後悔日誌
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2013年11月04日(月) 骨


終電が無くなって朝まで。
しんみりと、一人で飲んでいた。
お通しで出してもらったポップコーンを見ていたら、骨みたいだな。
なんて思った。


親戚が亡くなって、法要に参加した。
お坊さんが一通りお経を唱えた後、静かにこう言った。
「故人はこれから旅立ちます。応援の気持ちを込めて御焼香して下さい。」

人は亡くなってから7日間で山(死出の山)に登る。
登り切ると三途の川があり、川を渡り先を目指す。
誰の力も借りれない、孤独な一人旅。

のんびりしてると上半身が動物の番人に急かされるんだとか。
なんだか死んでも忙しいナァ…。


63歳は確かに早いけど、でも与えられた命。
棺の中の顔は穏やかで、いい人生だったんだろうなと勝手に想像した。
他人事のように感じていても、花を添える場面はぐっときた。
目頭をぎゅっと押さえて棺を閉じた。


霊柩車の後ろをくっつくように走るバスに乗り火屋へ向かう。
最近はいつもここだ。
炉の中に棺を収めると、銀色の扉がすっと閉じた。

何度も聞いた喉仏の説明。
職員が一生懸命に骨壺の中へ骨を収める乾いた音。
静かに見つめる親戚たち。
焼くという行為は、区切りをつけるということなんだと思う。


すっきりしたよね。
身体から解放されて、もうおじさんは旅に出たんだと思う。


最後を過ごしたマンションの一室にお骨を持ち帰って、
部屋の片隅にある代々の仏壇の前に安置した。

空間の雰囲気っていうのかな。遠くから先代と、それから本人が、
喪主を務めた母に対してありがとうと言っている気がした。


誰もが綺麗に亡くなりたいと思っている。
死のことを、暖かく、身近に感じた良い一日だった。



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