前髪の外
2006年01月10日(火) 前髪を切ったら 世界が見えるようになった だから 君の顔が見えるようになった 君の表情を読み取るようになってしまった 光は案外不便なものだ どうぞ君は白い光を反射しなさい 隠しても隠しても掻き分けてくる ざらりざらざら 君の手は悪魔 どうぞその爪を失くしなさい 私たちは目を見ないほうが うまくいくのだと知った 目の形 目の色 目蓋の曲線 目蓋の影 睫毛の揺れ 睫毛の濡れ すべてが君を すべてが私を 傷つけるのだと知った 私は君が傷つける動物だと 知りたくなかっただけなのだと知った 裏切りを許せないのならば 私たちはただ笑い合うだけの他人のままだろう 動物は孤独を身勝手にぶつけるのだから |