2011年04月12日(火)
祖母は十数年前から認知症が激しくなり、老人ホームに入居しています。 もう私の顔はおろか母の顔もわかりません。 ただ、私たちの顔を見るとのどの奥から「わははははははは」と笑うのみ。 笑って寝て、起きて笑って寝て、の繰り返しです。 認知症の症状って、人によってさまざまです。
その祖母のところに、わが子を連れていきました。 祖母にとっては「ひ孫」です。 どんな反応をしてくれるのでしょう。
「おばあちゃん、ひ孫、連れてきたよ」
いつものように「わはは、わはは」と笑う祖母に、わが子を見せました。
一瞬、笑いが止まり、祖母の目が大きく見開かれました。 祖母が腕を伸ばしてきたので、わが子を祖母の手に託しました。
「ひ孫よ」
祖母の耳のそばで再び伝えました。 祖母はこれまで以上に「わはは」と大きく笑い、「ひ孫」の頬をなで、小さな手を握り、体をぎゅっと抱きしめて、私と母の顔を交互に眺め、そして「ひ孫」の顔を見て。
それはそれは、とてもうれしそうでした。
連れてきてよかった。
「また、連れてくる」
そう約束して祖母のもとを去りました。
あの、祖母が大きく見開いた目。 あのとき、祖母は「正気」に戻ったのではないか。
ついそんな「期待」をしてしまうのですが、そんな夢を見させてくれたわが子の存在へ。
ありがとう。
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