てくてくミーハー道場
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2009年03月13日(金) |
戦国シェイクスピア第一弾『BASARA−謀略の城−』(俳優座劇場) |
『マクベス』を戦国時代に置き換えてやる?
それはまさしく『蜘蛛巣城』だな。(ワクワク)
実は映画は観ていないんだけど、新橋演舞場で劇化された時(2001年6月)に観に行きました。
主演(マクベス)中村吉右衛門、妻の浅茅(マクベス夫人)を麻実れいと、ぼくにとっては黒澤映画以上の感激のキャスティングで、舞台ならではの様式美と迫力、役者陣のまごうかたなき実力に酔いました。
今回のキャストを見ると、主役のマクベス=松永弾正に天宮良、マクベス夫人=艶の方に加納幸和と、そこそこ(こ、こぉらあ!)のキャスティング。
作・演出の脇太平氏のことは全然知らなかったんですが、加納さんのマクベス夫人は是非観てみたかったので(それと、花組の実力派ベテラン役者があと3人出てるので)勇んで参りました。
そしたら、『蜘蛛巣城』では、なかった。(ここでやや、がっかり)
脇さん独自の、新構想によるものだった。
基本的なストーリーは、『マクベス』そのものだったのだが、登場人物に、実在した戦国武将を配しているところが『蜘蛛巣城』とは違っていた。
実在した人物を登場人物に当てはめれば、当然史実と違う部分が出てきて「時代劇マニア」の不評を買うことになってしまうと思うが、その辺はまあ鷹揚に・・・ってことで(←お前は宣伝担当か?)
で、この「実在した人物を当てはめた」ことによって、ひとつ思いがけない(脇さんにとっては「思い通りの」かもしれないが)効果が生まれた。
それは、織田信長、豊臣秀吉、明智光秀の三人が話に絡んでくるという点である。
三人の魔女が弾正に「お前は城主になる」と予言すると同様に、光秀と秀吉の二人に、「お前は天下をとる」(ただし“期間”を言わない)「お前も天下をとる」(ただし“どんな方法で”とは言わない)と、誰でも知ってる歴史的事実(笑)を告げ、消える。
これによって、『マクベス』が、遠いスコットランド(でなくても、戦国時代という大昔)の話ではなく、普遍的に人間社会がある限り「繰り返される」ものがたりであることを示す。
なかなか面白い構成だった。
ただ、ほめるのはここまで(こら! 相変わらず偉そうだな)
実は、前日の徹夜が響いて、第一幕の途中からすっかりタイムスリップ(つまり・・・気がついたら、休憩だった(_ _ )す、すまぬ)してしまった。
第二幕は、一応全部観た。
別にかったるいとかそういうことではなくて(おい! そう言ってるようなもんではないか!)、なんつーのか、気分が高揚しないまま終わってしまった。
イケメンの役者たちが(半分本当)体力と運動神経にもの言わせて(だから、そういう皮肉っぽい書き方をするな!)殺陣に芝居にがんばってるのに、悲しいかな、ところどころ「ねむたい」
誰でもいいから、登場人物に深く感情移入したいのに、その要素が、ちょっと足りなかった。
みんな、お話の「駒」として動いてるだけだったのである。
主演・天宮良は、グローブ座の『サド侯爵夫人』サン・フォン夫人で「このキャリアでこの演技力って・・・」(こっ、こら今ごろ!)とがっかりしたのを巻き返す出来で、なかなかよろしかった(思うに、サン・フォンて役が難しすぎるんですよね。そーですよね←必死)
ちょっと三津五郎を彷彿とさせる芝居でしたよ。
加納さんは予想どおりの感じで、がっかりもしなかったが、感動もせず。加納さんだったらこういう芝居をするだろうなー、と思ったとおりで、それだとやっぱり、「0.1がっかり」してしまうな。
(植本)潤ちゃんも同様。
原川さんと山下さんも、やっぱり同様。
ただ、この四方は、普段の芝居がそうだけに、時代劇のセリフと所作が板についており、実に安心して観ていられた。
他の出演者で知っていたのは、森田順平(『三年B組金八先生』の乾先生)・浩平(ミュージカルでは度々拝見)ご兄弟なのであるが、これが初共演とのこと。それにびっくり(^^ゞ
それどころか、このお二人が加納さんと親戚と初めて知って、それが今回最大のびっくり(≧∇≦)
いや、もっとびっくりしたことがあった。
『ヘブンズ・ドア』に二○○○が出ていた100倍のびっくりである(←相当尾を引いてる/笑)
三好長慶の息子・之康(『マクベス』でいうとマルコム王子)を演じていた、ひょろりとしたあんちゃん(←失礼)、その名も颯太。
新人だろうか? 歳もだいぶ若いし(プログラムによると21歳だそうだ)初めて見た役者なのだが、あごがしゃくれてて(こっ、こら!)金子貴俊にちょっと似た風貌。
別に下手ではないが、いかにも「初めてこういうセリフ言いました」みたいな感じで、逆の意味で気になりました。
で、ちょっと目の前の便利なハコで検索してみたら、
なーんと。
・・・そうだったのォ。ふーん。(−−;)あのー、自分だけで納得してないで、答えを言いなさい。
言われてみれば、そっくりだ。(−−メ)だから、言いなさいって!
いや、本人がそういう気持ちで頑張ってるのなら、ぼくもそれに敬意を表しますよ。
(念のため書いときますが、金子貴俊くんの弟とかではないです(^^ゞ)
それでわかった。あの楽屋花の訳が。
(颯太くんに来てた花の贈り主が、他の出演者たちに比べて)違和感ありまくりのメンツだったもんなー。
城田優&純兄弟からのお花も颯太くん宛に来ておりまして、そっち関連かと思ってた(いや、そっち関連と言えばそうなのだが)
何だか、色々「兄弟」関連でびっくりさせられる舞台でありましたが(苦笑)
舞台の話に戻るけれども、次作は『ハムレット』を戦国時代に置き換えてやるとのこと。
うーん・・・どうしよう(アレ?)
出るヒト次第かな・・・(色々褒めといて、結局それ?)
一応、参考ページ→新感線版『メタルマクベス』(2006/6/17観劇 青山劇場)の感想
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