日常些細事
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2004年02月02日(月) 悲惨な職場

 同僚の細田さん(仮名・48歳♂)が風邪を引いた。
 マスクをして時折ごほごほ咳き込んでいる。顔色も悪く辛そうである。
 本当は数日休んでゆっくり静養してもらいたいのだが、人手が足らないのでどうにもならない。ひとりが余計に休むと他の者が休日を返上しなければ勤務に穴を開けてしまうのだ。細田さんもそれを知っていて無理に出勤してきたのである。
「大変ですね」
と私はおくやみを言った。
「他人にうつせば治るっていいますよ。私にうつしたら?」
「いやいやそんな」
「大丈夫大丈夫。私はゴキブリ並みの生命力ですから。はっはっは」
 余裕で答えていたら本当に風邪をうつされてしまった。
 それがまたものすごく悪性である。
 細田さんは物腰の低いとても良い人なのだが、持っている病原菌と人柄は関係無いらしい。
 頭がんがん。関節ずきずき。喉はがらがら。消化器官ぴーぴーである。
 がんがんずきずきがらがらぴーぴー。
 がんがんずきずきがらがらぴーぴー。
 一日中、濁音と破裂音に苛まれる日々。
 細田さんも私に風邪をうつして治ったわけではない。相変わらず具合が悪い。
「ごほごほ。すいませんねえ高橋さん、風邪うつしちゃって」
「なあに。いいんですよ。げほげほ」
「ほんと申し訳ない。ごほごほ」
「げほげほ」
「ごほごほ」
 なんだか悲惨な職場になってきた。


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