何もする事がなくテレビを眺めていたら ドキュメンタリー番組が始まったので 「ま、いっか。」 と眺めるのをやめて見る事にした 車椅子の人間と歩ける人間が 野宿で日本を縦断するという様な内容 健常者の女が障害者の男を 「人に頼りすぎている。」と軽蔑する 自立して生きる二十歳の女には 沢山の人に支えられる男が 堕落した人間に映ったのだろうか それともただ単に 万人に愛されているような彼が羨ましかったのだろうか 何にせよ彼女の考えには賛同できなかった 『誰かにやってもらってばかり』 そういう気持ちも何となく理解できるけど 自分一人では絶対に不可能な事をやってもらって何が悪い? そういう貴女は一人で生きてるの? 一人だけの力で生きているって言い切れる? 自立するまでに何人の人の世話になった? これから地球上に一人きりになって生きていける? 『何でも自分から頼んでばかり』 そういう気持ちは解らなくも無いけれど 出来ない事を頼まずにどうすればいい? 頑張って何とかなる次元の話じゃないのに 頼まずに何が出来る? 誰かが親切心で働きかけてくれるのを ただ黙って待っていれば良いというのだろうか 捨てられた動物達のように 辺りを見渡せば健常者に分類されつつも 堕落した人間達が其処彼処に生きてるのに 彼等が東京でゴールテープを切った 北海道から始めた縦断の旅が終わった 感動で泣き崩れた女を見て母が 「これは障害者と一緒の旅立ったから これほどに泣くほどに感動したんだろう」 したり顔で言った だから言った 「健常者だけの旅でも感動はあるよ 障害者だからって特別扱いしないで」 って 健常者 障害者 誰が分類したんだろう
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