今日もサンガリア
えむつー



 seed 2

『飼い』主は、はたと思い出しました。
「そうか…、『育てよう』という意識が足りなかったのか。」

『彼』は枯れた芽に語り掛けました。

「ごめんな。ごめんな。ごめんな…」

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彼はいつも、脆弱で小さな小さな、生まれたばかりの芽に
毎日毎日、愚痴をこぼしていたのです。

「お前は大きくならないな。なんでそんなに成長が遅いんだ」

それは芽のせいじゃありません。
『彼』が水や肥料をあげようとすることを忘れてしまったのですから。

でも、言葉を発することのできない芽は、頑張って伸びようとしました。

ある日、少しずつ伸びている芽に向かって、彼はこう言いました。
「きれいな花を咲かせるんだ。でも、伸びるのも忘れるんじゃないぞ。」

しかし、そんなに器用ではない、小さな小さな芽は
無理をしすぎて枯れてしまったのです。


2003年03月12日(水)
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