う た う ひ と 

2001年05月18日(金) 呼べない名前


この頃すこし淋しいみたい
終わった恋の抜け殻を
そっと拾い集めては
涙流しても 目をそらせない

ニュースのバックに
見覚えのある あの場所が映る
ただそれだけで
ずしりと重い手応えに
ふらつく胸を支えきれず

あのときもしもこうしてたら なんて
何の意味もないと
知っていても 人は
苦く泣く眠れぬ夜がある

あんなに大切だったあのひとの
名前が思い出せない
深夜のバスルーム 愕然とする
再生できないビデオを抱えて

通勤ラッシュに目を閉じて
ひたすら耐える その刹那
ふっと浮かんだそれは
二度と呼べない名前
かなしすぎる 朝

あんまりきれいで 大切で
両手のひらに そっと包んでた
そんな時間を一緒に生きた
あのひとの名は二度と呼べない

忘れなければかなしすぎて
こころがくだけてしまうほど
愛しかったあのひとの
名前は二度と呼べない

いつもと同じ 朝


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