| 2020年10月28日(水) |
妙に不安に駆られる夜というのがあって。たとえば今夜がそう。多分昼間神経を使い過ぎたんだ。そのせいだ。と、自分に言い聞かせてみる。
妙に人恋しくなる夜というのがあって。たとえば今夜がそう。多分ヒトのアイダから離れすぎたんだ。そのせいだ。と、自分に言い聞かせてみる。
PTSDで委縮すると言われる脳。その脳のスキャン画像をぼんやり眺める。私の脳は今、どんな影を刻むんだろう? 歪に歪んでいるんじゃなかろうか。 PTSDを抱え込んで二十数年。薬を飲むようになって二十数年。二十数年前に比べれば今は全然マシだと思う。二十数年の間に私はずいぶんタフになったし諦めもよくなった。 それでも、こんなふうに胸がざわつき、不安に駆られ、ぜぇぜぇと浅い呼吸しかできなくなる夜も、ある。自分の腕を覆う傷痕をじっと見つめて、これ以上切ったらあかんのよと言い聞かせないといけないような夜も、ある。
夜が深いから、夜が冷たいから、夜が。 夜は境界線が曖昧になる時間なんだと昔漫画で読んだことがある。昼間、光に照らし出されてくっきりしていた人と人との境界線、人と世界との境界線が、夜は曖昧になるんだと。こちらからあちらへ、あちらからこちらへと、境界を越えて滲み出し、揺蕩う時間。宇宙と自分との境界ももちろん曖昧になって、何処までも自分が溶け出していきそうな錯覚を覚える時間。
とりあえずベランダに出て深く息を吸ってみる。 こんな夜は。 早く朝になってほしい。ただひたすら、そう願う。 |
|