徒然なるままに、火星について。
火星でいつも思い出すのは、巨大火山の(24000m)のオリンポス山。
オリンポスとはもちろん、ギリシャ神話から取られた神々の住む地の名前で、まあ、実際に火星の地表立って、その山を見上げたなら、さもありなんな威風堂々とした風景なのだろう。 この風景は妙に馴染みがある。行った事もない世界(当たり前だが)なのだが、私が大好きな天体画家岩崎賀都彰氏の画かれた作品に『火星の巨大火山オリンポス山』というのがある。 絵から『静けさ』の“音”が聞こえそうで、茫漠たる火星の地表を背景にそびえる山を見ながら、渇いた埃まみれの風に吹かれて呆然とその山を見上げる自分を想像すると、なんとも気持ちイイ。(興味のある方は、講談社ブルーバックス 太陽系45億年の旅 岩崎賀都彰 画・文/宮本正太郎 解説をご覧になる事をお勧めしたい。)
子供の頃から、火星の事をアレコレ考えるのは好きだった。 火の神、軍神マーズ(アレス)の名を持ち、自らを回る二つの月(衛星)にはダイモスとフォボス(恐怖と恐慌)。 やたら、禍々しい名前も、たまらなくギリシャ神話の悲劇を思わせて、空想は止まることを忘れて暴走する。 しかも、想像を裏づけし、妄想をかき立てる情報はどの惑星よりも手軽で、多い。 1976年火星探査機バイキング1号と2号が相次いで火星表面への着陸に成功し、その後もマーズ・パスファインダーだのいろいろ送りこまれて、情報を回収しても、廃品回収に回るシャトル便は今だ用意されてはいない。(苦笑)
いろいろな情報から、火星のテラ・フォーミング(地球化)計画が科学者達の間で真剣に研究されている。…が、太陽からの火星の位置がもたらす、気温の低さが、なかなか火星の地下に眠るといわれている水を利用す事ができないらしい。(水が利用できれば、水から酸素が作れる。)
火星への移住というのは、いつでも心そそられるテーマだ。
火星から見える風景を離れて、現実的な地球から空を見上げてると、オリオンを追いかけるさそり座のアンタレスが見える。1等星のアンタレスは、「火星に対抗するもの」という意味の アンチ・アレス という言葉から来ていて、その名の通り、火星の様に赤い星。 アンタレスにとっては、思いあがった敵である目の前のオリオンよりも、どうしても無視できない宿敵がアレス(火星)なのかも知れない。 この一月ほどは、その赤みさえ飛んでしまいそうに、眩しく輝く火星に、リードを許すアンタレス。(なんだか切ないなぁ…苦笑。)
天体望遠鏡が売れてるそうで、なによりだと思う。 イベント的な天体ショーにあわせて、星を眺める時間を見出せる人がいるのなら、少し部屋の明かりを消して、テレビの音も消して、家族で望遠鏡を覗く時間を過ごすのも素敵だと。
そして、遠くなったり、近くなったりしながら、いつでも火星は空にあるのを忘れずに、いろいろ星を眺める時間が増えたらイイのになぁ…。
|