Just A Little Day
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今日は朝からおかしい。 家を出て駅に向かう道も、免許の更新に行く電車の中も、ずっと胸のまんなかあたりがしょわしょわしている。 秋晴れの東京の空と、秋独特の澄んだ空気。 夏の日差しとは明らかに違う、忘れかけていた気持ちを思い出させるような光。 なんだろう、このかんじ。 随分前に感じたことのある、胸の痛み。
通勤時間を外したので、電車はすいている。 ずっと通勤に使っていたのに、今日は奇妙にのどかでそわそわした。
なんだろう、このかんじ。
品川で乗り換えた。 いつも空港に行く時に使う電車。 各駅停車なので、人はあまり乗っていない。
帰らなきゃ、と思った。 帰らなきゃ、帰れなくなる。
免許更新の為の2時間の退屈な講習中も、そわそわは消えなかった。
公衆を終え駅のホームに着くと、ちょうど空港行きの電車の扉が閉まるところだった。
少しほっとした。 もしも間に合っていたら、あたしはきっと空港に行ってしまった。 そして誰にも告げず、体一つで懐かしい街に帰ってしまったと思う。
帰る家のない街へ。 待つ人のいない街へ。
ヘッドフォンから、吉井和哉の「BELIEVE」。 「離れても そばにいても 変わらない 想いがある 人は皆 星になる そのわけは その時わかる」
そうか。これは恋の苦しさだ。
やっぱあたしって、恋愛体質なんだ。
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