おならでぃず
ライブ&映画のくり的感想。

2006年03月03日(金) 『ひとすじの温もり』@渋谷シネマアンジェリカ

『ひとすじの温もり』2004スイス
原題:Im Nordwind
監督:ベティナ・オベルリ
出演:アンドレ・ユング/ジュディトゥ・ホフマン/アイコ・シュー/
   ジャン・ピエール・コルニュ/etc.

今日が最終日。着いたら客私だけ。うわーと思ってたら結局5〜6人でした。
以前からすっごく気になっていたスイス映画。2005年の大阪ヨーロッパ映画祭
が日本初公開だそうで、2005年のシュベリン映画芸術祭で監督賞も受賞して
いるそうです。観た感想。予想どーり、ものすごく好み♪好き好き大好き。
こういう映画はダメな人には暗くてヒジョーに退屈に思うかもしれないけど、
一切おしつけがましくなく、観客はある意味放り出されている様なラストも
とてもここちよくて、しみじみと深くしみるとても心に残るいい映画でした。
(それはあーいい話だったなぁーというのとはだいぶ違うのですが…)
一見幸せそうなある家族のお話で、17年勤めた会社を突然リストラされ
それを家族に話せないままの父、原因不明の首の痛みに悩まされながら娘との
確執やいろんな不安から不倫をしてしまう妻、将来へ不安などから自傷行為を
してしまう娘、それぞれが自分の気持ちを抑えているうちにだんだんと家族の
歯車が狂っていくのを観ていくうちに、こちらにもどんどん不安な気持ちが
移ってきていたたまれなくなってきます。日本もスイスも何も変わらないと
いう、その妙なリアリティをそれぞれの役者が演じ切っていて素晴らしいです。
特に父エルウィンを演じたアンドレユングが素晴らしい。最後のあの姿に、
思い出して尚涙が溢れます。「ひとすじの温もり」というタイトルを知れば、
この家族の未来に対する明るいひとすじの温もりを感じたいのだけれど、
私にはこの家族の抱えるこの先に迫った切実な問題に対して明るい兆しを
少しも感じられなくて、娘リンダの握った手は少しの救いではあるけれど、
事実現実の生活においてこの家族がこれから背負わなければならないものを
考えたら何とも言えないものがありました。でもこれが現実、そう思います。
でも好きなのです、こういう作品。観終わった後の余韻がスバラシイ!
そしてエンディングに流れる女性voの曲がステキすぎ☆サントラないかな?


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