なべて世はこともなし
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|アイルランド真実紀行へ
2001年07月12日(木) |
ダブリンバス事件簿(その6) |
会社内のごたごたに関しても書きたいことは山とあるのですが、今日は明るいネタで行きましょう。今日は、「ダブリンバス事件簿その6」を日記として先行発表したいと思ってます。
おいらがドイツ語を学んでいる学校はシティセンターから南へ約1キロほど行ったところ。で、おいらの家はシティセンターから北へ6キロほど行ったところ。シティセンターまで歩いてそこから北へ行くバスに乗ることもできるが、ドイツ語を勉強し終わってへとへとのおいらはそんな面倒なことはせずに、いつも、わずか1キロほどの距離ながら、10番のバスでシティセンターへ行き、そこからおいらの家へ向かうバスへ乗りかえる。
で、10番のバスは南のUCD(大学)からLeeson St.、St Stephens Green、シティセンター、Phibsboroを経てPhonix Parkへ至るという考えてみたら、ダブリンバス内でも有数のドル箱路線。日中は8分ごとに(建前上は)運行され、いつも混んでいる。
が、夜の10時頃となると、お客がぐっと少なくなることもあって、15分ごとの控えめな運行。で、いつもおいらの学校の前を10時5分から10分にかけてバスが通過するので、おいらはいつもこれを待っている。
きのうも10番のバスをぼーっと待っていた。10番のバスはバス停から100メートルくらい離れた交差点を左折してやってくる。ところが、一台のバスが右折で(つまり、交差点の逆方向から)やってきた。よく見れば、行き先方向幕も何も書いていないし、お客も誰も乗っていないので回送だろう。…と言うわけで手を挙げることなくバスを見送ろうと思ったら(注:ダブリンバスは乗りたかったら手を挙げる。そうしないと通過しちゃう)なんとそのバス、おいらの前で止まった。バスは空。
おいら:「このバス町に行くの?」 運転手:「いくよー、のりなー」
運転手、年の頃45−50くらいの小太りハゲで、どことなくアホの坂田と谷村新司を無理矢理合成したらこんな男になるだろうという感じ。行き先方向幕をPhonix Park行き10番にして、発車!
この男、おいらの100倍落ち着きがない。ドライバーズシートの隣りに座ったおいらに
坂田(運転手):「どっからきたの?」 おいら:「日本」 坂田:「どのくらい住んでるの?」 おいら:「3年」 坂田:「学生さん?仕事?」 おいら:「仕事」
とまあ、話しかけてくる。よく考えたら、世界中のどのバス会社も
「走行中は危険防止の為、運転手には話し掛けないこと」って注意書きがあると思う。運転手の方からくだらないことを話しかけてくるこのアホの坂田って一体…。で、話しかけてくるのはまだいいとしても、このアホの坂田、人の目を見ないと話ができないタイプらしく、前を1秒、おいらの顔を3秒のサイクルで交互に見てバスを運転させるのだ。
おいらは仕方ないから、ドライバーズシートの仕切りのところに片肘をかけ(関口宏がTBS系テレビ番組「クイズ100人に聞きました」で『大手町のサラリーマン100人に聞きました』ってやってた時のポーズ…ってもわかんないか)、運転手と話し始める。
おいら:「このバス変な方から来たけど、臨時か何か?」 坂田:「いやー、UCDまで行けなくて…」
をいをい、と言うことは、何だ?お前、休憩か何かを長く取りすぎて、ターミナルまで行かずに途中から運行を始めたということか?おまえ、おいらの乗ったバス停より手前で寒い中凍えて待っている客の立場はどうなるねん?
その後も、各バス停で客を数人づつ拾い上げながら話は続く。
坂田:「でへへ。こっちのナイトクラブについてどう思う?」
…をいをいをい、お前、猥談にニヤけた谷村新司みたいな顔してナイトクラブについて語り始めるな!
おいら:「どうしようもないね。(お前みたいなのがさかってるから行きたくもないわ)」(かっこ)内はもちろん心の中でしか言わなかった。
坂田:「そうだろう?でへへへへ。日本のはいいだろ?でさあ、日本のナイトクラブってさ、床が鏡になってるってほんとかい?」 おいら:「(んなこと知らんわと思いつつ)よく知ってるねー」 坂田:「でへへ、モノの本に書いてあってん」
こんな話をしている間にも、運転手はおいらの顔ばかり見て前を見ず、バス停の客を見落としかけて、(バス停を通過した時点で急ブレーキをかけて止まった)そんなこんなでシティセンター着。
…なんだかな、と思いつつ、おいらはおいらの家の前へ行くのバス停へ(ここで話が終わらないとこがさすがはダブリン)。
バスはタイミングよくやってきた。再びおいらはドライバーズシートの隣りへ。バスが動き出したかと思ったところ6才くらいの子供が2階席から降りてきて、運転席へ。そして一言、
「パパー」
…なんで夜の10時過ぎにお前のガキを自分の仕事場に連れてきてるねん!ま、こいつはいい方で、一度、自分のガキを運転席に乗せて、ガキにドアの開閉をやらせていた、クレイマー・クレイマー真っ青の運転手も昔いたなー。
数分後、突然バスがバス停でも信号待ちでもないところで止まる。「なんだろう?」と思ってドライバーズシートを覗いてみると、
「ヘエロォー」
お前、勤務中にケータイで話すんじゃねえ!
…とってもダブリンを満喫できたバスでの通学光景でした。
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