鬼畜の街角 | 2003年06月11日(水) |
会社の帰りに遭遇した出来事です。 車一台が通れる程度の細い道を歩いていると、前方にサラリーマンらしき背広姿の男が立ち止まっているのが見えました。学生時代にアメフトをやっていました系の大柄な体躯の男でした。 路上の真ん中あたりで立ち止まったまま動かないことを訝しく思いながら近づいていくと、男は革の大きな靴の爪先で、足下のものを蹴っているようでした。 目の悪い私はそばへいくまでそれが何かわかりませんでしたが、30代から40代くらいに見えるその男の足下にいるものが何かに気づいて驚きました。 それは大きな黒白の猫でした。 蹴られた猫は路上に転がり、すでに死んでいるかのように体を伸ばしていました。その猫の腹の辺りを男はまた爪先で蹴りました。アスファルトの上に伸びたままの猫は抵抗することもなく、ぐったりした様子でした。 男は顔に薄笑いを浮かべながら、さらに柔らかそうな腹を何度も踏みつけ、にじるようにしていました。その度に、猫は身悶えするように体をくねらせているのです。 夕暮れ時の、平和な住宅地の一角で、男の鬼畜のような振る舞いに唖然としながら、けれど為すすべなく、たった一言も言えず、通り過ぎてしまった私です。 今でもその光景が脳裏から消えません。 男「うりうり」(つんつん) 猫たん「にゃがにゃが」 男「ほれほれ」(ぐりぐり) 猫たん「あうんあうん」 大きな足に弄ばれている猫が、恍惚とした顔で、ごろごろのどを鳴らしていたのがせめてもの救いでした。 |
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