「にこにこばかりもしてられない。」
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実家のおかーちゃんと電話。
「旦那はどうや。」
「どうもこうも、長男みたいだよー。相変わらずー。」
「うはははは。そんでええの、そんでええの。」
「そやけど、おかーちゃん、私、しんどい。 なんか、ひとりで"母"やってて。」
「アホやな!それが一番ええんやんか! オトコはな、ひとりでなーんもでけへんの。 えーらそうに言うても、子供と一緒。 家を仕切るのは、女やねん。おばーちゃん見てたやろ!」
おじーちゃんは、ちょっと有名な名士だった。 おじーちゃんのことを、良く言う人は多い。 おじーちゃんのことを書いた本も、悪く書いてあるのを見たことがない。 おじーちゃんの孫ですといったら、 大学の教授に、「お孫さんだったのかぁ!!」と、握手された。
でも、おじーちゃんのことを良く知ってる人ほど、 おばーちゃんのほうが一枚も二枚も上手だったのを良くわかってる。
おじーちゃんが、外で「いい男」だったのは、おばーちゃんのおかげだ。 おばーちゃんはうちの中で、おじーちゃんをとっても立てていた。 大事に、大事にしていた。
だけど、おばーちゃんはおじーちゃんのいないとこでよく言ってた。 「男のひとは、ひとりじゃ何にもできないのよ。」
うちの中で、本当の大黒柱はおばーちゃんだった。 おばーちゃんだけが自立していた。
「おかーちゃん、私な、自立したいなーって思うねん。」
「しなさい、しなさい。せなあかん。 せやけど、それってな、 こづかいほどの金稼ぎしたり、離婚したりすんのとちがうんやで。」
「うん!そうやねん!」
「うまーいこと、旦那を立てといて、ほんまは女が自立せな、家はうまいこといかへんで。」
「おお!そー思う?私だけがそない思てんのかと思ってた!」
「私なんか、おとーちゃん死んでから、気がついたわ。わっはっはっは!」
さすが、私の母である。(抜けてるとこが。)
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