私は失うことの痛みを知らない
大切な人たちを亡くしたこともないし 運命を受け入れて死に立ち向かう人々の強さも知らない
かけがえのない人を永遠に失う怖さ それはニュースの中 映画のワンシーン ブラウン管の向こう側 シンクロして泣くことはあってもそれは私自身のものじゃない この涙は私の痛みじゃない
だから 私にはきっとわからない 本当の喪失感というものが
それは絶望だろうか 出口の見えない虚無だろうか
痛みがわからない 失う怖さを私は知らない
それは・・・人として未熟な証だろうか
遠い日に大切な大切な人を亡くしたあの人が 穏やかに微笑む 強さと風化した寂しさをたたえた瞳で
いつかかけがえのない人を失ったとき 私もあなたのようにまっすぐに生きていけるだろうか
それとも痛みに耐えかねて今よりももっと弱くなってしまうのだろうか
あなたを永遠に失うなんて 考えただけで 心がひどく軋むのに。
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