毎学期末にある中学校の面談 なんだかいつも 雨ばかりの記憶があって 今日も傘を差しながら 学校までの僅かな距離を 上のコとふたり とぼとぼと歩いた
体調を崩して 休むことが多かった3学期 少し暖かくなってきては上向き 寒さが戻るとまたお腹の調子が悪くなる 赤ちゃんの時のアトピーに始まって アレルギー性の中耳炎と喘息で 何度も医者通いをし やっと良くなったと思ったら今度はお腹
精神的なことが影響してるのか 友達との関係はどうか お母さんは原因をどう考えるか ひとしきり学校の先生や スクールカウンセラーと話しをした 今の家庭環境やこれまで育てた過程の中で なにかあるかと問われたけれど 挙げようとすればきりがなく 何も言えないままだった
その時々後悔ばかりで およそ親らしさに欠ける かつてほとんど鬱状態のなかで 自分自身を見つめたとき 嫌という程実感させられた こうあるべきという わたしの中の親像は 等身大のわたし自身からかけ離れていて だからこそ悩み迷いが深くなる
あれから何年も経って やっと自分なりの生き方の はじっこが見え始めたけれど まだ自分自身を生きている状態には遠い 何かを決めては すんなりと動くことができない 一緒に生活する子どもは そんなわたしをいつも見ている
3年生に進級を目前にして 卒業後の進路を提示した 少し前までは そんなことに頭が廻らないくらい ただ日々を潜り暮らしているようだったのに 確信に満ちた様子で 第三希望までをわたしに告げてきた
どうしてここを選んだのかと担任に問われ 好きだからと答えた 自分の好きなことをするために 彼が選んだ第一希望は はるかに走る雨雲のように遠くにある 先生が背にしている窓から 円山川の向こうに広がる景色を眺めていると みるみるうちに 小さなひとつの山だけに明るい陽が差した
そのすぐ傍から 濃く美しい虹が現れて やがて消えるのを黙って見ていた
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