デスクに散らかされた無数の資料と、書きかけの書類。一杯になった灰皿に煙草をねじ込む。不意に携帯が鳴る。一瞬、君からの電話かと期待した。同僚からだった。急に気が重くなり、電話は放っておいた。留守番電話に切り替わる。「明日の打ち合わせのお時間ですが…」背もたれに体を預ける。息を吐く。誰もいないオフィスで君の名前を声に出して呼んでみる。その声は君には届かない。誰にも聞こえないのなら、言わなかったのと同じ事だ。