イトナミ_エイエン

2003年01月19日(日) 1/2000 その瞬間に

被写体にピントを合わせる
露光とシャッタースピードを心の中で、もう一度確認して、
息を止める。
様々な知識や技術が頭をよぎり、そして消えていく。
一番良い一瞬なんていうのは、永遠に訪れる事がないかも知れない。

自分に言い聞かせる、
これは自分が肉眼で見た風景ではなく、
  その印象を焼き付ける作業なのだ、と。

シャッターの上に乗せた人差し指が震える。
それは、一瞬の予感のようなものかもしれない。
シャッターが下りている時間は、ファインダーの中は真っ暗で、
「決定的瞬間」をこの目で見る事はできないのだ。
一瞬の予感のようなものを感じてシャッターを切る。
鏡面が跳ねあがる感覚と共に、一瞬が自分の手の中に入る。

僕は静かに息を吐く。

何度となく繰り返してきた儀式なのだが、
その度に、ワクワクしてしまう。
もっと、良い瞬間を。もっともっと、人に何かを伝えられるものを。
その事だけを考える休日が、月に一度くらいあったって良いかもしれない。


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