煙草の煙が仕事場の蛍光灯に向かってまっすぐに上っていく、 そんな様子をずっと眺めている。 頭の中は空になり体から力が抜けていく。 (今、この部屋は無風状態なのかなぁ) 僕の仕事場は、もともとテレビのスタジオだったところを改装したものなので、気密性は抜群で、殆どの音を遮断しているお蔭で、回し放しになっているCDの音だけが、静かに響いている。 僕はこういう時間が大好きだ。 休日に一人で会社にやってくる事がやめられないのは、 仕事量の多さだけではなく、 誰でもない「僕」の存在を僕自身が感じられるからなのかもしれない。 とでも思わないとやりきれないかも知れない。
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