、わたしたちは愚痴を聞きながらそのおこぼれに預かるわけね。
その拾った栗というのがいがからはぜて落ちた栗だけに完熟。そして大粒。
おもしろいようにきれいに皮がむける。
わたしは皮むき名人か?と勘違いするほど。
そして渋皮煮。
ゆっくりと栗をゆでている最中。
レシピを検索してみるとブランデーを入れる人が結構いらっしゃる。
ブランデーはないので、お菓子用に準備してあるラムかグランマニエを使ってみようと思う。
むふああ…楽しみだ。
Aの隣家の方、どうもありがとうございます。
花が臭い?葉が落ちる?
そんなのへっちゃらです…
Aんちのことですから…



2010年09月25日(土) 立腹ジンクス

朝の蜘蛛みたいにいくつかのジンクスがわたしにはある。
たとえば、パンを余分に買い込んでおくとだれかがパンをくれる。
たとえば、わたしの実母はいつもしてくれることであっても、こちらが期待していたり、当然してくれるであろうと油断しているとしてくれない。
先日も入院している京都の叔父を見舞った帰り、小田原で新幹線を降りて我が家へやって来ると連絡が入ったので当然お土産は漬け物でしょう…と期待していると買って来ないわけだ。
やっぱり漬け物は冬のものであるからして買って来ないだろう…と期待していないと緋の菜だの柴漬けだのなんだかんだと買ってくるくせに期待してお箸を持って待っていると買ってこない。
もしかして、京都駅でおいしい駅弁を買ってくるかもしれない……いや、夕飯時に来ると連絡をしてきた時に何も言わなかったのだからそれはないだろう…で、鰺フライだとかがんもの煮物とか切り干し大根とか味噌汁だの用意して待ったわけだ。弁当は来ないだろうが漬け物は来るだろうとふんで待っていたわけだ。
で、漬け物はなし、で、買ってきたのは鯖と鯛の押し寿司だし…
だからこの時間に寿司を持ってやって来るのなら連絡せいつ!夕飯の準備は要らないとお言いっ!と説教したいのをぐっとこらえ、おいしいとにこやかにバッテラをほおばるわたしは大人だ。



2010年09月23日(木) 小さな知らせ

朝の蜘蛛は仏様のお使いだから殺してはいけません。
そんなことを遠い遠い昔にだれかに聞いた。
わたしは蜘蛛なんか見えないので、周りの人たちの「蜘蛛格闘話」に耳を傾けながら、近くどこからか訃報が入るな…などと思っていると、かなりの確率でさみしい知らせが届く。それは同僚の親戚であったり近所の隣人であったり…
その朝も職場で朝の蜘蛛話を聞いた。
Oは小さな蜘蛛がぴょんぴょんはねるように職場の机の上を逃げていったと言っていたし、
Mは掌ほどの大きな蜘蛛と起きがけに格闘した話をしていた。
彼女らの話を聞きながら、わたしはぼんやりと、ああ…今度はわたしの近くで何かありそうだな…と思った。
その晩遅く、尾道の叔父の訃報が入った。
叔父は長く患っていたので周囲も静かに覚悟はしていた。
わたしは連絡を聞きながら蜘蛛はやっぱり仏様のお使いなのだな…と考えていた。
 蝶々もまた魂の化身と言う。
小林秀雄も母親が亡くなった夕暮れに自分の体にまとわりつく一匹の蛍を、
「ああ、おっかさんがやって来たな…」
と感じたという。
逝った人の思いがささやかに姿を変えてこちらの世界に現れる。
こちらも心を平らにしていないときっと見逃すほどのささやかな便りだ。


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茉莉夏 [MAIL]