夜市が開かれたとき いつも通っているカバンストリートで ウィンドウチャイムを見つけた 長いパイプが 輪状にぶら下がって 真ん中の錘が 周囲のパイプにあたって鳴る よくあるタイプのもの
むかし シュタイナー教育グッズで 惑星に対応したチャイムがあって それはそれは 大きく響く素敵な音で でもお値段もすごくて とても手が出なかった
そのときの 細かいうんちくは忘れ 要約すると 魂の欲しい音を選ぶ のだと乱暴に解釈していた 素材も太さもさまざまなのを ひとつずつ鳴らしてみて 真鍮のを選んだ
さて うちには 風が吹き抜ける場所がない チャイムを手にうろうろしていたら じゅんのナイス提案 台所の壁付けの扇風機にぶらさげた 左右にゆっくり動くにつれ 持ち手に掛けたチャイムが つつつーと移動
長さの違うパイプに当たる ひとつずつを耳で拾うと まるで この世の音ではなく 水琴窟から響くようにも聴こえ 空気が水の中のように つめたく濃密に変わってゆく
いつしか 瞼も重く 夢の中でも シャリリンと
|