日々の泡

2011年07月08日(金) つらつらと

*渡りの途中
渡りの途中で羽を休めに来る鳥がいます。
近くの公園で町場の鳥たちに混じって聞き慣れない鳴き声を披露しています。
その声はやはりその辺の鳥たちとは何か違っています。
町の鳥たちが仲間同士でコミニュケーションしていたり、あるいは敵を威嚇していたりするのとはかなり違って聞こえるのです。
もっと深い何かとか
もっと大きい何かとか…
例えば、木霊
例えば土地の魂
そんなものと交信しているようなある種の威厳を感じさせるのです。
地球を相手に旅している鳥たちに生き物としての畏敬の気持が湧いてくる…そんな鳴き声なのです。
*富士山サイダー
仮面ライダーをもじったのか「仮面サイダー」というネーミングの清涼飲料があるそうで思わず笑ってしまいました。
友人がくれた「富士山サイダー」は富士山の天然水を使用して作られたというサイダー。
味は… ま サイダーです。
サイダーの音ってコーラやビールとは違うように思います。
もっと硬質で勤続的な音。
グラスに耳を傾けているとその音にいざなわれてどこか
遠い記憶の場所に跳んでいくような錯覚に襲われます。
そんな感じを詩に書きました。
水の記憶
詩「サイダー」
http://lilachill.exblog.jp/

*ズッキーニ
ズッキーニが好物の友人が今夏は自分で栽培するのだと勢いづいて二株植えたのはほんの1ヶ月前のこと。
植えた後で調べてみるとなかなかに栽培は難しそう…
雌花と雄花があって、人工で受粉させないとどうもうまく実を結ばないみたいです。
しかも雄花は盛大に咲くのですが、雌花が咲かない…
そのタイミングも合わせてどうやらこれは大変だと友人がぼちぼち愚痴をこぼし始めたのが一週間前…
でやけになって苗をプランターから抜いたのが先日…
なんということを…
花を料理してもおいしいのに…
まったくお百姓さんに感謝 尊敬の夏です。



2011年06月19日(日) できれば翻訳は…

  幻の女  
著者   ウィリアム・アイリッシュ著 稲葉 明雄訳   早川書房
妻と喧嘩して家を飛び出した主人公は妻と行く予定だったミュージカルと食事へバーで出会った風変わりな帽子をかぶった行きずりの女と行くことに決めた。女と別れて部屋へ帰った男を迎えたのは見知らぬ刑事と妻の遺体だった…
 敗戦後間もない日本の古本屋で江戸川乱歩が他人のものを横取りしてまで手に入れたかったという古典ミステリーの傑作です。
デジタル時代の潮流にまんま流されているわたしにとっては「息もつかせぬ手に汗握るミステリー…」とまでは行かず、読後感はどちらかというとフィッツジェラルドやチャンドラーの小説を楽しむ気持に似ていたかもしれません。
そんな読後感と共に、自分自身がいかにシリアルキラーを最先端の科学技術で追いつめていくようなミステリーばかりを読んでいたのかを実感しました。
ディテールは細かく描写されていて50年代のニューヨークのエレガントな一面と装いを剥がされた人々の心の孤独が描かれています。
事件の現場となってしまった夫婦の寝室 ブルーとシルバーで統一され美しく設えられたベッドルームは彼らの優雅な生活を表すと同時にその色彩は夫婦の関係が温かなものではなかったことを表していました。
 
 著者の他の短編を田中小実昌さんの翻訳で読みましたが、そちらの訳のほうがわたしにはしっくり来る感じです。
そして、欲を言えば村上春樹訳でアイリッシュ短編集を出していただければ…と思うわけなのです。



2011年06月18日(土) 新しい人たち

速い速い…
一週間が束になって飛んで行くような気がするこの頃です。
わたしより年配の方が歳を取るともっともっと速くなるのだとおっしゃいますが、
わたしは、歳のせいということももちろんあるのでしょうが、この速さは時代の趨勢だと思っているのです。
010101…
デジタルはアナログに回る針に比べて、行間がなくて容赦なく時を刻んで行く感じがします。
先日、職場で久しぶりに盛大に飲み会がありました。
もう何年もそんな会は催されることがなかったのです。
職場のムードが殺伐としていた時期や、不景気のあおりでどうもそんな気持になれなかったりで…
そんなこんなで飲み会はなかったのでした。
わたしの職場は以前は公的機関で、そこで働くわたしたちは公務員であったのですが、機構が変わり、現在は独立行政法人です。
雇用体系も変わって、随分と若い人たちが入ってきました。
飲み会は若い人の熱気に溢れていて、知らぬ間にわたしは自分が歳をとっていたことを実感したのでした。
こんな厳しい時の流れの中で、屈託なく年配者とも話せる若者…こどもこどもしているようで、実はまっすぐな気持を持っていそうな…
この人たちは、新しい人たち。今までにないピュアに本物を見極められる力を持っている人たちではないか…
そう感じました。
若いということには、いつもどの時代もさまざまな批判がされますが、
この人たちがどんな未来を切り開いて行くのか…
わたしはそれまで考えたこともなかったそんなことを思いました。
難しい問題を前に、笑顔で働き続けていく若い人たち
今日もどこかの大臣の何を根拠に言っているのかわからない原発に関する発言があり、腹立たしくニュースを聞いたものでしたが、
次世代を担う息吹は着実に芽吹いているのではないか…
あの若者たちの様子を思い出して、ひとりよがりに暗い見通しを持っていた将来が少し明るく見えてきたのでした。
そんな若い人たちのためにも、わたしたちのような世代は何をして行けばいいのだろう…


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茉莉夏 [MAIL]