私の結婚観はとても悪かった。 今も大きくは変わっていない。
それは、まあ…… 私の幼少期が、成長期が、 俗に言う、どろどろの、ドラマのような、 けれど現実にはそのあたりで拾えてしまうような、 そんな家庭生活の在り方をしていた訳ではない。
そうではない。 ただ、私は小さい頃にはなんでも考えてしまうこどもだったので、 ありふれた家庭(だと思われる)で、ありそうな悩みやぶつかりのある ありえる家庭生活の中で、 私は悲観的な考え方をたくさん養ってしまった。
こどもにとって、長じるにつれ「家庭」や「家族」は とても不可解な場所になる。 物心がつくと、それまで信じていた事がウソだと知る。
私の結婚観はとても悪かった。 それはひとつのかたちだ。きっとそういう結婚がある。 今は、べつの結婚観も信じられるようになった。
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それはおかしなもので、 心や気持ちを漢字で表現する事が最も似合っていた時期が過ぎ、 ひらがなで表現したい心が現れたのと同時であり、 その同時変化がとても似つかわしいものであった、 という、とても優しい事実だ。
ひとは変わる。 それはやさしいことだと思う。
………… 堕落だと思う瞬間が例えあったとしても。
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