2001年06月03日(日)  出会い

  先日パートの帰り、駅のホームで45.6才の男性が助けを求めていました。

  「 どなたか私を電車に乗せてくれませんか 」  彼は白い杖をついていました。

 彼の横に寄り添い右腕を差し出しました。

  「 どちらまで? 」
  「 ありがとうございます。○○駅で降ろしてください。 」

  「 電車、今三宮辺りですから。もうすぐ来ますよ (^-^) 」

  「 あなたはどちらまで? 」
  「 私は ○○ 駅の一つ向こうの △△ 駅です。 」

 そう言いながら電車に乗り込みました。


 私は目の不自由な方に腕を貸してさしあげるのは、これがまだ二度目です。
 ですから歩く速度、歩調などが分からず。 かなりドキドキでした。
 それに加えて、見ず知らずの男性とずっと腕を組んだ状態なのですから。そのドキドキたるや! (笑)
 
 目の不自由な方ならきっと、それ以外の触覚や嗅覚などはかなり優れていることでしょう。
 私が緊張してかすかに汗ばんでいたことなんて、彼にはお見通しだったに違いありません。
 恥ずかしい・・・

 彼はとてもおしゃべりが上手で、電車の中ではいろんな話をしました。
 私がどんな街に住んでいるのか、彼が住んでいる市営住宅はどんな風なのか。
 
 仕事の話もしました。 驚いたことに彼の仕事は  「 画家 」  でした!
 6月の第3週末に神戸大丸のミュージアムで行われる、絵画展に参加されるというのです。
 もちろん 「 観に行きます! 」 と約束をしました。

 けれど、不自由な目でいったいどうやって絵を描くのでしょうか・・・
 かなり興味がありましたが、聞くのはさすがにはばかれました・・・

  「 どんな絵を描かれるんですか? 」

  「 主に海の絵なんですが、その上の空にね魚が泳いでいるんですよ 」

  「 えっ?空に魚が?! 夢のある絵を描かれるんですね (^^) 」

  「 どうやって描くと思います? 」

  「 さぁ・・・ どうやって描かれるんですか? 」

  「 まず針金でね、魚の形を作るんですよ。 それをキャンパスに貼り付ける。
   そしたら、針金がぬりえの線の代わりになるんですよ。 その中と外を塗っていく。
   でも針金を取った後の塗り残した部分をうまくごまかすのが難しくてねぇ 」


  「 へぇ! そうやって描くんですか! 驚いた! アイデアですねぇ! 」

  「 あのぅ、もうそろそろ ○○ 駅に着きますよ 」

  「 あっ、いいです。 △△ 駅まで一緒に・・・ 」

  「えっ? ○○ 駅はいいんですか? 」

  「 はい。 ちょうど昼時ですから、△△ 駅で食事にします 」



 そして △△ 駅に着き、駅前のショッピングセンターまでつきそう。


  「 お食事、一緒にいかがですか? 」   嬉しいお誘いです (^^*)

  「 ありがとうございます。 でも子供たちが待ってますから。 」

  「 そうですか。 残念です・・・ 」

  「 あのぅ。 今度絵画展拝見させていただきますので。 お名前は? 」

  「 松○です。 絵画展では声をかけてくださいね。 」

 そう言って握手をかわし、そば屋さんの前でお別れしました。



 夕食時、このことを子供たちに話して聞かせました。 さて、子供たちの反応はいかに?


 亮輔 「 ぼく学校の授業でな、目が見えへん人を連れて歩く練習したで。
       1人が目をつぶって、もう1人が腕につかまらせてあげんねん。 」


 瑞穂 「 目が見えへんのに、どうやって絵を描くん? 」

 私  「 どうやってやと思う? 」

 亮輔 「 分かった! 針金かなんかで形を作って、その中を塗るんちゃうか? 」

 私  「 すごい! よぉ分かったなぁ! お母さん全然考えつかんかったわ。 」


 私  「 なっ。 おじさん、目が見えへんのに工夫して。 綺麗な絵を描きはんねんよ。 どう思う? 」


 すると、みんな口々に

 「 すごいと思う! 」  「 なんでも練習したらできるんや 」

 「 でけへんと思ってあきらめたらあかんねん 」

 「 自分で、どうやったらできるかなって考えたら、ええんちゃう? 」


  みんなよく分かってるやん (^-^) 

  6月の第3週末、子供たちを連れて絵画展に行こうと思っています。
 

 ('-'*) いつも アリガト♪

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