てくてくミーハー道場

もくじ前回てくてく次回てくてく


2008年08月26日(火) 木挽町へGO

ゲラの出が例によって遅れたので、すかさず歌舞伎座第一部リベンジ(ただし、朝はスタートダッシュが遅れ、序幕『女暫』は見逃した。オールスターキャストだったのに・・・無念)






『三人連獅子』

これはね、なかむら親子がやってる「親+子2」の連獅子のことではなく、「お父さん獅子+お母さん獅子+子獅子」という、ほのぼのしたヤツです。

でももちろん“連獅子”なので、親が子を千尋の谷底にたたき落とすシーンもあります。

ぼくはこの踊りを11年前に大阪松竹座で初めて観まして、「まぁ、こういうパターンもありかね?」とぬるい感想を抱きました。

キャストのせいかも(子獅子をやったのが、既に大人の翫雀だった)

今回は、子獅子を国生。お父さん獅子が橋之助なので、例のとおり観客総親戚状態(*^^*)

お母さん獅子をさすがに敦子さん(三田寛子)はできないので(^^ゞ代役として(?)扇雀。

まず我々観客が最初にしなくてはならないのは、国生は今いくつなんだっけ? 確認(笑)

えーと、12歳か。小6か。・・・いや、中1か。早いなあ(いつもの感想)

すごく体格がいいので数年前から実年齢より上に見えていたのだが、今日は年相応に少年少年していて、はつらつとしてて良かった。

踊りもよくお稽古していて、丸々してるわりに(コラ)機敏に動いていたし。

変則な連獅子だったにせよ、子獅子デビューとしては申し分のない出来だったと思う(オーソドックスな『連獅子』では、ぼくは何といっても亀治郎が中2で伯父さん(猿之助)とやった時の身体能力のすごさが、未だに目に焼き付いている。正直、勘太郎も七之助も、あの時の亀ちゃんには勝ててない)

今はおそらく、声変わりの時期だろう。芝居だとちょうどいい役どころもなく歌舞伎役者としては最初の壁にぶつかる年頃だが、その間、踊りをがんばって力を蓄えといてほしいものです。






『らくだ』

勘三郎+三津五郎、そして亀蔵さんの“らくだ”ときたら、これが鉄板でなくてなんであろうか(≧∇≦)

もう、徹頭徹尾、笑わしていただきやした(≧∇≦)(≧∇≦)(≧∇≦)

特に亀蔵さん。

勘三郎いわく「世界一の“らくだ”」だそうだが、わたくしは、その意見に全面的に賛成であります!(←力入っとるなー)

実は不勉強にて、オリジナルの、落語版『らくだ』は聴いたことがない(あったかもしれないが、覚えてない以上、聴いたことがあることにならない)

実は初見の時(15年ぐらい前だと思う)、まず観る前にあらすじを読んで、

「死人にカンカンノウを踊らせる」

というのを単に字で読んだ時に、これのどこが面白いんだろう? と想像力の貧困さを発揮していたのであった。

まず「カンカンノウ」って何? だったからなのだが、それプラス、死体を操って踊ってるように見せるってことに対し、例によって屁理屈屋のぼくとしては、「笑いごとじゃないじゃん、不謹慎じゃん」と思ってしまったのだった。

でもこの作品の面白さは、その悪趣味さ(コラ)だけじゃなく、もう一つあったんだけど、それは実際に観て初めて判ったのだった。

とにかくそれ以来、亀蔵さんの超絶「死体演技」に度肝を抜かれ、この作品の大ファンになってしまったぼくなのであります。

同時に、近々何とかして落語版にも触れなくてはなー、と思いました。










今日の芝居見物はここまでで、すぐそばにある山野楽器に寄る余裕もなく、そのまま職場に向かったので、「Secret Code」フライングゲットはならず。


何となく、そわそわしちゃいますな。






ついでだから、先週日曜日に観た第二部の感想も書いちゃおう。


『つばくろは帰る』

母恋モノといえば、歌舞伎でも度々上演される長谷川伸の『瞼の母』にとどめを刺しますが(あ〜、シス・カンパニー版の感想を、未だに書いてませんね。是非書きたいのに)、今回は川口松太郎が最初小説として書いたヒューマンドラマであります。

母子の年齢がぐっと下がっているので、『瞼の母』のように無情な終わり方でなく、母と子は色々あった後に再会して涙涙のハッピーエンドになる。

かつてぼくらが小学校高学年の頃に読まされた名作全集みたいな内容なのだが、決して底が浅いわけではなく、「真面目に生きるって、素敵だな〜」と思わせられる、昔の人の心のきれいさが、乾いた現代人の胸にぐっと迫ってくる珠玉の作品であった。

主人公(は本当は三津五郎が演じた「文五郎」なのだが)の安之助を演じた小吉が、膨大なセリフ、出番に息切れすることなく、見事に演じきっていたことに感動。

小吉くんは11歳、小6でありますが、安之助も、ほぼそのぐらいの年頃。

まさに等身大の体当たり演技でありました。

周囲を固める役者たちも、ベテランはもちろん、若手が非常に良かった。

文五郎&君香(福助)という大人の男女に対するように、三次郎(勘太郎)&おみつ(七之助)という若いカップルが出てくるのだが、この二人のふとした出会いからせつない別れまで、本筋に色を添える程度のエピソードなのに、思い出すたび胸がキューン(^^°)とするのである。

激しいなかむら兄弟びいき(特に兄の方)心理のせいであろうか?

でも事実、そうなのである。

だがとりあえず、この作品の一番いいところは、「出てくる人がみんな善人」というところであろう。

今、そういうことが希薄すぎるから、なおさらキューンとしてしまっているのかもしれない。

巳之助も俳優業本格開始のようであるし、今後ますます楽しみなのであった。






『大江山酒呑童子』

この幕はもう、なかむら屋のバケモノじみた(おいこら)可愛さに唖然騒然の観客一同なのである(^^ゞ

なんなんだ! あの出てきた瞬間の年齢不詳さ!(>_<。)むしろ怖いっす

それもまぁすごかったのだけど、ラストシーンは串田さんに全部持ってかれました。

コクーン(『夏祭浪花鑑』・・・あ、これの感想もろくすっぽ書いてない・・・)でもしみじみと実感したのだけど、いや〜「演出の力」ってすごいよね。

(今回は串田和美がやったのは「演出」ではなく「美術」なのだが)

完全にファンタジーっす。

んでも、ぼくとしてはあの酒呑童子の衣裳(これも串田考案)だけは、あんまりいただけなかったっす。

質感が「ぺらい」っす。

それ以外は良かったっす。

・・・眠さで、口調が完全に頭悪いっす。

じゃあ、今日はこれで終わるっす(←頭悪いままかよ!)


もくじ前回てくてく次回てくてく
ておどる 【昔書いていた日記はこちら】Kin-SMA放言