やんの読書日記
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ローズマリ・サトクリフ作 原書房
落日の向こうへ行く、と言うのは死を示す言葉 アーサー王、大熊アルトスの最期が わかり切っているだけに、逆に明るい兆しが現れないだろうかと 一縷の望みを抱いてしまう。 アルトスの滅亡の原因は二つ イゲルナとの罪の関係によって生まれたメドラウト 妃グエンフマラと親友であり忠臣であるベドウィルの不倫
イゲルナとの関係が壊れようとするとき なぜあんなにももどかしい態度を取るのだだろう 悪の根源とわかっていながら自分がまいた種だとして メドラウトを包含してしまうのはなぜなのか そこにはどうすることもできないしがらみに 自信喪失のアルトス、弱い人の子アルトスがいた
九頭の馬の下に眠る黒い媚人の少女 サクソンによって殺された少女をアルトスが手厚く葬り 黒い人たちを味方につけたシーン。 この墓の跡が実在すること。 アーサーのモデルとなった人物が必ずいると信じていた 私にとってこの本は、その思いを確実にしてくれた
ともしびをかかげてに引き続いて登場するアクイラ、フラビアン アンブロシウス。彼らがいつかはブリテンに闇が訪れることを 知りながらなお、ともしびをかかげてサクソンと戦う その誇りあふれる動きがアルトスに結集されて 今に伝わるほどの英雄伝となったのだろう。
これまでに読んだどのアーサーよりも力強く誇り高い王。 うらはらの、人間的な王の姿に感動の嵐が吹き荒れている
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