ゆりゆり日記
ただ知ること
過去にあつめたカケラで出来る絵は
その瞬間瞬間ごと
いつも完璧だということ
そうして明日を未来を生きていく

2004年08月24日(火) かたちという十字架

日曜日に土台を作ったネックレスは
昨日地蔵盆の合間に彫ろうとしたら
既に乾きすぎてしまってダメだった
わたしはいつも手が熱いので
土をこねて形を作っている間にも
どんどん乾きは進むし
もう時間を置かずに彫ってしまうことにした

自由に簡単にかたちを変えられる土は
最初から制限のある和布とは全く違う
和布だとその制限のお陰で
布の魅力を最大限に生かすことを
いちばんに大切に作ろうと思うのだが
ともすると土に対しては
自分が傲慢になってしまいそうなことに気付く

少しちからを入れれば
指の跡すら簡単に残るつち
その素材にどんな風に向かえばいいのか
十字架という
最初に作りたい形があり
既に自分用に作った見本があるスタートから
ひとつ作りふたつ作りしていくうちに
そんなことを自分の中から探っていた

出来上がるごとに
微妙に違う土台のかたちと
彫った十字架のかたちのバランス
型で抜き取ったり
彫る十字架の型紙もある訳ではないから
いくつも作っていく中で
一番ぴったりくる感触を知るよりない

息をひそめて彫ったひと筋が
十字架の輪郭からそれれば
乾き始めた土を補修することはできない
かたちを完成させることを優先していると
その小さな過程が機械的になり
例え綺麗に出来上がっても
全体の印象はどこかよそよそしい

目指しているかたちは決まっていても
そこに向かうひとつひとつは
ただその瞬間のためだけにあって
そうやって集中できたとき
初めて全てが一体となって
最後のかたちが表れるのかもしれない

うまく言えないけれど
作ろうとすることが先にあるのではない感じ
それはたぶん
作るかたちの決まっている
リメイクをするときも同じはずなのに
どうしてもこれまでうまく出来なかった
チョークバックも型紙を作ってから
いくつかのバリエーションで布を裁ったまま
先に進めずにいた

完成形にとらわれすぎて
過程への熱意が失われてしまう
これは何度も繰り返しては確認していることなのに
どうしてもそこから抜け出せないわたし
時間を置けない土は
そもそもそんなパターンにははまらない
なぜ今
他にも優先事項がありながら土に触れているのか
そのことの意味は思いのほか深いような気がした


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ゆりすこ [MAIL] [吉祥堂]

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