久美浜のフリーマーケット Sさんが出店するというので Nさんと一緒に出かけた 特に何かを買う予定はなかったのに やっぱり古物には ついつい視線が行ってしまう
古い薬瓶をふたつ買ったあと 着物があればとりあえず見 ひと回りしたのに Sさんが見つからず電話 いちど通った場所なのに その前あたりで 瓶に眼を奪われて迂回していたのだった
相変わらずSさんの品物は 値段もついていない いろんなものが雑多にあって もう着物は随分売れてしまったそう ただであげるという中から一着選び 他にも値段を聞いたものは すぐあげると言ってくれるので 遠慮なくいただいてしまった
ちょうど背中合わせのブースに なんだかそそられる 地味な着物が下がっていて 思わず引き寄せられた とても状態のいい男大島に混じって 木綿かと思うような 茶の細かい格子の着物が素敵だった
聞くと木綿ではなく正絹とのこと ところどころ補修があり スカートにはどうなのかと迷っているうち Sさんの口添えもあって 5千円が4千円 4千円が3千円にまで下がってしまった
自分では値切るつもりもないのに この成り行きにどうしても 買わなきゃ行けない気がしてきて そういう買い方はまずいと 一旦諦めたのだった 結局最後には買うことにしたのだけど どうしてそんなに惹かれたのかは 家に帰ってから判明
前回作ったスカートに使った 泥大島のハギレが びっくりする程しっくりなじむ あの組み合わせがひとつきりだったのが 残念でならなかったから 残りのハギレが この着物を呼んでくれたのかもしれない
前回よりは素朴で ちょっと野暮ったい位の雰囲気 むしろわたし的には こちらの組み合わせの方が好みに近い 今回の着物の補修痕を隠した自分用と 綺麗なところだけを使った商品用と うまく行けばふたつ作れるかもしれない
全ては解いてみてからだけど そう描いただけで幸せが倍増してきて つくづく買ってよかったと思うのだった
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