「にこにこばかりもしてられない。」
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当直の看護婦さんは、のんびりと病室の説明などなさるけれど気が気じゃない。
だって、漏れてるのよ!ちょろちょろと!(泣)
「朝になったら、先生に診てもらいましょうね。」と、病室で待機。 子宮口は全然開いてないないらしい。 ちょろちょろ水が漏れるのは、 中で暴れた赤ちゃんが羊膜の上のほうを蹴り破ったかららしい。
だから暴れるなって〜。 ニワトリじゃないんだから、自分から殻破って出てこなくてもいいのにぃ〜。
結局朝までちょろちょろとお水は流れ出しっぱなし。 うわ〜ん。中でお水がなくなって苦しがってたらどーしよ〜! (後で聞いたらどんどん羊水は補充されるので赤ちゃんは苦しくないそうです。)
もう、不安でドキドキしながら、診察してもらうと、子宮口は1センチほどしか開いてない。 「午前1時から破水やろ。長なってくると、感染症が怖いから、出そか。」 と軽いノリの先生。
出す、といっても無理やり引っ張り出すわけではなくて陣痛を促進させるために 子宮の内側に水風船(バルーン)をいれるのだそう。初めての経験。
バルーンを入れられた、というだけで充分に刺激になったらしい。 即、陣痛がきた。 規則的な張り。どんどん強くなって、あっという間に5分おき。 ここからが長いのがいつものお産なのだが。
この病院には陣痛室がなくて、病室で陣痛に耐えて、 キタっ!と思ったら分娩室に移動だそうだ。
危険だなぁ・・・。 わたしのいままでのお産は、 キタっ! あ、ごめん、もう出ます! と、ラストに怒涛のスパートが来るんですが。 直前まで笑いながら談笑できるので油断ならないのです。
ホラー。やっぱり急にキター。
動けないほどの3分おき陣痛が来ましたよ。 息を吐いて痛みをこらえ、 痛みにあわせて、ヒゲくんに腰をぐっと力いっぱい押さえてもらう。
ナースコールを押してもらおうか、と思ったところへ婦長さん登場。 「あら!きてる?」 キテマス。 「あなた、しんぼうづよいわねぇ。行こか。分娩室。」
立会い希望の子どもたちも、一緒にそのまま分娩室へ入る。 分娩台の脇に立つように言われる家族のみなさん。 ・・・言われたことを守らない、家族のみなさん。 ちょろちょろと、母のまたぐらをのぞきこむのはやめいっ
陣痛が、いきみの波に変わっていよいよ赤ちゃんを世界に押し出す。 ああ、降りてくる。 いきむたびごと、お腹の中から外に向かって赤ちゃんが降りてくる。 大きいな。さすがにするん、とは、いかないな。 婦長さんが、指で会陰の下側を押さえて、 「ここ。ここに向かっていきんで。」と教えてくれる。 そこか。と、息を整えて一点に向かって身体じゅうから力を絞る。
もうちょい!、と、声がかかる。 さ、こっから、こっから。 充分降りてきた赤ちゃんを出してあげないと。
ミーが、「もじゃもじゃ!」 な、なにが。 「股の間から、あかちゃんの毛が見えとる!」 「うそー!」 「わー!」 「ほんまやー!」
・・・・・・発露してんのね。わかった。わかったから騒ぐな。 ていうか、のぞきに行くな。人の股を。 なんてフリースタイルなお産でしょう。とほほ。
全身が震ういきみがきた。いきみの波に乗る。 身体に力が入ってしまう。 無理せず、生まれたいように、と息を吐いて力を抜くが、 頭を出すにはもうちょっと手助けが必要なのかも。 出て来い!と、リキんで押し出す。
出た出た。でかい〜。
立派な女の子 誕生。 お風呂に入れる前に抱っこさせてもらう。 お〜。かわい〜。立派〜。 かわいいなぁ。
あかちゃんをお風呂に連れて行ってもらってる間に なにやらシモのほうが騒がしい。 子宮の収縮具合を確かめに下腹を先生が押さえた途端、血が噴いた。
え。いまのだらだらだら〜て、感触はなに。
「いかん。裂けとるな。」 先生のニコニコ顔がぎゅうっと険しくなって、 いきなり手術になった。
赤ちゃんがさっき出たところを広げて 中を先生がガシガシ縫う。
いだだだだだだっ痛いですが先生っ!ぎゃうぅ! あまりの痛さに腰が引ける。
「動くなっ!ボクもたぶん、この辺やな、ってとこを縫うてるんやから 動くと違うとこ縫って出血が止まらん!」
えぇぇええええ〜、そんなアバウトな〜・・・・。
しかし、出血が止まらんとワシは死んでしまうじゃないですか。 生きなきゃ。生きなきゃ。 お乳やって、抱っこして、おむつ替えて、お乳くさいあかちゃんをクンクンかがなきゃ。 私が育てなきゃ。生きなきゃ。
モックンが渡してくれて左手に握っていたお守りを知らず知らずに握り締めていた。 産むためにさっきまで握っていたバーを力いっぱい握り締めて耐える。 ウソだろうこの痛さ。人生初だよー。半端ないぞこの痛さ。
手術が終わって、止血もされて、ショックで吐いて、 ビニールの管があっちにもこっちにもつながって、もうぐったり。 出血がおさまったかどうかをみるためにしばらく分娩台の上で休んでいると 婦長さんがヒゲくんを連れてきた。
赤ちゃんについて回って新生児室の前で赤ちゃんを眺めている間、 知らんうちにヨメさん縫われてボロボロぐったりさんである。 「(目が点)だいじょぶかぁ〜。」
・・・・だいじょぶじゃないよ〜
婦長さんが 「ほんとに、たいへんだったんだから、この際なんでもごほうびもらい!」 と言うので、 「あかちゃん、抱っこしたい。」とお願いしたら そんなことでいいのぉ〜?金銀ヒカリモノでなくていいのぉ〜?と言いながら 赤ちゃんを連れて来てくれた。
かわいい。
生んだわ わたし。 かみさま ありがとう。
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