イトナミ_エイエン

2003年01月22日(水) 冷たい風が

今年、一番の寒波が街を襲い、
僕らはコートの襟を立てて、背中を丸めながら歩く。
街路樹まで氷ついてしまったように見える交差点は、音に溢れているのだけれども、どこか静謐な雰囲気が漂っている。
「冷たい空気は音を吸収するんだよ。」
「それを言うなら雪でしょうが。」
隣りを歩くアベックの会話が耳に入る。
きっと二人にとっては、この体の芯から冷えるような寒さも、
互いの温もりを確認するための小道具に過ぎないんだろう。

「しょうがねぇなぁ」
僕は声に出して一人呟いて、
マフラーを巻きなおして、また歩き出した。


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