2001年07月23日(月) |
にることをこばむもの。 |
谷川俊太郎の詩が書かれた絵本を、昔、とある人にあげた。 あれはほんとーによい絵本だった。 あげた後、それがその人にとってどーだったかはわからない。 でもあれから自分でも欲しくて探してるが見つからない。 なんだか最近それがはたして谷川俊太郎だったのかどうかさえ いまいちよくわからなくなってきている...
それとは違いますが「みんなやわらかい」というすてきな詩集があります。 その中からひとつ。なんかとてもすきな詩です。
『これはなんですか』
これはなんですか、 これは、えです。 なにがみえますか、 いろんなものがみえます。 でもことばにしてはいけない、 ことばはがくぶちのガラスほどにもすきとおっていない。
こころからじかにわいてきて、もがいているもの、 きやみずやくもからじかにまなびながら、にることをこばむもの。 めからめへの、みえないとおりみち、 こころからこころへの、ひそかなくらいほらあな。
わたしたちはためされる。 これはなんですか、 これはだれですか、 これは、なにをいっているのですか。 でもことばにしてはいけない、 ことばはせまくるしいへやのように、あなたをとじこめる。
ねじれるせんと、まじりあういろにそってゆくひととき、 あるいているものはたちどまり、はなしているものはくちをつぐむ、 そこからどこまでもひろがってゆく、しじま・・・ そこはどこですか。
(『みんなやわらかい』谷川俊太郎)
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