| 2020年09月10日(木) |
「母ちゃん、蝉が僕にくっついてきた!」。朝、玄関掃除をしていたはずの息子が部屋に飛び込んできた。お、またか!と思いながら振り返ると、息子のTシャツの裾に油蝉が一匹。「離れようとしないんだよね、この子」「また蝉に好かれちゃったかあ」「そうみたい!」。声は困ったような声色だが、表情は嬉々として輝いている。蝉大好きっ子の息子にとっては、こういう事態はいつでもウェルカムなのだ。「部屋で飛ばしちゃだめだよ、捕まえるの大変だから」「わかってるって!」。結局その蝉は、息子が登校する時間までひしっとシャツの裾にくっついて離れなかった。 でも、息子が玄関を出たその時、ぱっと離れ、飛んで行った。「あ、飛べた!」「あっちの方向なら大丈夫だね、樹がいっぱいあるから。安心だ」「そうだね!頑張って生きるんだよー!」。そうして息子は登校していった。 トマトの苗はずいぶん大きくなって、花も次々咲く。秋実り、と銘打ってあったが、いったいいつ頃実るのだろう。トマト大好きな息子はいまかいまかと待っている。朝顔は今朝も弦の上の方の花が八つも咲いた。咲いている花の下の方には取れ頃の種があり、ひとつひとつ摘んでゆく。来年も蒔くために。コンボルブルスはもう花は終わった。ひっそり葉を垂らしている。アメリカンブルーは強い風に揺れながら陽射しを弾くかのように咲き誇っている。もしも、もしも私が一軒家に住むことがあったなら、庭の広い家にしただろう。あれやこれや植えて、虫にたじろぎながらも楽しんだに違いない。母の庭のような、あまりに沢山植えすぎて他人から見たら何が何だかわからない、でも花が次々咲く、そんな庭は私には作れないけれど。こじんまりした、でも、白と青を基調とした、時々黄色が混じるような庭を、作りたかった。
このところ体の痛みが強い。そこまでストレスがかかっているという自覚はないのだけれど。と思いながら処方されている痛み止めを随時飲んでいる。特に右側の腰から足の付根の辺りの痛みが酷い。そういえば、腰の痛みは怒りが原因だと誰かが言ってたなあと思い出し、苦笑する。自覚していないのに、身体は相変わらず反応が早い。いつだってそうだ、大丈夫、私は大丈夫、何とかなる、なんて思って踏ん張っているのに、身体は人一倍正直で、激痛が常に何処かに在る。トラマールを飲んでも全然効かないような痛み。閉口するばかり。 でも、一番辛いのは頭痛だ。身体の痛みは何とかなる。いや、もう、慣れっこになってしまった。辛いししんどいけれど、痛み止めを上手にやりくりすれば、痛みは半減してくれる。でも。 頭痛はそうはいかない。私の頭痛はちょっと薬を飲むタイミングを間違うと、痛みを薬では拭えない。 そういう時活躍してくれるのが、陶製の枕だ。頭を乗せる部分がかなりの凸凹になっていて、頭を乗せるとぎゅっぎゅっとその突起で押されている感じになる。この枕のおかげで、私はどれほど救われていることか。 実はこの枕、母の持ち物だった。独り暮らしをするときにこっそり持ち出してしまった。母よごめん。今更だけどごめん。そのおかげで私は今日も生き延びてるよ。ありがとう。 |
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