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廊下側のすきま風 2005年08月31日(水)

夏が終わる
もうすぐみんなの腕は隠れる

寒さが厳しくなればなるほど
誰も廊下には出なくなるだろう
君とすれ違う回数も
少なくなるだろう

廊下側の一番寒い席で
ひりひりと両足をすりあわせる
ストーブのそばはあったかすぎるでしょう
だから

ぱたぱたと走る靴音
くだらない言葉の羅列
それらさえもただいとおしいもの

半袖のシャツ
長袖のシャツとセーター
くり返して
期限付きでくり返して

来年もこの席に誰かが座るだろう
再来年もこの席に誰かが座るだろう
姿形はいっしょだけれど
違う思いをもった誰かが座るだろう

遠くから見たらいっしょに見えるだろう
何年も何年もいっしょに見えるだろう
永遠のくり返しに見えるだろう

でもいたよ
一人ずついたよ

そうしてみんないなくなっていく

君がいなくなる
心の中からゆっくりと

少しだけ目を閉じて
ほおづえをついて
耳をすまそう
聞こえてくる
一人一人の声





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熊野
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